小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記 SOMMELIER DIALY

おいしさ雑学 記事一覧

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

我が四国徳島県は農産県でして、
ウチ含め田んぼや畑が周り中にあります。

ご近所の方から
よく野菜や果物をいただくんですね。

サッとゆでて、
マヨネーズで美味しく食べております。

ジャガイモやアスパラガス、
ブロッコリーにさやいんげん

ゆで野菜にマヨネーズ

ってめっちゃ最高ですよね!

さて、ちょっとした豆知識ですが、
どうしてゆで野菜にはマヨネーズなのでしょう?

ゆで野菜を
お店で提供されるときも、
たいていマヨネーズですよね。

たとえば、ゆで野菜に
フレンチドレッシングだったら
何かいけないのでしょうか?


フレンチドレッシング等は
ビネガーと油・塩コショウを
ミックスしたもの。

これらは本来混ざらないですから、
ビンの中でも水分と油分の二層に
分れてますし、
乳白色になっているものは
乳化成分によって混合させている
わけです。

ゆで野菜は
生野菜と比べて組織に水分が
しみこみやすいため、

このようなドレッシングの場合、
油分と別れた酢や塩分がどんどん
ゆで野菜の内部にしみこんでしまい、
食感がすぐに悪くなってしまうのです。

すると、表面に油分だけが残り
食感だけじゃなく味そのものも
悪くなってしまいます。

そこで、マヨネーズです。

卵黄に含まれるレシチンという
超強力な乳化成分が
水分と油分両方をガッチリと
キープし、ゆで野菜へ
酢や塩分を逃がしません。

また、
マヨネーズのとろみ(粘性)が、
同じく酢や塩分の浸透を妨げます。

この効果のおかげで、
マヨネーズがゆで野菜に最適
なのですね。

つまりは

卵黄の乳化作用がスゴイ

ということです。

◆マヨネーズは冷めてから

ですので、
ゆで野菜+マヨネーズでは

温かいうちにマヨをかけてはいけません。

これをすると、
熱でせっかく乳化した酢と油分が
分離してしまい、他のドレッシング
と同様に、ゆで野菜にしみこんで
食感を悪くしてしまいます。

ですので、
ポテトサラダなどを作る際も
必ずしっかり冷ましてから

マヨネーズとあえてくださいませ。

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

(参照:コツの科学・柴田書店)

カテゴリー | ソムリエ日記 , おいしさ雑学 2022年11月2日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

エリザベス女王の国葬が
連日ニュースに出ていますね。

哀悼の意を表しますとともに
国王と国民の距離感や
悼む感覚などもふくめ
興味深く報道を見させてもらっています。

さて、その際に
ちょっと気になったのが
エリザベス”女王”の発音。

「じょおう」と呼ぶ番組と、
「じょうおう」と呼ぶ番組があって、
正式な呼び方ってあるのかな・・・?
と思っておりました。

SNSでも気になっている人が
けっこういまして、
『三省堂国語辞典』編集委員の方が
回答されておられました。

なるほど~。

個人的にも「じょうおう」の方が
「じょおう」よりもテンポも
ゆるやかでなんだか品がある気がします。

 

◆たまごの呼称のちがい

さて、たまごに関しましても、
呼び方の違いというものがありまして
漢字でいうと

「卵」と「玉子」

がそうですね。

むか~しにマイナビがネットで取ったアンケートでも

『実は違いが分からない言葉』
の一位がこの「玉子」と「卵」でした。

ざっくり言うと、

すべてのたまご→「卵」
ニワトリのたまご→「玉子」
新聞では料理だけ→「玉子」

なんです。

生物のたまごの総称が「卵」。
魚卵やワニのたまごは『卵』ですし、

「イクラの玉子」とも
「うずら玉子」とも
言わないのです。

そして、ニワトリのたまごに限り
「玉子」でも「卵」でもオッケー、

さらに、

新聞では
鶏卵の「料理」では
「玉子」表記を使う

ことになっています。

ですので、
新聞関連の出版だとかならず

「温泉卵」じゃなく「温泉玉子」
「ゆで卵」じゃなく「ゆで玉子」
「卵丼」じゃなく「玉子丼」

となっています。

また逆に、
「生玉子」という表記もありません。

ただ、面白いことに
レシピ本だけは「卵焼き」など
「卵」表記がほとんどなんです。

手元にある十数冊の
たまごレシピ本を見てみましたが、
ごく一部以外はすべて
「卵」となっています。

ふしぎですね~。

これは、
こばやしの予想ですが、
レシピ本の場合は
「原材料」に『卵』表記が
必ず出てくるため、
2種類の表記となることを
避けるためあえて「卵」表記に
統一しているんじゃないかと思います。

◆親しんだ表記が受け入れられやすい

では、
飲食店さんメニューの場合は
どんな表記が良いのでしょうか?

これは、少しコツがあります。

NHK「日本語のゆれ調査」によると

男性が女性より
「玉子」料理表記に
しっくりくる人が多くいます

レシピ本を見る頻度の差
かもしれません。

ですので、男性客ターゲットの
居酒屋さんならば、

「だし巻き卵」よりも

「だし巻き玉子」の方が
メニューで親しみを
持ってもらいやすいかもです。

また、玉子と卵だけじゃなく、

「たまご」とひらがな表記

をつかうとより柔らかなイメージを出せたりもします。

また健康イメージでカロリーや
こだわりの原材料を列記する
ときにはレシピと同じになる
「卵」表記の方がより受け入れ
られるかもしれません。

ぜひ、お店のターゲットや
イメージに合わせて
ちょっとメニューの表記を
「たまご」「卵」「玉子」の
使い分けをしてみてくださいませ。

意外と注文数などにも
影響するそうです~。

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , おいしさ雑学 2022年09月19日

こんにちは!

たまごのソムリエ・こばやしです。

マヨネーズとケーキ

この2つの共通点ってなんでしょう?

どちらも卵を使ってます!

…と言いたいですがそれ以外で。

それは、

手回し式たまご泡立て器が
できたことで爆発的に
一般家庭に広まった

という点です。

1870年にターナー・ウィリアムズさん
が手回し式たまご泡立て器を
発明したんですね。

それまでにも泡立て器は
ありましたが、ただ手で
思い切りかき混ぜる道具
だったのです。

このウィリアムズさん発明の品は
2つの逆回転する卵泡立て器を
組み合わせたものでして、
今のハンドミキサーとおなじ
画期的な発想です。

いや~、
混ぜるのって
これやってみた人は
分かると思いますが、
超大変なんですよ。

手でやるのって。

マヨネーズも生クリームも
手でやってみると
もうサッパリですね。

思い切りかき混ぜても
ぜ~んぜんできる兆しすら
見えない・・・・・・
みたいな感じになります。

これが発明されたのには
理由がありまして、

この手回し式たまご泡立て器が
できた頃って欧州で

働き方改革

が進んでいたころなんです。

ちょうどアメリカやドイツが
工業化でめっちゃ伸びてまして

産業構造が変わってきたことから
労働に対する意識がだんだんと
変わってきたんですね。

「大変な仕事は
ちょっとずつ見直して
変えていこうぜ。」

みたいな流れの中で

なんとか仕事をラクにしたい

その助けに…という想いから、
こんなステキ器具が
発明されたのです。

日本ではちょうど
明治に入った翌年ですね。

この手回し式
歯車式泡立て器のおかげで

一気に家庭でのケーキ作りや
マヨネーズが広まったと
いわれます。

そして手回し式が発明され
30年後のニューヨーク。

ヘルマンさんという方が
お店をやっていました。

奥さま自慢の
マヨネーズレシピで

自家製マヨネーズを使ったサラダと
サンドイッチが大ヒット

あまりに人気なので
マヨネーズだけを売り出すことになり

そこから全米シェア№1
の瓶マヨネーズ
ヘルマンブルーリボン
マヨネーズが生まれた
のですね。

アメリカ人は大のマヨネーズ
好きですがタイミング的に
なるほど~、と思いますね。

 

◆仕事の見直しでレベルアップを!

現代でも働き方改革が進んでいます。

片づけやすい調理メニュー化
サーブをしてくれるロボット導入!

みたいな改善がすすんでいますが、
負担軽減だけじゃもったいない、
どうせなら思い切って

マヨネーズのように

そこからガラッと人気になる
新メニューや新サービスが
生まれてくれば面白い!

そう思います。

僕も、オペレーションで
工程を3つくらいすっ飛ばせる
たまご料理ができないか、考えてみます。

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , おいしさ雑学 2022年08月15日

こんにちは!

たまごのソムリエ・こばやしです。

 

毎日夏らしい暑さですね!

今週・来週は土用(どよう)の暦になります。

 

露出も増え、

うなぎ!の食べたくなる季節ですね~。

「う」のつくものが精が出るんだ!

なんて言われるのが土用のうなぎの由来、

との説があります。

 

実際は暑さのさなかの「土用」

他にも食材のおすすめがあるんですね。

 

たとえば

「土用餅」

「土用しじみ」

これらも食べるといいよ!

と言われています。

 

ようするに、

夏バテ対策でより健康に良い物を!

という生活の知恵ですね。

 

関西の風習・土用餅は

小豆と一緒に食べるとされていて

ぜんざいや小豆もちにするんですが、

小豆から食物繊維やミネラルを効率よく摂るためですし、

 

土用しじみは同じく

ミネラルやオルニチンなど栄養素を

しっかり取って整腸作用で健康になるためでしょう。

 

そして、おなじく

「土用卵」

というものがあります。

今の期間に生まれた卵を食べると

元気が増す!と言われています。

 

食べると商売がうまくいく

と言われる冬の「大寒たまご」と違って

この時期のたまごは

特にニワトリが多くエサを食べて

栄養が増える、という事はありません。

 

むしろ、

江戸の昔の「栄養ドリンク」的な

位置づけとして、

完全栄養食のたまごを暑気対策に食べるべし

そういう意味合いの「土用たまご」だと思います。

 

◆お店のメニューでアピールするなら

「たまごは空気化している」

なんて言われるくらい

たまご大好きの日本では

卵を食べる時期!

なんて言ってもあまりメニュー効果は薄いかもしれません。

 

ですが、土用は

・「健康に良い物」を食べる時期

・「う」の付く食材が縁起物

・土用生まれの「卵」が良い

 

…ということですので、

「うずらたまご」

のイチオシはどうでしょうか!?

「う」が付いてますし、

たまごと同じく栄養豊富、

小さいけれど疲労回復に効く

ビタミンB12がたっぷりです。

 

鶏卵とちがって

意外と普段食べない人も多く、

「夏の季節メニュー」として

お店で提案するのに向いています。

 

さっぱりしたピクルスなどでも

小さい分味しみも良く

評価も高いのです。

 

あと、健康面で言いますと、

「う巻き」がチョーすごいです。

特に、「目に良い」という意味では最強タッグなんです。

ウナギには目に良いビタミンAが

めちゃくちゃ多くって、

効果のあるビタミン量・レチノール当量は

一食分のウナギだけでmax取れます。

 

また、卵に多く含まれる

ビタミンB2やルテインは、

網膜の働きを助け

目の充血を解消してくれたり

加齢からくる網膜症を予防します。

 

今年の夏土用は8月6日(土)までですので、

ぜひ元気の出る季節メニューとして

考えてみてくださいませ~。

 

ここまでお読みくださって

ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , おいしさ雑学 2022年07月25日

こんにちは!

たまごのソムリエ・こばやしです。

 

唐辛子

ってありますよね?

あれ、英語でなんて言うか
ご存じですか?

 

「ホットペッパー

直訳すると
「からいコショウ」です。

でも、
唐辛子ってコショウと
ぜんぜん違う植物で、

なのに「コショウ」って
名前になっている・・・

なんでなんでしょうね。

 

これ実は、
命名したのは、
あのコロンブスさんなんです。

黄金と同じくらい
価値のあったコショウを
手に入れるため

 

「大西洋をわたってインドに行く!」

…そのとちゅうで
アメリカ大陸を
見つけちゃいましたから、

 

「ここがインドにちがいない!」

と、
現地の香辛料「トウガラシ」
を持ち帰ったのです。

 

スポンサーの手前、

「これちょっと変わった
コショウなんですよ。」

と言い張って。

でも「なんじゃこりゃ。」
ってんで当時のヨーロッパでは
まったく受け入れられず、

 

むしろ暑さの本場インドや
東南アジア、中国に持ち込まれて
そっちで広がったのですね。

 

そして現在

唐辛子の生産
世界一はインドに。

世界需要の4割を作っています。

 

面白いですね~。

インド産だと思って持ち帰り、
結果としてインド名産になるとは。


さて、
このトウガラシ。

実は!

ニワトリが食べても
まっったく平気で、
辛くない
んですね。

 

一般的に
「赤い実」って、
「食べると甘い」
のが自然界のお約束。

 

赤色を見つけて
動物に食べてもらい
遠くまで種を運んでもらう。

そのためですね。

 

なのに、

トウガラシは
赤いのに甘くない…?

それは

鳥さん「だけ」に
食べてもらいたいから。

 

トリ以外の生物が食べると
カプサイシンの刺激で
口がめっちゃ痛い…!
体が熱くなってヘン…!

・・・となって
食べるのを
やめちゃうんです。

 

でも、

ニワトリ含む鳥類だけは
トウガラシを食べても
辛味の元カプサイシンが
刺激しないので

鳥にとっては
「甘~い!」って
感じるんです。

採卵養鶏では
ニワトリの飼料に
トウガラシを入れる
ことがありまして、

これはおおむね
卵黄の色味を良くするため。

 

たまごの黄身の色って
食べたものに影響される
んですね。

たとえば
黄色い食材、
トウモロコシを食べると
黄色っぽさが増しますし

 

赤い食材、
ニンジンやパプリカ
トウガラシを食べると
赤っぽさが増すんです。

 

「だから黄身の色なんてまやかしだ。」

・・・なんて
言う人もいますが、

 

人間の本能は

温かみのある色を
「おいしそう」と感じる

ようにできてます。

 

ラーメン屋の
赤ちょうちんが
赤色をしているのも
そのため。

 

なので僕は
飼料によって
卵の黄身色が変わるのは、
悪いことではない、

そういった色味も含めて
「おいしさ」だと思ってます。

 

より美味しい
たまごづくりには
ステキな色味、

つまりトウガラシも
必要なんですね~。

 

ちなみに

「人間のように
トウガラシを食べると

ニワトリにも
脂肪燃焼効果が
あるのか?」

を調べた研究もありますが、

 

ニワトリさんには
そんな効果は
さっぱりなかった
とのことでした。

 

刺激→発汗!
みたいな作用がないから
当然といえば
そうかもしれません。

 

あとひと月で
夏本番がやってきます!

ぼくたち人間は、
辛味を活用して
元気出していきましょうね!

 

ここまでお読みくださって、
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , おいしさ雑学 2022年06月6日

こんにちは!

たまごのソムリエ・こばやしです。

 

すっかりいい陽気になってきましたね!

この時期から梅雨までのあいだは、

一年で最高の季節かもしれません。

 

当社の前はずーっと向こうまで、

いちめんの田んぼです。

水が入り、苗が入り、

どんどん伸びていく様子に

この時期すごくテンションが上がります。

 

イネ科の植物って、

ご存じの通り「炭水化物」が

メイン栄養素なんですよね。

これ、じつに興味深いんです。

 

植物の体をつくるのは

たんぱく質ですし、

 

発芽エネルギーで言うと

炭水化物よりも「脂質」の方が

膨大なエネルギーを出せます。

 

じっさい、クルミやゴマみたいに

たんぱく質や脂質を種子に蓄える

植物はたくさんあります。

 

でも、

イネ科の植物が貯めるのは

ほぼ炭水化物…。

 

どうしてかというと、

エネルギーのデカい脂質や

たんぱく質を作るには

親の植物に余裕が必要なんですね。

 

厳しい草原で生えるイネ科植物は

そんな「投資」なんてできず、

光合成だけでできる炭水化物に

特化したわけです。

でも、森と違って草原には

大木があるわけじゃないので

競争して背を伸ばす必要も

ないわけですし、

それで事足りるんですね。

 

・ニッチな場所で

・自分のできる範囲の

・大きなライバルと違うことをする

 

なんだかイネ科のお米や小麦って、

中小企業みたいだなぁと思いますね。

シンパシーを感じます。

 

◆たまご・鶏もニッチ戦略だった

鶏さんも、中小企業的ニッチさで

発展してきたトリなんです。

そもそもニワトリのご先祖

セキショクヤケイは

東南アジア奥地の小さな鳥でした。

 

さほど肉がたくさん採れるわけでも

たくさん卵を産むわけでもありませんでした。

ちょっと獰猛ですし。

実際、もっと肉が多くておいしい

従順な鳥もいましたし、

ローマ時代の以前には

クジャクの肉やたまごなんかが

重宝されていたんです。

 

ところが、

「時つげが正確」

「鳴き声がきれい」

「好戦的なので

闘鶏が楽しめる」

「毛並みがステキ美しい」

 

なんて風に、

細かな役立ちがいっぱいあって

総合力でほかの家畜候補を

すべて蹴落としてしまったのですね。

 

・ライバルのできない事を

・細かく小回りたくさんやり

・トータルでお役立ちする

 

これも、イネとおなじく

中小企業っぽい強みですよね~。

 

現在、

お米と小麦の生産量は12億トン!

 

鶏は世界で230億羽!

鳥ではぶっちぎりの一位です。

 

2番目に多いコウヨウチョウが

15億羽ですからダントツですね。

 

ぼくたちも、

ニワトリさんやおコメに倣って

中小企業的強みを発揮してまいります!

 

ここまでお読みくださって、

ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , おいしさ雑学 2022年05月31日