小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記 SOMMELIER DIALY

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こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

先週末は「キリストの昇天日」でした。

イタリアの伝説によると、

昇天日生まれのたまごを食べると胃と頭と耳の痛みが治るんだそうです。

日本でも、明治時代に紹介されています。

『イタリアのモンフェラートでは、キリストが昇天した日に新しい巣で生まれた鶏卵は、胃と頭と耳の痛みを治し、麦畑に持ちゆけば麦奴の侵害を予防し、ぶどう園に持ち往けばその葡萄が霰あられに損害を受けることは無くなると信じられている』( 南方熊楠著 十二支考(下))

イタリアの伝説で健康になる、なんてちょっと素敵かもしれません。

来年は2021年5月13日です。

メニューイングのヒントにいかがでしょうか?

また、デスクワークで目や頭の疲れが出ている方、ぜひ今、量販店さんに並んでいる卵を食べるとちょうどそれくらいの産卵かもしれません!

ゲン担ぎにいかがでしょう?

カテゴリー | ソムリエ日記 , 面白たまご話 2020年05月24日

こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

たまごと偉人のエピソード第19段

今回はルネサンス期の彫刻家であり建築家フィリッポ・ブルネレスキさん。

とにかく聡明で発想豊かな方で次々と建築の新技法を編み出し、

イタリアのフィレンツェを代表する建築物サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂を設計した人として有名です。

この大聖堂、プルネレスキさんの考案した技術により「現存する世界最大の石積みドーム建築」として世界中の人から愛でられております。

さて、このプルネレスキさんの逸話です。


フィレンツェ市が、サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂を建てる事になった際。

「フィレンツェの新しい顔になる建物にするぞ。」という大きな期待もあり、広く建築家を募集しました。

特に、中心となるクーポラ(ドーム屋根)

コレの大きなものを作ろうとすると、とっても難しい。

いろんな建築家が案を出しましたが、どれも下から支える枠や土台にすごく費用と手間のかかる案ばかり・・・。

そんな中、プルネレスキさんは「いっさい仮枠や足場は必要ない。そんなもの無くても建てられるよ。」と、直接出向いて話をしました。

「バカなやつだな。その“方法”の図面すらないじゃないか。方法も言わないヤツの案なんか採用するもんか。いや、そもそもできっこないだろう。」

周囲の嘲笑の中、プルネレスキさんは、

「じゃぁ、大理石の上に卵を立てられますか?皆さん。支えが無くても平らな大理石にまっすぐ立つなら、大聖堂のドームだって枠なんか無くても建てられます。」

皆がやってみますが、ツルツルコロコロと転がって、卵を立てることができません。

「できるもんか。じゃあどうやるのか見せてみろ!」

そんな中でプルネレスキさん、卵のお尻をコツン!と割って平らにして、それから卵を立てました

「なんだそりゃ(笑)そんなの知ってりゃ俺たちだってできるわい!」

との返答に対して、

「その通り。気づいたら誰でもできる、でもいちばん始めは難しいですよね。大聖堂だって、もしボクの図面を見せたら『誰でもできる』って言うでしょう? だから図面は見せません。でも僕の方法は無理じゃない。ゼッタイ素晴らしい大聖堂のドームができます。」

そのプレゼンで、みごとプルネレスキさんは大聖堂ドームの建築を任される事となったのです。

めでたしめでたし。


ん・・・・・・?

なんか、このお話って聴いた事あるぞ・・・・・・!?

…と思った方、そのとおり。

これ、「コロンブスの卵」のエピソードと瓜二つなのです。

念のため説明しますと、コロンブスの卵とは、

『アメリカ大陸発見後のパーティで「あんなもの西へどんどん行きゃ誰でも見つけられるさ。」と揶揄されたコロンブスさん、「この卵をテーブルに立てられるかい?」と投げ返し、誰もできなかったのを見た後に、たまごのお尻をつぶして立てました。「知ってたら誰でも行ける」…というのはこの卵立てとおんなじさ。』

というお話。

確認するとプルネレスキさんの逸話の方が15年ばかり早い。コロンブスさんのエピソードは後世の演出で、どうも元ネタなのはプルネレスキさんの方のようです。

うーん、それでもコロンブスさんの話の方がが有名になっちゃったのは、やっぱり「大陸発見」と「建築」とのインパクトの差でしょうかね…。

ともあれ、プルネレスキさんは建築のみならず彫刻や金細工、絵画など他の芸術面でも活躍をしておりまして、

例えば、今では常識となっている「遠近法」という表現技術も考案しています。

遠近法、つまり

「遠くのものは小さく、近くの物は大きい」

という考え方。

現代では当たり前ですが、「モノの大きさが変わったりするわけないじゃん。」という当時の常識にとらわれていては、なかなか気づかない発想とも言えます。

遠近を考えた表現作品を見た瞬間に「ああ!そりゃそうだよなぁ。」と皆が実感できる。

これもまさにコロンブスの・・・いやいやプルネレスキの卵ですね。

これまでに無かった視点での発想

それを実現するアイデア

そして周囲を納得させる説得力

もしプルネレスキさんが現代に生まれていたら、スティーブジョブズやビルゲイツばりの大実業家になっていたかもしれませんね。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

(関連:あの文学者は大魔導士だった!?イタリアの「たまご城」伝説-たまごのソムリエ面白コラム

こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

緊急事態宣言を受け、全国「籠城」の一ヵ月ですね。

どこへも出かけられないことから、自宅でできるニンテンドースイッチなどのゲーム機がどこで探しても売り切れなんだそうですね。

先月発売のゲーム「あつまれ!どうぶつの森」は世界で700万本の大ヒット、また自宅で運動できるゲーム「リングフィットアドベンチャー」は空前の品切れ状態だそうです。

すごいですね~。

さて、ニワトリさんが人類に飼われるようになって4千年以上経つのですが、実はずいぶん長い間、ニワトリは「食べもの」では無かったのです。だいたい千年~二千年くらい。

食べる為…ではなく、

どこへも行けない時にヒマをつぶせる「娯楽」、

そして「生活道具」だったのです。

まさに今の「ニンテンドースイッチ」と同じ!

もともとニワトリさんは「赤色ヤケイ」という東南アジア中心に生息していた小さな鳥。

獰猛で飼いにくく、肉もそんなに付いてなかったのです。

もっとおとなしくて飼いやすく、肉も多くて美味しい鳥はいくつもいました。

いや、そもそも「鳥」のお肉って家畜には向いてなくって、量産飼育されはじめたのが18世紀くらいからなんです。

それまでもモチロン食べていましたが、

鳥って、ウシや豚と比べて体が小さい=内臓の割合が大きいので、腐りやすいのですね。

遠くまで運べない。

なので、食用の家畜としてはそれほどメリットは大きくなかったのです。

たまごも、毎日じゃなく春だけしか生みませんでしたし。

そんなニワトリさんがなぜ人類と共に時を歩むようになったかというと、ニワトリさんが抜きんでていた価値、それが「正確な時間」と「闘うこと」だったのです。

「正確な時告げをする」

「闘鶏を楽しむ」

この2つの価値が圧倒的に強かった!

季節で夜明け時間も変化する昔において、「朝の同じ時間を知らせてくれる」ことはモンノスゴク重要だったのです。

また、飼うのにはイマイチな「獰猛」という性質、

戦いを楽しむという点ではすばらしい価値になったのです。

古代ギリシャでは軍神アレスのシンボルは「ニワトリ」でした。闘鶏から来る「勇猛さ」を表していたと言われます。

インダス文明でも闘鶏を表した土器が出ており、

また中国でも食について書かれるずっと前に、紀元前10世紀ごろにはすでに「闘鶏」について文献にでているんですね。

大事に育てて戦わせる。

ポケモンみたいなカンジでしょうか。

日本でも宮中では3月3日は千年以上前から闘鶏を行っていました。

いまだに闘鶏大好き国なタイでは、3百万人が参加しています。

ニワトリ=「娯楽」の図式は、

食の歴史よりもずっと古いのです。

いや、もちろん年とって戦わなくなった鶏さんは食べられたりしていました。でも老鶏じゃ肉も硬いし…最初は美味しいから普及した、ってわけじゃないんですね。

身近にいる貴重な娯楽として・また貴重な時告げのために、鶏さんは世界中に普及して長い長い年月の品種改良のあと、美味しい食を支える存在となりました。

現在では世界で110億羽!もの鶏がいます。

牛・豚が10億頭前後ですから、圧倒的ですね。

強みを活かしつつ、時間をかけて新たな価値をつくりだしていく。企業も同じかもしれませんね。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

(参照:「ニワトリ 愛を独り占めにした鳥」光文社新書)

カテゴリー | ソムリエ日記 , 鶏さん・鳥さんのコト 2020年05月20日

こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

世界最大の卵、って何の鳥か知ってますか?

「そりゃダチョウだろう。」

とおっしゃるかと思います。

実は、ニュージーランドの国鳥・キウイ

あのカワイイ鳥の卵は、ある意味「世界最大」なんです。

キウイの卵はお母さん鳥と比べた大きさ』が世界一!

例えばニワトリさんの場合

だいたい体重が2kgほどで、タマゴは平均60gちょっと。

お母さんニワトリの3%くらいの大きさですね。

この比率、世の中のあらゆる卵でだいたい同じでして、

どの鳥も、親鳥さん体重の1~8%になります。

ダチョウのタマゴは1.5kgの重さがありますが、

お母さんダチョウは120kg、卵は体重比わずか1%です。

ところが、キウイさん!

お母さん鳥の体重はニワトリさんと同じく2kg程度ですが、

卵の大きさは何と!500グラム超もあります。

体重比で25%を超えるんですね。

うーん、すごい!

人間で言うなら、15kgほどの赤ちゃんを産む計算になります。

「小さく生んで大きく育てる」

という言葉がありますが、完全にその逆ですね…。

↑はウチの息子が15kgくらいのころですが、こんなんなるまでお腹の中にいるなんて……!

レントゲン写真で見ると、卵を産む前のキウイさんお腹の中はとんでもないことになっています↓

ほぼたまご!

いったいナゼこんなに大きな卵を産むのかというと、

元々キウイさんはダチョウやエミューのように大きな鳥だったそうです。それが外敵がいない中でだんだんと燃費の良い小型へと進化(?)していったのだそうな。

で、卵だけがそのままのサイズで残ったんですね。

ちなみに進化したことで、

羽が無くなりました。飛ばないので。

目もほぼ見えなくなりました。

その代わりに嗅覚がめっちゃ鋭くて

足もメチャクチャ速いんだとか。

かなり思い切ったステータスの割り振りですね。

不採算部門を切ってベンチャー化した元大企業、みたいなカンジでしょうか。

 

ダンナもスゴイぞ!キウィの子育て

そして、こんなに大きくなるまで苦労して産むのに、生まれてもまだ「たまご」なんですね(当たり前ですが…)

そこから温めて、ふ化させないといけないわけです。

しかも、

卵がふ化するまでの期間がモノスゴク長い!

ニワトリさんなら約21日ですが、キウイはなんと75日!

2カ月半も温め続けないと生まれません。

ただ面白いことに、温めるのはオス♂です。

ニュージーランドには「キウイハズバンド(キウイの夫)」という言葉がありまして、家事や子育てを積極的に手伝ってくれる夫のことをこう呼びます。

うーん、夫婦でスゴイんですねェ。

ぜひ世の夫の皆さまはキウイを見習って家事子育てに積極的に勤しんでみるべきですね

コロナ禍の自粛中は特に。

キウイのように、

世界最高!?の立派な子供に育ってくれるかも……!?

 

〇たまご屋として気になる!キウイ卵の味は…?

ステキな夫婦話をした後にどうかと思いますが、やはり卵屋としてはキウィ卵の味がきになります。

現在キウィはニュージーランドの国鳥なので、卵も親鳥も食べるのは法律で禁止!です。残念。

ただ、カンタベリー博物館の自然史担当シニア・キュレーターで、『Field Guide to the Birds of New Zealand』という専門書の著者でもあるポール・スコフィールド博士によると、キウイさんの肉と卵は「おそらく美味しくないだろう。」との事です。

仕事柄、キウィさんのはく製を何度も作られたそうですが、脂肪が多く非常に土っぽい腐敗っぽい香りがとても強く「ハッキリ言って、食べても不愉快な味だと思う」そうで、おそらく土中の虫などを主食にしている事が原因だろうと推測しています。卵の味は肉以上に食べるモノの影響を受けますので、たまごも味は期待しない方が良さそうです。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

(関連:こんなにある!世界で食べられている鶏サン以外の鳥卵10種 | たまごのソムリエ面白コラム

(関連:1並びの日にちなんで世界一たまごを紹介します その2 | たまごのソムリエ 面白コラム

(関連:超めずらしい!哺乳類にも卵を産む生き物がいる|たまごのソムリエ面白コラム

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごのビックリ科学 2020年05月18日

こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

中国語で「煮」というと、文字通り「煮る」ことを意味しますが、

「烹」という言葉もあって、

これは「煮る」と「油で揚げる」の両方の意味があります。

訳者さんが、少々戸惑う事もあるのだとか。

ゆで玉子の料理に、

「虎皮蛋(フゥヒイタン)」なる料理があります。

これは、ゆで玉子をサッと素揚げしたもので、表面が香ばしく「虎の皮」みたいになっているからそう呼ばれるのだそうです。

細かな隙間が表面にできるため、

ダシやスープがとても良くしみこんで、

とっても美味しいんですよね。

この虎皮蛋は中国料理なのですが、

実は熊本県の郷土料理でもあります。

昔むかし、熊本に移り住んできた中国の料理人さんが広めた、太平燕(タイピンエン)という春雨スープに欠かせない玉子料理なのです。

面白いですねぇ。

この料理、たまごを煮てさらに揚げるわけですからまさに「烹」の料理ですね。

そういえば日本では、

カウンターでこじんまりと楽しむ和食のお店を「割烹」と呼びます。

煮たり揚げたりする料理がメインだからなんでしょうか?

この虎皮蛋、中国ではホイコーロー的な「甘辛い味付け」が主ですが、日本熊本式のスープ入れとはまた違う魅力とボリューム感があって、とっても美味です。

ちょっとひと手間の料理ですが、ぜひこういった新メニューも面白いのではないでしょうか。

ここまでお読みくださってありがとうございます。

こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

本日はちょっと古いたまご話を。

イタリアの古典物語に「セレンディッポの三人の王子」(1557年)というものがあります。セレンディッポ(スリランカ)の王子達が旅をし、知恵と工夫で様々な事を乗り越えハッピーになる、というお話です。

その中に、卵のエピソードがあります。


インドの女王に会った時の事です。

3王子の末弟に女王が、謎かけを出しました。

『ここに5つの卵がある。コレを割ることなく、私と大臣とあなたの3人で均等にわけるのじゃ。できるか?』


うーん……、ちょっとムズカシイですねェ。

サイズが違う卵なら、個数が違っても重量で均等に分けることもできるかもしれませんが…

あなたなら、どうしますか…!?


この質問を聞いた王子は、

5つのたまごの内、

3つを女王の前に置きました。

そして、1つを取って大臣の前に、

最期の1つを取って、自分の前に置きました。

「女王様には3つ。私と大臣はすでにズボンの中に2つのタマゴを持ってますので、あと1つずつ。これで3人の“卵”は均等になりました。」

未婚だったインドの女王は、顔を赤らめながらもその答えに満足したそうな。


・・・・・・というわけです。

いかがでしょうか。

うん、下ネタですね。

女王に理解があって良かったですが、機嫌が悪ければ投獄されていたかもしれませんね(笑)

 

ステキな偶然に出会う能力「セレンディピティ」

大衆向けだったこともあって下世話なネタがいくつもある物語ですが、この「セレンディッポの3人の王子」のお話からひとつ、人生を幸せにするステキな“言葉”が生まれました。タイトルに由来して「セレンディピティ」といいます。

『出かけた先で偶然大ファンの芸能人に出会う』

『出張先で思いがけずステキなお店を見つける』(孤独のグルメ)

『困っているおばあさんを助けたら偶然大金持ちの取引先だった』(サラリーマン金太郎)

こんな風に、

うわ!たまたまでこんな幸せな事に巡り合うなんて…!

……という偶然って、ありますよね?

「予想してなかった幸運に会う」

そんな“能力”が「セレンディピティ」です。

失敗作を一晩放っておいたらできた「ポリエチレン」の発明や、

航空機用レーダーの使用中におやつのチョコレートがとけちゃった事でできた「電子レンジ」などがコレですね。

「三人の王子」の物語では、道の片側の草しか食べられていなかった事から「片目のラクダが前を歩いていた」と推理し、その事で「意外な幸運」に出会います。

ポイントは、ただのラッキーじゃないということ。

その偶然の幸運を得るだけの才知があるからこそ、意図せず幸運に出会える。

上記の「ポリエチレン」や「電子レンジ」も、ぼーっとしていればその発明に気づかず捨てちゃって終わりだったでしょう。

棚ぼた、という言葉がありますが、棚の下にいて上を見てない事には、ぼたもちを食べられないですよね。

普段から気づき、考え、またチャンスのある場所へ行くことで、予想しない幸運に会える能力を磨く。

女王に「卵のなぞかけ」を出される、なんてことは無いでしょうけど、ムズカシイ相談を頂きそれが幸運なチャンスにつながる事は僕の人生にも大いにありそうです。

三人の王子に習い、英知と気づきを磨いてまいります。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

(関連:グリム童話の「熱いたまご」 たまごのソムリエ面白コラム

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの歴史・文学・文化学 2020年05月11日