小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記 SOMMELIER DIALY

たまご・鶏のことわざ 記事一覧

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

たまご鶏のことわざ 第81弾

今回は英語圏のことわざです。

<ガチョウのたまごをもらう>

これ、テストなどで0点をとることです。

「テストどうだった?」
「散々さ。ガチョウのたまごもらっちゃったよ。」

みたいな使い方ですね。

たとえば少し前、
米国ヘラルド紙の記事で

『全く何もさせず:マホメット・セイモア、マウント・ザイオンに4-0でガチョウの卵を落とす』
(“Absolutely nothing: Mahomet-Seymour drops a goose egg on Mt. Zion 4-0”)

なんて見出しが出てました。

https://herald-review.com/sports/high-school/baseball/boys/absolutely-nothing-mahomet-seymour-drops-a-goose-egg-on-mt-zion-4-0/article_5a960d8a-ba31-5802-997f-9dc03375b8b0.html

これは、
5月13日イリノイ州の高校野球で、
マホメット・セイモア校ディフェンスが
マウント・ザイオン校を0点に抑え、
4-0の判定で完封勝ちした。

 

という記事ですが、
『0点』を伝える見出しが
『ガチョウの卵』になってても
ちゃんと通じるわけです。

なかなか面白いですね。

 

なぜガチョウのたまごが0点かというと、
理由は見たまんまでして、
たまごのカタチ=「0」だから。

日本でも、
通信簿が2ばっかりなのを
「アヒルの行進だ・・。」
なんて言ったりしますよね。

 

ちなみになぜガチョウかというと
ガチョウのたまごは
鶏卵よりもひとまわり大きいので

「えらいものもらっちゃった」感
より出るからなんじゃないかと
思っています。

ちなみに同じく鶏卵より
ちょっと大きめサイズな
アヒルのたまご(duck egg)も
同じ0点の表現で使われます。

 

◆0点な卵を季節メニューに!

たとえば、あなたのお店で
おもしろく活用するなら、

受験シーズンに
たまご=0点を食べつくして合格だ!」
みたいな合格祈願的な
縁起物メニューのストーリーに
持っていけるかもしれません。

キットカット→きっと勝つと

みたいなダジャレで
受験生に人気になるくらいですから
合格ラーメンとして見ためダジャレな
0点たまごを活用したって
良いんじゃないでしょうか。

ぜひ、来年の年明けあたり、
いかがでしょうか!?

ここまでお読みくださって、
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご・鶏のことわざ 2023年05月24日

バターとたまご・・・って
めっちゃ相性良いんです。


世界のたまご鶏のことわざ慣用句、第80弾
今回はアメリカから。

<バターアンドエッグマン>

バターと卵の男・・・
ヘンな言い回しですね。

これ何かというと、
『田舎の土地成金や金持ち農家で
都会に出てきて豪遊&散財する
人のこと』を指します。

言い換えるならば、

『金持ってて警戒心の無いバカ』

という揶揄ですね。

「バターたまご野郎だぜ。」みたいな。

現代日本のスラングで、
目立たない暗い男性を
「チー牛(チーズ牛丼)」と
呼ぶのに近い言い回しです。

 

この語源は、
百年前に一世を風靡した
女優で実業家、ナイトクラブの女王
と呼ばれた女性テキサス・ギナンさん
が田舎者を指してこう言ったのが
今でいう大バズりしまして、
流行語として定着したものです。

 

そして1925年に
ブロードウェイのミュージカル
『バターアンドエッグマン』
そのまんまのタイトルで
コメディ物語になりまして、

これが大ヒット。
その数年後に映画になって
そちらも同じくヒットしたんです。

ちなみにストーリーは・・・

 


成功を夢見てオハイオからNYへ
出てきた青年ピーター。

街について早々に、
怪しげな劇団オーナー・
レーマンとマクルーアに
だまされて、次の興行に
1万5千ドルの有り金を
すべて出資してしまう。

 

その演目を試演するも大失敗、
逃げ出そうと決めた2人から
興行権利をすべて買い取らされ
一文無しに・・・

 

ところが一座の主役女優メリーの
活躍で思いがけずブロードウェイで
大好評、新聞も大絶賛!

二人で喜びあっているところに
弁護士がやってきて

「この演目は著作権侵害をしている。
のちほど訴えて差し止める。
訴状を待っていろ。」

 

しょげかえっていると、
譲渡して逃げ出した
レーマンとマクルーアが
戻ってきて、

「やあ、こんな成功するなんてね。
やっぱり俺たちが買い戻すぜ。」

・・・と厚かましくもいうものだから
なにくわぬ顔で「4万ドルなら。」と
売り返し、メリーと結婚してめでたしめでたし…


というお話です。

なかなか面白いですね。
ちなみに日本では
「狂言成金」の邦題で
通っています。

 

◆酪農と養鶏のすごさ

ア ーカンソー州・ジ ョージア州
アラバ マ・ミシシ ッピーにテキサス州
は養鶏の5大生産地なんて
言われてますが、

1900年代初頭以降、
このバター&エッグマンの頃から
猛烈に酪農と養鶏産業が伸びてるんです。

バター(酪農)と卵(養鶏)で
まさに「成金」といえる田舎の成功者が
多く出てきた時期とも言えます。

揶揄する言葉ではありますが
一種の羨望も入った
なかなか興味深い表現です。

 

ボクはぜんぜん儲かってるわけじゃ
ないですけども、「たまご男」なら
ぜひ言われてみたいですね~。

 

ここまでお読みくださって、
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご・鶏のことわざ 2023年05月14日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

世界のたまご鶏ことわざ 第79弾

今回はドイツから。

<『卵は卵だ』と言ったが、小役人はガチョウの卵を取った>
“An egg is an egg,” said the beadle, but he took the goose-egg.

ヘンなことわざですが、ようは
「同じだよ~。」と言いながら
よりトクするものを持っていく
ずるい行動のことです。

 

いますよね~。
イベントの準備なんかで
「みんなで分担ね♪」
なんて言って、
いちばんラクな役割りを
しっかり先に取ったり…。

 

こばやしは子供の頃、
法事でもらったお菓子を
子供たちで分ける際

「ぼくがやるね!」
なんて言って、
一番人気のチョコパイを
自分に4つ取って、
起こられたことがあります。

「数は合ってるじゃん・・!」

なんて抗弁しましたが、
まさに小役人のガチョウ卵ですね。


 

このことわざは前提として、

「ガチョウの卵は鶏卵
よりも価値が高かった」

…という事が分かってないと
なんじゃこりゃ?と
なっちゃいます。

ガチョウのたまごは
鶏卵より2.5倍も大きく
味は濃厚でクリーミー、
年間に産む量は鶏卵よりも
少なく希少なんです。

黄身の割合も多くて
好きな人も多いんですよね。
今でも高級品としての位置づけに
なってます。

 

以前ご紹介したことわざで

『ガチョウの卵をもらうために鶏の卵を屋敷に持って行く』

というのがありますが、
これも「エビで鯛を釣る」
つまりより高価な
「ガチョウのたまご」に
替えてもらおう、という
意味なんです。

 

ちなみにこのことわざの
小役人(ビードル)とは
教会で案内や宗教的行事の
補助をする人のことで、
『偉い人の使いっ走り』
的なイメージもあります。

英国だと“学生代表としての補佐役”
みたいな立派イメージがあるそうですが

このことわざでは
スネ夫的なイメージでしょうか!?

 

なんにせよ、
目先の小さなトクを得ようと
考えちゃうよりも、

自他の心で
多くの人のハッピーを
目指す方が、

結果として信頼され
得られるものも多いわけです。

 

企業も同じですよね~。

たとえば老健施設で
必ず地元町内からしか
仕入れをしないグループが
ありますが、
仕入れコストは合い見積もり
より高くなっても、

地元の信頼が増える方が
メリットになっているわけです。

 

社会貢献を第一にして
結果として繁盛する。
先義後利を
自分でも心に銘じてまいります。

ここまでお読みくださって、
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご・鶏のことわざ 2023年04月18日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

たまごのことわざシリーズ第78弾
今回はドイツのことわざです。

<サラダを飲むのは1ダカット分の医者、
卵を飲むのは2ダカット分の医者>

“Drink upon salad costs the doctor a ducat; drink upon eggs costs him two.”

「ダカット」は中世の金貨一枚のこと。

つまり
『毎日サラダとたまごを食べれば
高額の医者代がいらなくなる、
健康になるよね!』
・・・ということわざです。

たしかに・・!

「野菜は食べるべき。健康に良い」
こっちの方はみなさん
イメージをお持ちでしょうが、
「たまごを毎日食べるのは
その2倍!カラダに良いんですよ~。」
というのは
たまご屋として大変興味深いことわざです。

じっさい、中世ヨーロッパでは
たまごが薬的な位置づけだったこともあり、
お酒と合わせた栄養ドリンクとなって
そこから「カクテル」が生まれた、なんていう
説もあるくらい

あと、なかなか面白いなあと思うのが
健康の大事さを「お金のコスト」で
表現している点。

ふだんの生活スタイルで、
じつはこれだけコストがかかるんだよ
という表現って、
なかなか攻撃力ありますよね。

たとえば「減塩しましょう。」
なんて言われるよりも、

「塩ひとつまみ減らすと
生涯医療費が200万円下がるよ。」

なんて言われた方が
インパクトあるかもしれません。

そういえば
何年か前に見学させていただいた
ある食品工場さんでは
設備機械に『外車の写真』が
貼ってありました。

「よく台車でぶつけるんで、
大事に扱ってくれ、って
つもりで貼ってあるんだ。」

とのことで、

「これはメルセデス・ベンツSクラスと同じ価格の機械」

「これはフェラーリ296GTBとおなじ価格」

「これはレクサスLSとおなじ」

なんて分かるわけです。
じつは食品工場ってそんな高価な機械が
ゴロゴロしているわけで、意識すると
たしかにちょっとビビりますね(笑)

コスト視覚化のインパクトってすごいです。

あなたのお店のメニューでも、
もしかすると「お値打ち」
「リピートイチオシ」の
イメージ視覚化がウケるかも!?

あ、あと
じっさい卵を食べると健康寿命
が伸び、薬並みに効くのが
分かっています。医療費コスト
下げるなら、毎日の卵です。

ここまでお読みくださって、
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご・鶏のことわざ 2023年03月18日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

たまご鶏のことわざ第77弾
今回は英語圏からです。

<野生のガンは飼いならされた卵を産まない>
“a wild goose never laid a tame egg”

『次の世代には親やご先祖の気質が
遺伝しているよね。』
という意味のことわざです。

日本語で言うなら、
「カエルの子はカエル」でしょうか。

ただし、
日本のカエルよりも
ニュアンスが攻撃的です。

ガンは英語でワイルドグース
つまり“野生のガチョウ”ですが、
これ「傭兵」の意味もあるんです。

対して
「飼いならされた」の部分
「テイム(tame)」は
『従順で無気力でおとなしい』
みたいな意味。

ですので、たとえば
・範馬勇次郎に育てられたら軟弱にはならない
・テロ国家が変わるわけないだろう
みたいなちょっとマッチョ思想な
バトル的・物騒なことわざなんですね。

英語圏辞書をみても、

“A wild goose never laid a tame egg, so come on—we have to impose sanctions on that nation!”
“ガンは決して飼いならされた卵を産まない―ならば、さあ、あの国に制裁を加えるべきだ!”

“ ​We must never presume that humanity will be without violence; after all, a wild goose never laid a tame egg.”
“人類に暴力が無くなるなどと決して思ってはいけない。なにしろ、野生のガンが飼いならされた卵を産むことはないのだから。”

なんて物騒な用例が書いてあったりします。

なかなか面白いですね~。
カエルとはえらい違いです。

ただ、考えてみると
遺伝子的にはティラノサウルスは
数億年を経た進化の果てで
ニワトリに変わったわけですし、

千年の育種を経て鶏卵は
美味しい味のものが
ほぼ毎日生まれるよう、
品種が変わっています。

みごとに『飼いならされた』
たまごだと言えます。

商売でも、
2代、3代と続く中で、
創業の気風を残して継いでいくのも
もちろん大事ですが、

変化対応する中で
飼いならされた卵となる
ように柔軟に変化することも
必要なんじゃないでしょうか。

ここまでお読みくださって、
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご・鶏のことわざ 2023年02月24日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。
本日はたまごの名言シリーズです。

『たぶん、世界で一番プライベートなもののひとつは、割る前のたまごである』(M.F.K.フィッシャー)

“Probably one of the most private things in the world is an egg before it is broken.”

M.F.K.フィッシャーさんは、
20世紀後半に米国で活躍された
女性料理研究家・作家さん。
数十冊の著作を残しカリフォルニアワイン・ナパバレーワインライブラリーの創設者としても知られています。

フランスの美食家で政治家
ブリア・サヴァランの『美味礼讃』
を現代風に英訳した方として
有名ですが、他にも

なかなか面白い本を書かれて
まして、たとえば
「オオカミの調理法」と題した
戦時下のため”の料理本があります。
(「How to Cook a Wolf」)

第二次世界大戦中の
食糧難のさなかに出版され

『限られた食材で
バランスの良い食事を
摂る手段とレシピ』とか

『停電中の調理方法』とか、
『眠れないときの料理』とか
『爆撃時のペットの対処法』まで
書かれてます。

ずいぶんと主婦の助けになる!
・・・と評判になりました。

またフィッシャーさんは

第二次世界大戦後に
混とんとして食のモラルや
魅力が低下していた米国に、

正統なフレンチ料理や
料理の歴史をめちゃめちゃ
分かりやすく伝え続けた
功績は料理人さんの啓蒙に
ものすごく影響が大きかった
とも言われます。

ようは、
移民国家である米国で
ルーツのさだかじゃない料理が
わらわら出てきてる状況に

古い料理の本を研究し、
歴史と共にわかりやすく
伝えることで、

『この料理って、
こういう歴史的な背景と
意味があったのか…!』

と料理人さんが気づく。
重みや魅力を知るきっかけに
なったわけですね。

その結果、たとえば
ニューヨークだけで
29もの星付きレストラン
が立ち並んでいます。

新しい食の発信地として
アメリカの食が位置付けられ
ているのは、フィッシャーさんの
おかげとも言えます。

歴史に埋もれて
しまっていた料理レシピは
まさに「殻にこもったたまご」

冒頭の名言と同じ
世界一のプライベートな
“情報”だったかもしれません。

それを割ってみせて
世界に共有してくれた。
広大な美食ワールドに
拡散してくださったこと

それが料理の発展になってますね~。

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご・鶏のことわざ 2022年11月11日