小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記 SOMMELIER DIALY

オムレツ 記事一覧

こんにちは!

たまごのソムリエ・こばやしです。

 

米国人フードジャーナリスト兼シェフ

J・ケンジ・ロペスアルト氏の本

『The Food Lab』に

 

スクランブルエッグに塩を入れるタイミング

という話が載っていました。

 

・塩を入れるタイミングで食感が変わる

・火にかける15分前に塩を入れるとしっとりやわらか食感になる

 

とのことで、

やってみると、

確かに滑らかさやしっとり感がだいぶんちがうんですね。

 

理由としては、

塩には、

卵とくに黄身の

タンパク質結合を弱める作用があります。

 

それにより、

熱の入りすぎによる凝固や離水を

ある程度防ぐ効果があるんですね。

ちょっとした工夫ですが、ぜひお試しいただければと思います。


さて、ここからはチョットした気づきの話です。

 

塩を入れるタイミング、みたいな

意外とこういう『素朴な手順』って、

プロの料理人さんでも

一度習ったら

あまり変えない人も多い気がしますね。

 

ですが、意外とそこに理由があって、

変化させてみることで

新たな気づきや進化があるんじゃないかと思うんです。

 

以前、ある取引先の人気パン屋さんのオーナーさんとお話していた際、

「さし水」の話を聞いた事があります。

 

彼が修行中していたころ、

パンの焼き上がり直前に、

コップ一杯の水をサッと釜の中に入れろ(かけろ)

と言われていて、

 

以来ずーっとそれを、

自分の店を持ってからも守り続けてきたんだそうです。

ですが、ある日ふと、

これ?いったいなんのために

やってるんだろう??

って考えたんだそうです。

 

じっさいやめてみても、

変わらず美味しくできるな…??

 

で、調べてみたら、

「昔の焼き釜(オーブン)はスキマが多くて、水分が逃げやすい。なので最後に足す必要があった。今のオーブンでは必要ない」

という事がわかったのだとか。

 

昔は正しかったけど、

意味がない行為だった。

こんなことって、いろんな業界であるんじゃないでしょうか。

 

たとえば、

ゆでたまごの作り方は、

以前はどの料理本をみても、

「水から茹でる」って書いてありました。

 

でもやってみると、

沸騰したお湯から茹で始めた方が、

はるかにラクで、

正確な茹で加減の半熟たまごができます。

いや、どちらでもイイんです。

水でもお湯でも、美味しくできますから。

でも、タイミングの難しさが段違いなんですね。

 

プロの料理人さんでも、

この事をお伝えすると

「ビックリしたよ!こっちの方がカンタンじゃん。」

って言ってもらえることが何度かありました。

 

上記のスクランブルエッグも、

昔は鮮度の低い保管状況の悪いたまごが多く流通していて、

食感を緩める必要が低かった

 

でも今は鮮度が良いたまごが多く、

ふわふわ感を出すために塩でたんぱく質の結合を緩める必要がある。

そんな理由もありそうです。

 

ぜひ、あなたのちょっとした調理手順も、

ちょっと理由を考えてみることで、

より美味しいたまご料理のヒントがあるかもしれませんね。

 

ここまでお読みくださって、

ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , 料理別・たまごのこだわり , オムレツ 2021年10月23日

こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

本日6月2日は、「オムレツの日」です。

0 6 0 2 でオ ム レ ツ なんです。

もう一つの意味としては、6月が一年中で一番オムレツが良く食べられる月なんだそうです。

なんで6月なんでしょうね…!?

どうやって集計したのかも少し気になります。

オムレツを一言で言うと、

「近代フランス料理の父」

オーギュスト・エスコフィエさんが現した一言が的確です。

『オムレツはスクランブルエッグを卵の薄皮で包んだもの』

なるほど。

なので、最初はスクランブルエッグを作るつもりで

てばやく混ぜ中央に寄せ、

最期にその周りを薄く包むつもりで焼いていきます。

これが美味しいオムレツのコツを一言で表したものですね。

ご家庭で作られるオムライスもステキですが、

黄身トロふわのオムレツ、

たまに作ると絶品ですよ!

(関連:映画「ディープブルー」に学ぶ、最高のオムレツをつくるコツ | たまごのソムリエ面白コラム

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こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

台湾の人達は、とにかく卵料理が大好き。

コンビニでも煮玉子がたーくさん売ってまして、

観光地でもいたるところで、オバちゃんが売っている煮玉子を食べられます。

さて、そんな台湾の屋台名物、

 一品料理(小吃(シャオチー))

と言えば、「蚵仔煎」(オアチェン)です。

『牡蠣入りオムレツ』と訳されることが多いようです。

これ、いやホント、めっっちゃ美味いんですね!

小林は、もう18年ほど前に台湾に貧乏旅行をしたことがありまして、

その時に初めて食べたんです。

衝撃的うまさに、感動の嵐でした。

お店ごとに味やこだわりどころも違って、飽きることがありません。

そういう意味では、以前ご紹介した

タイのオムレツ「カイチオ・ムーサップ」

と似ているかもしれません。

 

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このオムレツだけじゃなく、

 

台湾屋台の屋台文化はすごいんですね。

多様性、いろんな料理がたのしめますし、どれも美味しい。

百花楼蘭ぶりにスッカリ魅せられてしまいました。

ゴマ団子などの“点心”やスイーツ、

中華粥のお店、

日本式のうどんの屋台だってあります。

以来、「仕事」として台湾を訪れることもありますが、

移動中も「町の屋台」が気になって気になって仕方ないんですね。

ぜひ、台湾に旅行した際にはこの牡蠣オムレツ、

そして屋台の味をお試しあれ。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

たまごの出てくる映画名シーン、というコラムを時々書いています。今回はその第五弾&絶品オムレツのコツを書いていきます。

本日ご紹介するのは、サメ恐怖映画の名作「ディープ・ブルー」。

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アルツハイマー研究のため遺伝子操作された人間並みの知能を持つサメたち。 実験中に誤って逃げ出してしまい、そのおそるべき知恵を駆使して基地の人間を襲いはじめる・・・・・・というストーリー。

知名度の高い俳優はサミュエル・L・ジャクソンのみ、しかも真っ先に殺されちゃうものですから、残った登場人物中誰が生き残るのか全く予想できないという、B級の特色を最大限に活かしたスリル満点の映画です。

その中に黒人のコックさんLL・クールJ)が登場するのですが、彼がまた面白いんですね。 単独行動するわ遺言ビデオレターを録画しはじめるわ、つぎつぎと「死亡フラグ」をまき散らしながら進む、ある意味一番ドキドキさせられるキャラクターです

さて、彼が「もうダメかも。」と家族へ向け残すビデオメッセージですが、その内容が面白いことに「カンペキなオムレツの作り方」なんですね。

完璧なオムレツは、卵は3つじゃなくて2つ。シロウトはミルクを入れるけど、これは大きな間違いだよ。

この言葉、まさにオムレツを作るための至言なんです!

◆水でフルフルのオムレツに!
以前ご紹介しましたが、米国鶏卵評議会(American Egg Board)なる全米組織は「オムレツに入れるのはミルクよりも水の方が最適なんだ。」という発表を出しています。

一見ミルクを入れた方が味が濃くなって美味しいオムレツになりそうですが、実際にはミルクを入れるとたんぱく質含量が上がるため焦げやすくなり、熱で固まるのも早くなるため調理タイミングが難しくなります。

また、卵の個数についても3個よりは2個!というのも事実です。ようするに、小さいオムレツほどひっくり返しやすく形づくりやすいんですね。フライパンに対して混ぜた卵液の量が多いことでキチンと形づくれなかったりひっくり返せなくなります。

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もし、「オムレツをうまくひっくり返せない。」という悩みをアナタがお持ちでしたら、ぜひ卵液の量を半分にしてみてください。クルリ!と綺麗に仕上がるかも!?

 

◆世界一のオムレツ料理人のコツも同じ!

 ちなみに米国卵評議会のスポークスマンで「世界一のオムレツ早焼き男」ハワード・エルメル氏によると、完璧なオムレツを作るためのコツは下の3つ。

・オムレツには水、スクランブルエッグにはミルクを入れるべし
・たまご2個に対して水は 大さじ2杯
・プロが使う小さ目のフライパンはNG。10インチくらいの大き目でテフロン加工のヤツを使うべし

まさに、映画「ディープブルー」の黒人コックさんの言葉と同じですねー。名言です。

実際にこの映画放映後「このビデオメッセージのシーンがいちばん心に残っている!」「この映画みてから水を入れるようになったよ!」、という方が沢山いて、わずか10秒ほどのシーンなのに強烈に印象を残しているようです。

ぜひこのオムレツのコツ、そして映画をごらんになってくださいませ!

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

(関連:たまごのソムリエ日記 - たまごの名シーン【映画編】の一覧)

カテゴリー | ソムリエ日記 , 料理別・たまごのこだわり , オムレツ 2015年04月16日

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こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

ベシエール、という町をご存2知でしょうか?フランス南西部にある人口3000人ほどの小さな町です。 ここには一年に一度、イースターの日(復活祭)に全仏から沢山の人が訪れ、おお賑わいするんですね。

それは、巨大オムレツづくりのイベント。

一度に数千個のたまごを使用した巨大オムレツで、プールかよ!とツッコみたくなるくらい大きなフライパンを使い、なんと40人ものコックさんが一度に調理をします。

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お祭り中に使用するたまごの数は、15000個!おおぜいのスタッフで割ります^^

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できたオムレツは訪れた人たちにふるまわれるのですが、美味しいパンと共に食べるんですね。40人のシェフ自らふるまってくれます。

みんなニコニコでホント美味しそうなんですよねー!

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この巨大オムレツイベント、もう40年以上も続いているのだからビックりです。しかも発祥は19世紀、かのナポレオンボナパルトに始まるんですね。

かつてナポレオンがこの地を訪れた際、町中の卵を集めさせ、彼とその軍の兵士たちにオムレツをふるまったことがキッカケなのだとか。

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偉人のエピソードが毎年のお祭りになったんですねー。 いま静岡で開催されている、徳川家康公の「大御所花見行列」みたいなものでしょうか?


◆フランスはオムレツ発祥の地
とはいえ、なぜ復活祭(イースター)の日にオムレツなのか?というと、それはキリスト教と関係があります。

キリスト教において卵は「復活」の象徴なんですね。なので、イースター=たまご、という図式がしっかりとできあがっているわけです。

米国にヨーロッパ、いろんな地域でイースターに卵関連の催しがなされますが、この町のお祭りがゆでたまごでも無く「オムレツ」なのは、やはりオムレツがフランス発祥でもあるから。そもそも「オムレツ」という言葉自体フランス語ですし。

オムレツの語源には諸説ありますが、素早い男hommeleste・オムレスト)が元だという説がありまして、なるほどナポレオンと兵士に早く料理をお出しをするには、ピッタリだったのかもしれませんね。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

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こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

オランダを旅行すると道路に黄色い看板を見かけることがあります。

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黄色い色合いもあいまって、個人的にすごくオムレツっぽい!とドキッとさせられる標識なんですねー。実際にはOmleiding」と書いてあります。オムレツのスペルは“omelette”、意味はモチロン違います^^;

コレ実は、オランダ語で「迂回路」の表示なんです。

オランダでは一時的に掲示する標識は「黄色」と決まっているそうで、つまりその先の道で臨時に工事をやってますよ、っていう注意書きなのです。

自転車保有率が世界一、道路も世界トップクラスに整備されている美しい国ですが、それだけにあちこちで補修の工事をやっています。なので、このオムレツ似看板(?)も、わりとたくさん見かける機会があります。オランダで道を行く際にはご注意を^^

ちなみにオランダ風オムレツはじゃがいもの角切りがゴロゴロンと入った食べごたえがあるもので、ほくほくととっても美味しいです。

omleding4.jpgオムレツ好きの僕には、街並みに現れる「迂回路」看板がこんな風に見えちゃってます。道を歩くたびにお腹が減っちゃいますね!


ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , 料理別・たまごのこだわり , オムレツ 2015年03月16日