小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記 SOMMELIER DIALY

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こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

たまご・鶏のことわざ第64弾、今回はイギリスの慣用句。

<闘鶏のニワトリのように暮らす>

(To live like fighting cocks)

『めっちゃ気力体力ともに充実した暮らし』のことです。

闘鶏のニワトリって、

気力と持久力を増すために、たっぷりの栄養と運動で超健康的に養われているんです。

なかなか良いたとえですね~。

闘鶏のように暮らす!そうありたいものです。

コロナ禍で外出が減り、

むしろ『フォアグラ鴨のように暮らしてるよ……』なんて人も多いのでは!?

ちなみに闘鶏向けのニワトリ、

日本でも軍鶏(しゃも)がいますが、

でっかいだけじゃなく、

背筋もスラっと伸びていて目つきも鋭い、ホントカッコいいです。

ちょっと壁にでも写真を貼って、目指す姿にしなくちゃいかんですね~。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

(関連:エッ!?闘鶏で独立を決めた国があるってホント? | たまごのソムリエ面白コラム

(参照:英米文学鳥類考)

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご・鶏のことわざ 2020年10月6日

こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

ゲノム解析などで生物のルーツが探れるようになってきまして、鶏の起源は東南アジア奥地に生息していた「赤色ヤケイ」という鳥だとされています。

少し細かく言うと、タイやミャンマー・カンボジアの山奥あたりに住んでいました。

世界へ広がったのも古く、

4000年前のインドで鶏の紋章が見つかっており、

今から2500年前には中国や地中海でも広く鶏が飼われていました。

すごいですね~。

ただ……ちょっと疑問があります。

なんで、アジアの山奥にいたその鳥を、あえて飼おうと思ったのか?

きっかけは??

だって、赤色ヤケイって、

肉は少ない

卵もあまり生まない

獰猛

飛ぶ

……と、家畜としてはあまり魅力的だったとは言えないんですよね~。

赤色ヤケイのメスは体重600グラムくらい、ハトよりちょっと大きいくらい。

正直、食べる為ならウサギを飼う方がよっぽどマシです……。

実は、

飼われ始めた大きな理由は、

なんです。

東南アジア奥地の山岳地帯では、雨季に水が流れる斜面に建てる家は、「足が長い家」つまり床が地面から高い場所にある『高床式住居』が普及していました。

その高床式の家の下に、床から落ちた食べ物の残りに集まってきたのが、何を隠そう「赤色ヤケイ」だったわけです。

つまり長年にわたる自動餌付けシステム。

勝手に餌付けされて、庭に居ついちゃったのが赤色ヤケイ。

まさにニワトリ「庭のトリ」ですね!

公園でハトにパンを上げているおじさんを見かけますが、これも同じ場所で数百年続ければハトが家畜になるかもしれません。

じゃあ、なんでその地域だけじゃなく世界中に広まったのかと言うと、

肉と卵が欲しいから…!

……じゃなくて、

朝鳴く時間が正確

見た目と鳴き声が美しい

闘鶏など楽しめる

なんていう、どっちかというと娯楽とか儀礼用のメリットが大きかったようです。「肉も卵ももっと美味い鳥がいたけど、総合的な魅力で鶏がトップ」というのが広まった理由だとか。

その後に品種改良されていって、肉も卵も美味しくなったのです。

面白いですね~。

もしその山岳、高床式お家のあたりに別の鳥がいたら、

例えばクジャクがいたら

世界中に100億羽を超えるクジャクが飼われてる世の中になっていたかもしれません。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , 鶏さん・鳥さんのコト 2020年09月29日

こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

少し前ですが、NHKの「フェイク・バスターズ」という番組でフェイクニュースに騙されない『だしいりたまご』なるものが紹介されていました。

 誰が言っているか?

 出典は?

 いつ発信された?

 リプライ欄(返信欄)にはどんな意見が?

 たたき(攻撃)が目的じゃないか?

 まずはいったん保留しよう

 公的情報は確認したか?

です。

うーん、うまいですねェ。

コロナまわりでもフェイク情報があふれていまして、「コロナに効く」とウワサされた食材は一瞬でスーパーの棚から消えるなど、不安の中で我々もパニックになりがちです。

そういえば疫病パニック映画「コンティジョン」でも、有名ブロガーがSNSで『レンギョウという薬草が熱病に効く』とフェイクニュースを流して大儲けをたくらむ、というシーンがあります。

コロナ禍についても、某国家が主導して大量のSNSアカウントを通じて偽情報拡散をしている、との英国専門家の発表もニュースになりました。 僕たちもよっぽど気を付けて「だしいりたまご」しないといけませんね。

 

〇たまご業界にもあるフェイクニュース…!

以前に、卵の業界に限っても「〇△健康水で鶏を育てているので、ウチの卵はアレルギーに効く!」なんて風な、食べるお子さんの命に係わるフェイク情報を流している卵販売者もいました。(「この卵は食べてもアレルギー症状出なかったよ!」の怖さ | たまごのソムリエ面白コラム

反対に、「たまごを食べると組み換え飼料の謎成分が蓄積される」や「白身を食べるとはげる」なんて根拠のないデマを平然と流すWEBメディアサイトもあります。(「たまごかけご飯を食べるとはげる」という迷信→はげません | たまごのソムリエ面白コラム

業界では襟を正しフェイク情報は自浄し、また誤った外部情報にはきちんと反論していく姿勢が必要だと感じます。

なんにせよ、軽々に乗せられてデマを広げる側にならないように、「だしいりたまご」で一歩止まって考えてみないといけないですね。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , ちょっとつぶやき 2020年09月24日

こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

いちおしメニューは少しでも出数を増やしたいですよね?

そんなときのちょっとしたコツとして「食感・オノマトペを書く」というものがあります。

日本は『食感の国』なんです。

サクサク

もちもち

ぱりぱり

“食感”を表す語彙の数が、他国と比べて圧倒的に多いのです。

雪と共に生活するエスキモーの言葉には『雪』を表す単語が数十語もあるそうですが、同じように日本人は『食感』を大事にしてきたとも言えます。

実際、日本人の食感に対する許容性は相当広いものがありまして、例えばこんにゃくカマボコの食感。弾力と歯ごたえが好きな方は多いかと思います。

ですが、海外では「ゴムみたい…。」とさっぱりウケません。

でも弾力を減らして食感を変えたカニカマボコは欧州で「20世紀最大の食の発明!」とまで言われる大ヒットとなっています。面白いですね。あとネバネバ食感も、世界的には好きな方はごく少数派だとか。

 

〇オノマトペというだけで好印象!?

加えて、「オノマトペ」。(もぐもぐとかヨチヨチとかニコニコとかツルツルとか擬音語・擬態語のこと)

語彙の研究によると、食に限らず、どの国でも、オノマトペは9割以上が肯定文なんだそうで、もしかすると否定する文章があまり無い事も、『ポジティブな表現』として印象良く受け止められやすいのかもしれません。

ですので、

「ふわとろオムレツ」

「しっとりロールケーキ」

「ほくほくゆでたまご」

「なめらかふわり!玉子サンドイッチ」

みたいなカンジで、なんでも良いので『食感』をイメージしやすい言葉を加えることで注文数が増える、例えばオムライスでは販売数が17%増加したとのデータもあります。

「わくわく」などの雰囲気ワードとか、「香りスッキリ!」みたいな匂いイメージなんかも良さそうですが、『食感』のキーワードがさらに影響大きいようです。

中部大学の小川教授は、「食感は美味しさの6割を占める」と述べています。

本能的にお客様もそれを感じながら美味しさを求めているのかもしれません。

ちなみに、一般的な傾向として、景気の良い時は強い音素、景気の悪い時は柔らかい音感が好まれるというデータもあるようです。

好景気→「バリバリ」「お肉ゴロゴロ」

不景気→「ほろほろ」「ふんわり」みたいなカンジですね。

なんにせよ、一言加えるだけで、美味しさ魅力が上がりオーダー数が増えるなら、ぜひやってみる価値があるのではないでしょうか。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

(参照:新食感事典・西成勝好)

カテゴリー | ソムリエ日記 , 飲食店さまへ 2020年09月17日

こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

スペインのバスク地方というところに、面白い竜の伝説があります。


ある山に、恐ろしい竜が住んでいました。

頭が7つ、体は大蛇のように長く恐ろしい風体で、夜ごとに美しい娘を食べに村にやってくる。

今宵も生贄に選ばれた娘が、洞窟の前に座らされました。

ところが、今度ばかりは!とある若者が立ち上がったのです。

装備を整えて、娘を食べにやってくる竜を待ち構えた。

果たしてやってきた7つ首の竜に若者が切りかかり、戦いが始まりました。

若者もかなりの手練れで、竜とすさまじい戦いを繰り広げます。

と、戦いの合間に若者が、

「ああちくしょう、もし今、一杯のワインと、この娘さんの麗しいキスがあれば、お前なんかすぐやっつけてやるのになぁ…!」

と竜に向かって叫びました。なかなかキザですねェ。

すると、竜が答えたのです。

「ウワハハ!!そんなものでワシを倒せはせんぞ!!ワシに勝てるのは、この額に卵をぶつけられる者だけだッ!!」

そのやりとりを横で聞いていた娘は、サッと村へ取って返し、卵を持って帰ってきました。

「卵よ!」と、若者にその卵を渡し、共に投げつけたところ、

竜の額に当たって、アッサリ竜は死んでしまったのです。

めでたしめでたし。


ええ……!?

そんなので良いの…!?

……とは思いますが、実は「卵が竜を倒す武器」なのは“竜の伝説”としてはわりと良くある『定番』なんだそうです。

謎のおばあさんからもらった卵だったり

たまごに呪いをかけて武器(?)にしたり

黄身の無い特別な卵だったり

そんな卵で竜を倒す似たお話が各地にあって、西洋の人からするとそこまで奇異なストーリーではないのだとか。

うーん…、日本で「山んばをとんちで退治する」話にいろんな地方バリエーションがあるような感覚でしょうか。

 

〇たまご=聖なるものという古い信仰

キリスト教以前の信仰でもあるのですが、「たまご=聖なるもの」という考え方はヨーロッパでも広く見られます。その一部が残り、イースターエッグや断食明けの卵投げなどのお祭りと結びついているんです。

卵に対する敬愛する空気感といいますか、日本で言う鯛を「お祝いイメージ」でとらえたり、中国で桃が「不老不死の聖なるもの」として見られたりするような、そんなポジティブなイメージが卵に見られていて、たまご屋としてはなんだかうれしいですね。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの歴史・文学・文化学 2020年09月10日

こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

日本食品標準成分表というものをご存知でしょうか?

文部科学省が調査して公表している「日常的な食品の成分に関するデータ」のことです。

食品にたずさわる人なら、まず知らない人はいません。

調理師さんがカロリー計算をして献立を考える際の指標にしたり食品開発者が商品表示の計算に利用したり、いろんな使い方がされています。

この食品成分表「鶏卵」の項目で少し前に問題が起こったのです。

数年ごとに検査しなおして数字を改定するのですが、昨年(2019年)12月に5年ぶりの改訂がありまして、

なんと!「たまご」の栄養量が大幅にアップされたのです。

ビタミンDの量がいままでの約3倍、(100g中1.8㎍→5.2㎍)

ビタミンEは約5倍の数字に変更されたのです。(1.0㎎→5.1㎎)

かなり思い切った変更ですね~。

でも、それってなにが“問題”なのでしょう……?

 

〇健康こだわり卵が苦戦する…!?

実はこれ、鶏卵商品の「差別化表記」にかかわってくるのです。

たとえば、『この卵はビタミンEが通常卵の3倍です!』なんて商品を目にしたことありませんでしょうか?

“通常の卵”の栄養素の量が増えるということは、そういった表記が変わるということです。

『3倍含まれます!』が →例えば『1.1倍です!』とかになっちゃう。

これだとちょっとパンチ弱いですよね…

〇きっかけは選択ミス!?大幅変更の原因は

実は、大きく数値が変わったのには理由があります。

それは、検査するサンプルの一部に“栄養強化卵”を選んでしまったからです。

「栄養強化卵」とは、特別な飼料を食べさせることで、通常の卵よりも特定のビタミン等が多いたまごのこと。

そんな『栄養の多いたまご』を検査のサンプリングで選んでしまったため、今までの分析値と異なってしまったのです。

高校生の平均体力を調べようと思って、うっかり国体強化選手や甲子園球児を連れてきちゃった、みたいなカンジですね。

このことは文部科学省担当部署も認めていまして、

検査した数値そのものは訂正しないのですが、『※今回の調査試料には特殊な栄養強化飼料を給与した鶏卵を含むため~(中略)~通常の鶏卵の情報は本報告で更新される前の成分表2015年版(七訂)を参照のこと。』

……と注釈が入る事となりました。

〇そもそも今回のトラブルが起こった背景は……

さてこの件、

個人的には、

調査のヒトが間違っちゃうくらい店頭にたくさんの種類の“栄養の多いたまご”が並んでいる……ということが背景にあるんじゃないかと思っています。

現在、たまご業界は寡占化に向かっていまして、

大規模化、大企業への集約が進んでいます。

なので小さな農場はこだわりを打ち出し、

味や健康などいろんな差別化を試みているのが現状です。

寡占化の反動として多様化が進み、

栄養成分も、味も、以前よりばらつきがあると言えます。

今どきは売り場で10種を超えるたまごが並ぶのも珍しくありませんが、

例えばその内7種がこだわり卵で栄養成分が高いたまご…なんて事もあります。

「普通のたまご」を選ぼうと思ったら、栄養強化しているたまごだった…ということも、以前よりずっと起こりやすくなっていると言えます。

この「多様化」と「標準レベルの向上」という状況は、

僕たち卵屋にとってはライバルの多さとも言えますが、

卵好きにはワクワクする状況、そしてお客様にとっては喜ばしい事とも言えます。

 

余談ですが、

業界の変化による大きな成分値変更は、他の食材でも起こっています。

たとえば「ひじき」。

2015年の改定で鉄分の含有量が9分の1になりました。(100g当り55mg→6.2mg)

今回の卵の場合と逆ですね。

これは、昔ながらの鉄鍋で煮込んでいた工程から、今はほとんどがステンレス鍋を使った企業中心へと業界が変わってしまったから。

 

〇栄養だけなのか…?「良いたまご」とは何なのか?

では今後、僕たち卵屋がもっと差別化を計ろうと思ったら、もっともっと栄養強化した育て方をすべきなのでしょうか?

僕は、そうは思いません。

卵はそのままでも栄養たっぷり。『完全栄養食』とも言われ、そもそも体に必要なアミノ酸など栄養成分がピッタリの量で入っています。

身近な食材である「たまご」でより多く栄養が摂れるのは素晴らしいことですが、

あまりに栄養強化でインフレが起こるのは、もともとの「卵」のすばらしさを否定する事にもなってしまいます。

また、飼料としてたくさん食べさせた特別な栄養成分のうち、ほんの一部だけが卵の栄養として入る…。

ステキなことですが、なんだかちょっともったいない気もします。

「メニューになったときにどうワクワクしてもらえるか」という観点であれば、栄養成分以外にもいろんな価値があります。味や育て方、他にも伝えなくてはいけない価値は沢山あります。

今回のトラブル込みの改定も、もしかすると、卵の価値の在り方を皆で考え直すきっかけになるのかもしれません。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごのビックリ科学 2020年09月4日