小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記 SOMMELIER DIALY

ソムリエ日記 記事一覧

たまごが高騰しています。
2年前の悪夢に近づいてますね。

同じく大変な米国では
庭でニワトリを飼う人が急増中・・・


こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

日本では今冬
鳥インフルエンザが多発してまして
14都道府県51農場で発生
934万羽が処分になっています。

その結果生産が減り
たまご相場価格が上昇中です。

そしてそれ以上に深刻なのが
今年の米国

なんとこの冬
今日までに1508農場で発生
1億5千3百万羽のニワトリ
処分になっています。

発生した州が赤色なんですが
このとおりまっ赤っか

これ、
日本の30倍くらい
被害がでてますね~・・・。

この鳥インフルのせいで
卵が大不足していまして

現在(2025年2月初旬)の米国では

卵平均価格は1パック
12個で4.15ドル(644円)。

 

ひー!めっちゃ高いですね。

米国農務省の価格見通しでは、
『今年中に卵の価格はここから
20%上昇するだろう』
なんてコメントを出しています。

そんな中
全米で2000店舗を経営する
大手レストランチェーン
『ワッフル・ハウス』が

卵一個あたり50セント(78円)の値上げ
を打ち出して話題になってます。

(関連:Waffle House adds 50 cent surcharge per egg – CBS NEWS)

メニュー当たりの値上げじゃなくて
「たまご一個当たり」ってのが

『理由はたまご。
それ以外ない。』

とストレートに伝えていて
えぐい感じですね~。

 

◆自宅の庭で飼う人が増加中

そのため、

「卵が高いなら自分でニワトリ
飼っちゃえばいいじゃん。」

・・・と
考える人が増えているんです。

(関連:High egg prices bringing backyard chickens to forefront)

バックヤード(裏庭)チキン
と言うんですが、

なるほど
広大なアメリカでは
広い庭つきの家がたくさんありますから
そんなに無理な話じゃないんですね。

動物愛護の流れにも沿ってますし。

そもそも

採卵ニワトリって
畜産の中では
個人で始めるハードルが
かなり低いんです。

動物サイズが小さいですし
うるさいわけでもない
何より肉とちがって
「殺して食べなくていい」のが
心理的に大きい。

それもあってか
これまでも鳥インフル大発生のたびに
ひよこを購入する人が多くでてまして

3年前の発生時には
業務用ひよこが各地で売り切れ
ちょっとした問題になったことも。

 

◆個人飼いはなにかと問題も…

でも、
鳥インフル発生&たまご不足時の
ニワトリ個人飼いって、

ちょ~っと問題があるんですよね。

 

問題①
防疫のリスクが上がってしまう。

発生こそしてますが、
農場での鳥インフル対策って
どこもすご~く高度に取り組んでいます。

たとえば
出入りのたびに踏み込み槽で殺菌
農場の周りには石灰を多く撒きます。

この時期なんて雪ふったみたいに
どこも真っ白なんです。

でも、一般家庭では
なかなかそうはいかないですよね?
有力な感染経路、野鳥ともカンタンに
接してしまう。

 

問題②
行政の把握が難しくなる

どの国でも
鳥インフル発生状況の把握・対策って
行政とすごく密に連携をとります。

それが、やっぱり難しくなってしまう。

 

問題③
ずっと飼うの?に問題がある

ニワトリって、
コンスタントに卵を産むのは
最初の2年くらいなんです。

でも、
寿命でいうと15年くらい
生きるんですよ。

 

『卵を食べるため』に飼うと、
卵を産まなくなったあと
それからの13年間どうするか。

これが難しい・・・。

・ペットとして死ぬまで飼う
・殺して調理して食べる

どっちかを
選ばないといけません。

 

日本も似たような状況です。

もし
「たまごが高いなら
自分で飼ってみようかな。」
とあなたがお考えなら、

上記の点、
考えたうえでご検討くださいませ~。

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

(関連:鶏を飼って卵を食べたい……と思ったときの注意 | たまごのソムリエ面白コラム

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの海外ニュース 2025年02月6日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

近所のスーパーで先日、
コンテナまるごとの
りんご販売を見かけました。

いいですね~!

こういうの見ると
テンション上がります。

いちはやく持ってきた感というか
『旬のもの』を買ってる感がありますね。

そういえば海外、
とくに欧州では
昔っから青果に対して
パッケージレスが普通でして、

スーパーの売り場も
こんなのが当たり前なんですよね。

たまごは輸送の観点で
はだか売りは一般的ではないですが、

たまに僕たちも
こういった売り方をすることがあります。

お客様にはわりと好評でして、

こういったパッケージレスの、
昔ながらの売り方ってもしかすると
いまの時代に合ってるんじゃないかと
思いますね。

 

◆たまご陳列は飲食店ならとくにアリ

そして、
こういった卵のはだか陳列って、
もうひとつメリットがあります。

それは、
飲食店さんでののディスプレイ。

ほら、ときどき飲食店さんで
下の写真のようなお店の食材を
ディスプレイしてますよね。

これをたまごでやるわけです。

たまごは本来
常温でも保存性がよく
2週間程度生食ができます。

 

「食材の回転が良く」見えて
お店のアピールにもなりますし、

「へ~、こんな卵つかってるんだ!」
と、こだわりの見える化にもなります。

他の動物食材ってなかなか
店内の陳列アピールは
しにくいですよね。
冷蔵じゃないと痛んじゃいますし。

生ハムくらい?でしょうか。

せひたまごのステキ陳列
活用してみてくださいませ~。

 

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , 飲食店さまへ 2025年02月4日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

明日から春節ですね!

今年の中国人旅行客の行き先
一位が日本とのことで、
特に人気の関西では大賑わいになりそうです。

 

飲食店さまでも
多くの来店がありそうですね!

 

とくに明日からは
看板やPOPの表記にアルファベットや
中国語の表現をいれておくと
ぐっと来店してもらいやすい
安心感が増えるかもです。

 

◆たまご料理は花の名前

アルファベット・英語表記じゃなく
漢字表現でも、
そのまま使えておトクな
場合があります。

たとえば「絶品」なんて言い回しは

中国でも

「すばらしい」

「超うまい」

みたいな意味ですので
日本人にも両方で伝わる
春節向きのぜひとも使うべき表現です。

あと、

「卵」って書いてっても
中国の方にはささりません。

「たまご」は、
蛋(たん)』と書きます。

タンパク質の「タン」。

卵はどちらかというと
生物学的な用語で
「おいしそう」という
イメージは無いのでご注意を。

 

また、中国では
たまご料理には
『花』のイメージがありまして、

料理名には花の名前がつきます。

上記の写真の
中国たまご料理

『芙蓉蛋』(フーユンタン)

世界的に浸透している
すごくアレンジが多い
人気料理ですが

この“芙蓉”とは
「ハイビスカス」のこと。

また、
ピータンは中国の別名で

「松花蛋」(松の花たまご)

と言います。

こんなカンジで
花のイメージが名づけられているんですね~。

 

いろんな日本食の紹介の際に
たまご料理の演出で
お花イメージを伝えてみても
おもしろいんじゃないでしょうか

きっと共感が増えます。

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

インバウンドでウケる意外な日本的たまご料理って!?その① たまごのソムリエ面白コラム

〇〇が違うだけ!?インバウンドでウケる意外なたまご料理 その② | たまごのソムリエ面白コラム

インバウンドでウケる意外な和食たまご料理 その③ | たまごのソムリエ面白コラム

カテゴリー | ソムリエ日記 , 飲食店さまへ 2025年01月27日

今週来週のたまごを食べると
“金運”が上がります!

お店のメニューに一言添えると
お客様のたのしさにも!


こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

昨日から大寒の候ですね!

凛とした空気に季節がきわ立って
ワクワクする時期です。

そして、
この「いちばん寒い時期」は
たまごの面白い『いわれ』があります。

中国の風水では

「大寒時期の卵を食べると
金運が上がる」

とされます。

これは、調べてみると

いちばん寒い時期は
鶏が一年でもっとも
たっぷり餌を食べる

→そして
めっちゃ滋養に富んだ卵を産む

→そんなたまごを食べると
体に活力が増す

→結果商売がうまくいく!

→金運が上がる

・・・という由来です。

じっさいその通りで
この時期のニワトリは
2割ほど多くエサを食べます。

卵質も最っ高に良いものなんですね。

たまごを食べてても
いつも以上にパワーを感じますね。

 

金運なんてあいまいな概念ですが
個人的には説得力がある
いわれじゃないかと思ってます。

 

◆メニューでも季節感の魅力になる

ぼくは以前からたまごで
お店のワクワクや季節感になると
思ってるのですが、

とくにこの大寒の候のたまご
料理でお伝えしやすいですよね。

うまく盛り上がりとして
取り入れることで
あなたのお店のファンづくりに
なるのではないでしょうか。

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご全般コラム 2025年01月22日

僕のブログの文章が本に!


こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

中央公論新社さんから
めっちゃ面白い
たまごのアンソロジー本が出ます。


たまごだいすき
中央公論新社 編

思い出の料理、忘れられない記憶――。平松洋子、角田光代、千早茜ほか豪華執筆陣によるたまごにまつわる珠玉のエッセイ36篇を収録。文庫オリジナル。


・・という本でして、
36名のエッセイストさん小説家さんなど
著名な方々が
「たまご」について語った文章を集めた
珠玉の名作本です!

阿川佐和子さん、
東海林さだおさん、
向田邦子さん
・・・

本当にどれも以前から愛読していた
たまご愛溢れる名文ばかりでして、

それが!一同に会する
これホントすご~く面白い本です。

小泉武夫さんの本なんて
僕が発酵の仕事をしていた頃から
大ファンでして、
中国奥地の伝説的たまご発酵食品の
お話しにはめちゃめちゃ憧れました。

阿川さんの本も手元に置いてまして
煮物の待ち時間にずっと読み返してます。
一人ずつ魅力を語りだしたら2万文字くらい
書いてしまいそうです。

 

そして、なんと!
僕の文章も載せて
いただいております。

36人の一人として。

 

僕のコラムの前が
嵐山光三郎さんの随筆で
僕のあとが「南極料理人」西村淳さん。

映画化されたお二人の、
魅惑の名文に挟まれて
めっちゃ背筋が伸びる想いです。

 

◆続けていてよかった!

率直な感想としては

「光栄すぎて夢みたいだ。」

ですね。

卵の面白話に絞ってブログを書き続けて
2千百エントリちょっとになってますが、

「続けてると
こんな良いこともあるんだなぁ。」

と思いますね。

 

僕が作家さんの文章に魅せられ
ワクワクしたように、

このブログも
もしかするとどなたかの目に留まって
『たまごって面白いなぁ。』
というワクワクにつながっているなら
こんなハッピーなことはありません。

 

1月22日から販売開始です!(それまでは予約注文できます)
Amazonご注文→

 

多様なワクワクするたまごの世界、
ぜひ楽しんでくださいませ~。

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , 取材・掲載・ご紹介 2025年01月19日

閑古鳥が鳴いてる・・・

なんて言うと当然
不景気でイヤ~なイメージです。

ですが実は、
この『閑古鳥』って良い世の中の象徴で

理想のニワトリのことなんです。


こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

孔子の『書経』にでてくるニワトリのお話しを。


中国伝説の名君・堯さんがあるとき、

城門の前に
でっかい太鼓をすえて

それからこんな提案をしました。

「民がもし
ワシの政に不満があって

なにか諫言をしたいなら、
この太鼓をたたくがよい。

その者の話を聴こう。」

ところが、
すばらしい政治を行っていた王様
堯王に対してだ~れも不満を持っていなかったので、

その太鼓をたたくものは
一人も現れませんでした。

この誰も叩くものがいない太鼓は、

王様を諫める太鼓
諫鼓(かんこ)と呼ばれ
太平の世の象徴になったのです。

 

この伝説が日本に伝わり、

善政のため
太鼓があまりに静かで
その上に鶏がとまる、

この太鼓の上のニワトリを、
平和な政治を表すシンボルとして
かんこどり(諫鼓鶏)」と
呼ぶようにになりました。


・・・というお話し。

ステキな伝説が日本に来て
太鼓から上に乗るにシフトしたのは
ちょっと面白いです。

 

そして
お店がヒマで人が来ない方の“閑古鳥”は
叩かれない太鼓の“諫鼓鶏”から派生した
当て字」なんですね。

ようは、ヒマはヒマでも
『何事も問題が無い
素晴らしい平和な時』
なのが
「かんこどり」ってことです。

そういえば
お店の“忙しい調理場”を
戦場』なんて例えますが、
ヒマ=『平和』の反対ですから
あながち間違ってないのかもしれません。

 

ちなみに神社のお祭りの山車の上にも
平和を祈念してこの諫鼓鶏が乗ってます。

これは
江戸幕府2代目将軍・徳川秀忠さんが
太平の世となったことを記念して
日枝神社山王祭に「諫鼓鶏を出せ」
命じたのが始まりだとか。

(東京都神社庁HPより)

木彫りの工芸品や日本画で
太鼓にニワトリが乗っている絵を
見かけますが、これが平和祈願の諫鼓鶏なんですね。

してみると、
飲食店さん洋菓子店さんにとっての
「かんこどり」とは、
お客さんが来ないヒマな状態じゃなく

いつも通り
お客さんが喜んでくれている

万事うまく商売順調な状態のこと
を言うんでしょうね。

それならば、
ぜひとも歓迎するべき状況ですね。

 

いや~、もしウチの事務所に
この太鼓置いたらどうなるだろうなぁ。

「これやってください!」

「ここがまだ足りてないです!」

なんてめっちゃならされまくるかも。

うるさくてびっくりして
ニワトリは近づきもしないかもしれませんね・・・(汗)

 

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

(参照:南方熊楠「十二支考」)

(参照:「鶏」)

カテゴリー | ソムリエ日記 , 鶏さん・鳥さんのコト 2025年01月17日