小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記SOMMELIER DIALY

自然を活かす卵は環境に悪い?

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

 

先週、英ガーディアン紙から
こんなニュースが出ていました。

『有機卵は、ケージ飼育の鶏から採れた卵よりも気候への影響が大きい』

“Organic eggs have worse impact on climate than eggs from caged chickens | Environment | The Guardian”

「研究によると、英国で放し飼いモデルを導入した場合、CO2換算で2,316,000トンに相当する温室効果ガスが排出される可能性がある。」

 

『有機卵は、ケージで飼育された鶏の卵に比べて、気候への悪影響が2倍にも及ぶ。

この研究によると、英国の卵生産全体を有機放し飼い方式に切り替えた場合、温室効果ガスの排出量は二酸化炭素換算で2,316,000トン(tCO2e)に相当する一方、完全ケージ飼育方式による生産では1,184,000 tCO2eが排出されることになる。』

 

とのことで、

二酸化炭素排出でいうと
「放し飼い」の方が「ケージ飼い」よりも
2倍悪影響ですよ、という研究結果です。

また、
「水の富栄養化・酸性化」(川や海の水質悪化)
「土地利用」で有機・放し飼いが最低点となり、
「鶏の死亡率」は最も高かったとのこと。

 

興味深いですね。

卵屋としては
そりゃそうだよなぁ・・、
という感想です。

 

のびのび走り回れる農場だと
卵一個しか産まなくても
CO2は増えるわけで、
飼料だって多く食べます。

フンも自然の中ですると、
影響も出ちゃいます。

ニワトリは
自然で快適な環境で育てると
ケージで飼うよりムダエネルギーが増えるんです。

本来
“環境負荷”と
“自然飼育で量産”って
両立しない項目で、
この研究報告はそれを可視化させたと言えます。

 

例えるなら

「働き方改革で
みんな仕事を定時までにして
早く帰ってのびのび過ごすと、

一日の生産性あたりの
エネルギーに無駄が多いよね。」

と言われているようなもんです。

興味深いのは、
こういった議論が

 

◆論点は「偏ってないか」

この報告をした
オックスフォード大学研究員
ハリエット・バートレット博士は、

「世界の卵消費量は増えつつあって、
動物福祉で重要な課題になっています。」

「またその一方で、
持続可能性について議論するとき、
卵はちょっと盲点になってしまっている
かもしれません。

環境の持続可能かどうかについて語る際、
肉や乳製品にはやや注目が集まりがちですが、
『卵生産』についてはそれほど研究が進んでいないのです。」

と話しています。

つまり、
どっちを採るか、じゃなくて
卵については動物愛護の観点からの
議論はしてるけども、

サスティナビリティの問題、
環境への影響増大については
あんまり話されてないよね、
バランス大丈夫?という投げかけですね。

いま世界的には
アニマルウェルフェアの推進に伴い
放し飼い・平飼いなどの
自然を活かす飼育方式が増えつつあります。

ですが、
それがもたらす「環境面でのリスク」議論は
さほど多くないのです。

たとえばサーモンは、
良質なタンパク質や
オメガ3脂肪酸(EPA・DHA)が摂れる
健康食材として評価されていますが、

みんなが食べるようになったため
大規模養殖が増えたことが
海洋汚染の問題になっています。

 

ビタミン豊富ロカボで人気な
ナッツ類のアーモンドは、
量産による干ばつの影響が
議論されています。

 

◆より深い議論へ

動物の飼育環境をよりよく、
という観点はとても大事です。

ですが、
より踏み込んで考える
必要があるわけですね。

こういうリスクがあるけど
いまはより大事なこっちを採るよ、
という優先順位や自分の立ち位置を
しっかりしたうえで決断が求められます。

場合によっては
「地球環境の問題が自分にとっては
すごく大事だ。だからウチの店では
あえてケージ飼いの卵を選択している。」

というポジティブな打ち出しも
あって良いのかもしれません。

 

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

(関連:エッ!?白い卵って環境にやさしいの!?【英国大手スーパーの意外な選択】 | たまごのソムリエ面白コラム

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの海外ニュース2026年08月19日