小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記 SOMMELIER DIALY

ソムリエ日記 記事一覧

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

年内最終のご納品に向け
大わらわです。

年初の飲食店さん、
大手ファーストフードさんも含め
元旦~3が日の営業は各社ばらばらですね。

働き方改革も含め、
多様化しているな~と感じます。

 

百貨店松屋銀座の調査によると、

コロナ禍後は

正月はのんびり家で過ごしたい

という家庭が増えているようで
顧客アンケートでは1500人の9割が
この正月に自宅または実家や親戚宅ですごすのだそう。

 

いっぽう、
楽しく出歩いてすごしたい
という方にとって、
3が日に開いているお店って
ホントありがたい存在です。

ウチへの卵のご発注の様子をみると
そういうお店への期待もまた
強くなっているなあ、
と感じますね。

日々の生命をあつかう
たまご屋はあす大晦日が最終日ですが、
多様なお客様のお役立ちに
今年最後までお力になれますよう
のこり一日半頑張ってまいります!

カテゴリー | ソムリエ日記 , ちょっとつぶやき 2024年12月30日

年末にかならず同じ間違いの記事がでるんです。


こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

毎年この時期になると

「ああ、今年も間違ってるなぁ。」

と思う事があります。

 

それは、

大手リサーチ会社の
企業と干支に関するデータ。

まず、これを見てください。
毎年出されているネット記事です。

“巳年”設立の法人 全国で26万9,955社 最古は1881年設立の太平洋セメント(株)(東京商工リサーチ) – Yahoo!ニュース

“来年の干支は巳年
全国で巳年に設立された法人は、十二支で最も少ない

・・・と、書いてあります。

これ、おもしろい
マチガイなんですよ。

じつは、
昨年末、同様の記事で

辰年に設立された法人は十二支で最も少ない

と書いてありました。

卯年にも虎年にも丑年にも子年にも、
なんなら毎年10年以上にわたり
ずーっと、調査会社T社は

“来年の干支に設立された法人が
最も少ない”

って記事を発表し続けています。

いや~、
興味深いですね。

 

これ、おそらくですが、
「来年」の干支について書くので
データ集計の際に
分母に来年度を+1してしまっているんじゃないかと思うんです。

つまり、仮に
60年分データがあったとすると
干支ごとは5年ですが、
来年の干支だけ+1の6年で
企業数を割ってる
みたいな。

現時点で来年度の企業設立
もちろんゼロですから、
割合は下がってしまうという・・・。

そして、気づいてないから
毎年まちがっているんでしょうね。

 

業界3割のシェアを占める大手で
しかも調査会社という

企業データの数字を扱う
プロ中のプロでも
継続してまちがうことがある

という事実。

誰も困ってないから
クレームも入らないんでしょうね。

でも、
僕が気づくくらいですから
けっこう多くの方が
気になっているかもしれません。

小さいこととはいえ
数字をあつかう業種ですから
“データ精度に対するブランド”を下げている
きがします。

僕たちも50年つづく卵屋で
その自負もありますが、

やっぱり気づかずにずーっと
間違い続けていることって
あるんだと思います。

そして、

「わざわざ言うほどでもないか。」
とお目こぼししてもらえるのをいいことに
惰性で続けてしまい、
イメージをさげていることが

「ぼくたちにもきっとある。」

そう思ってお客様に耳を傾け
アップデートしていかねばなぁ、
と感じます。

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , ちょっとつぶやき 2024年12月29日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

少し前に
テレ朝情報番組スーパーJチャンネルさんで
「卵の価格」についてお話をしました。

 

その際に、

年があけると
卵の値段は下がります。

とお伝えしたんですね。

 

高くなっている時期に
鋭い予想・・!なんて自賛したい
ところですが、そうじゃありません。

これ例年そうなってまして
今年に限ったことじゃないんです。

 

◆正月はたまごが余って相場が下がる

カンタンに言うと

年末までは
たまごを欲しい人が
作り手よりも多く、

年が明けると
欲しい人が減る(落ち着く)

だから値段が下がる

ということです。

 

年末まではクリスマスケーキや
忘年会の料理、そしておせちと、

たまごを使うお客様がたくさんいらっしゃいます。

ですが、
正月3が日になると洋菓子店さんも飲食店さんも
お休みのお店が出てまいります。また、
一般のお客様も家でのんびりされますよね。

つまり正月は
たまごを料理したい人が
大きく減るんです。

ですが、農場のニワトリさんは
正月なんて関係ないですから、
休まずたまごを産んでくれます。

すると、
買いたい量と生産量のバランスが
やや崩れて余り気味になるんですね~。

 

◆たまご価格はレタスとおなじ!?

そもそも
「たまごの価格が変わる理由」って
レタスやキャベツ、葉物野菜の価格変動
すっごく似てます

「冷凍での量の調整ができない」

「輸入での量の調整ができない」

という点が同じなんですね。

なので
その日の需給バランス、つまり

ほしい量と産まれる量バランスで
カンタンに値段が変動しやすいんです。

夏場にたまごが安いのは、
バテ気味でたまご料理を食べたい人が減る、

たとえばケーキよりもアイスを食べる人が増えて
たまごが余りやすいからです。

年末はその反対。

そして三が日で余る。

傾向は毎年同じなんです。

じっさいのところ、
今年の正月も「ようやくお買い得に!」なんて
ニュースになってました。

一週間後の年明けもそうなるでしょう。

ぜひ、正月直後に
たまご料理ライフを楽しんでくださいませ。

 

そして
そこからまた価格は上がっていきますので、
ご飲食店さまは早め早めの注文で
ちょっと在庫を持つ方がおトクです。

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご全般コラム 2024年12月28日

洋菓子店のみなさま
クリスマス大変おつかれさまです。

そして飲食店のみなさま、
年末へ向けて更なるお忙しさかと思います。


こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

今年もあと一週間ほど
どんな正月になるでしょうね!

スタッフのYさんから
おもちをいただきまして、
できたてを食べながら、
正月のお雑煮もたのしみに想像してます。

 

さて、お餅といえば、
おもしろい卵料理があります。

「餅餤(べいだん)」

と言いまして、一言でいうと

おモチのたまごサンド

たまごと野菜を煮て、
それをおモチで挟んで
四角く切ったものです。

これ、千年前の平安時代から続く
由緒正しい料理なんですね。

今年は平安ブームでしたが、

清少納言の「枕草子」
この「べいだん」が出てきます。


『~白き色紙に包みて、松の花のいみじく咲きたるにつけて持て来たり、ゑにやあらむと、いそぎ取り入れて見れば、餅餤といふ物を、二つならべて包みたるなりけり、添へたる立て文に、解文のやうに書きて

進上
餅餤一包
例によりて進上如件
少納言殿に』


となってまして、

『~白い色紙に包んで、梅の花がステキに咲いた枝に付けて持ってきたものが、これもしかして絵じゃないかしらと急いで受け取ってみると、餅餤(へいたん)という餅が二つ包まれていました。

添えてある立文は以下のような形式でした。』

“進呈

餅餤ひとつつみ

習わしによってこんな風に献上します

少納言殿へ”

 

という内容が描かれていました。

文学仲間の藤原行成さんからの
ちょっとステキな贈り物だったようです。

 

◆昇進式のプレゼントだった

ちなみにこの『お餅たまごサンド』
餅餃(べいだん)は、

特別感のあるごちそう

でして、
特別なシチュエーションでのギフトでもありました。

 

この頃毎年2月に定考(こうじょう)という
表彰式がありまして、

帝に仕える官吏の中から、
とくに芸能に秀でたものを選んで
官位を与える昇進の儀式でした。

そこで公卿諸臣に供された餅が
この、たまごサンドモチ“餅餃”だったのですね~。

当時の先進国・中国から来たお菓子なので
おしゃれ感も強かったっぽいですね。

ゴディバのチョコギフト
ゴールドコレクションをもらった、
みたいなイメージでしょうか。

なかなか興味深いです。

 

ちなみに紫式部が行成さんから
もらった際は

「こんなステキなものもらって
なんて返信しようかしら・・。」

と悩んで天皇の奥様(中宮様)とも
ワイワイ話しあって

「餅餃(へいたん)を直接じゃなく
使いにもってこさせるなんて

冷淡(れいたん)ですわね♪」

なんて返答を書いています。かけ言葉ですね。

すると行成さん本人がすぐにやってきて

「教養を鼻にかける女性って
すぐ和歌で返信したがるのに、
しゃれた文章で返すなんてやるなぁ。」

なんて感心して、
その後同僚に話したところ
貴族の間で評判になったそう。

 

◆旧暦2月はたまごのベストシーズン

ちなみにこのお話し、
旧暦の2月は
今の4月上旬くらい。

もともと平安の頃は、
鶏は毎日たまごを産んでいませんでした。

ツバメやすずめなどと同じく、
4月~7月ごろだけ
たまごを産んでいたんです。

鴨やあひるの卵も同じ。

 

卵は『季節もの』
春だけのレアなご馳走食材
だったのですね。

ですので『たまご料理』って
この時期最高の旬の料理といえます。

花卵 『万宝料理秘密箱 卵百珍』 | 江戸料理レシピデータセット

 

◆『春の旬たまご料理』の切り口はアリ

年中産んでくれるようになったいまでも
鶏卵の質は春が良く、
ニワトリのコンディションも最高です。

「春は旬なたまご料理」

の切り口でメニューに入れるのは
とてもおススメです!

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

(参照:「枕草子」133段・平安朝の食文化考/帯広大谷短期大学紀要第39号2002年3月)

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの歴史・文学・文化学 2024年12月26日

クリスマスにもピッタリの
たまごアレンジです。


こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

「フライト」ってご存じですか?

空飛ぶ方じゃない「食事」のフライト。

 

簡単に言うと
「食べ比べ」や「飲み比べ」セットのこと。

ビールやカクテルにウイスキー
またはテーマでそろえた料理が

少量ずつ特別なお皿に乗って
食べくらべながら楽しめる。

そんなセットです。

 

もともとはバー用語ですね。

『チーズを地域別に食べ比べる』

『ウィスキーを年代別に飲み比べる』

みたいな楽しみ方。

 

◆フライトの語源は飛ぶじゃなく「集合」

フライト、って言うと飛行機なんかのイメージがありますが、これかなり後の方でできた概念。

もともとの意味は、

「鳥や昆虫、天使や矢などがまとまって通過する

これをフライトって言ったんですね。

 

ほら、
ガンなんかの渡り鳥が
集団で移動するじゃないですか。

あれが「フライト」です。

一匹だけだと飛んでいても
「フライト」じゃなかったし、
なんなら集団で歩いて通過しても「フライト」。

で、そこから、
第一次世界大戦の際、
航空機が雁のように飛ぶ「編隊飛行」を
するようになってこれが「フライト」と呼ばれ、

さらに旅客機みたいな単独の飛行機が
「フライト」になって今に至るのだとか。

だから料理の「フライト」は
『色んなのがいっぱい並んでいる』ことなんです。

天使など」と書きましたが
矢は分かりますよね。
戦でドワーっと射かけるヤツ。

そして天使集団で飛んでくるんですよ。

絵画なんかだとほぼ単独行動してませんね。
だから「フライト」。

シェイクスピアの『ハムレット』にも、

「お休みお姫様。天使のフライトが、あなたを安息へと歌いいざなうだろう!」

というセリフが出てきます。

 

◆たまごのフライトは面白い!

そして、米国在住フードクリエイターのアリスチョイさんがイチオシしているのが、「たまごのフライト」。

輪切りにしたゆでたまごの上に、
マヨネーズとマスタードを垂らし
たとえばキムチやハラペーニョ、
ブルーチーズやはちみつ、
玉ねぎの酢漬けピクルスなどを
のせたカンタンな料理です。

色とりどりで
味の違いも食べ比べができて
すっごく楽しいんですよ。

 

@hipfoodiemom1Egg flight!!!! My pickled red onions recipe is linked in my bio and the video is pinned to the top of my page♬ original sound – Alice Choi


ちなみに上記のエッグフライト紹介動画は
150万回再生とめっちゃバズってます。

 

極端な話、

何を乗せてもイイ!

Tiktokで「eggflight」のタグで検索すると
かなり多くの方がSNSに上げてまして
ホント自由な楽しさを感じます。

お子さんともワイワイ作れそうです。

 

◆飲食店メニューでもかなりアリでは

米国の大人気な定番料理に「デビルエッグ」がありますが、
これのさらに簡易版で、しかも楽しい。

いろんなトッピングをすることで
美しくも美味しい、パーティにもお酒にも合う
「たまごのフライト」。

これ、確かにやってみると盛り上がります。

日本のお寿司盛り合わせにも通じる概念を感じますので、日本人にもマッチしているんじゃないでしょうか。

低糖質ですし、
テーマに合わせていろんな可能性がありますよね。

提供の前に作り置きできますので、
飲食店さん、特にお酒が主のお店メニューでも
何か面白いことができそうです。

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

『ニワトリが鳴いたら朝だよ』

が重要なキーになる、
世界中にある物語の紹介第5弾です。

今回は日本のお話し。


和歌山県の串本海岸に、
大島に向かってまっすぐ立った岩石が一列になって
並んでいる、

『橋杭岩』という名所があります。

 

昔々、弘法大師が布教に訪れた際
大島の住民がとても不便だったのを見かね、

「橋をかけよう。一晩で。」

と考えました。

大勢の工人を指揮して作業にかかり
順調に工事は進んでいましたが、

夜半にアマノジャクが現れたのです。

「じゃまをしてやろう。」

と、串本にある民家のニワトリの

止まり木の竹の中に、
お湯を注ぎ足しました。

ニワトリはびっくりして
いっせいに鳴き始めたので、

工事をしている人夫たちは

「朝になったぞ!」

とあわてて工事をやめてしまった。

その際の
つくりかけの橋脚が風化して
いまの橋杭岩として残っているのです。


・・・というお話し。

 

・・なんでしょうね?
弘法大師さまも、一晩じゃなくて
工期を一年くらいとっても
良かったんじゃないでしょうか・・?

 

じつは高名な仏教者って
土木工事の達人でも
ありました。

仏教者ですから
「仏教を広める」のが本業なのですが、
この当時の仏教者さんは土木工事
あちこちでやっているんですよ。

近い世代の名僧・行基さんも
20を超える温泉や橋を建ててますし。

弘法大師さんも
唐で学んだ最新の工法を駆使して
ダムや橋を各地に建て、
人民を救済していたんですね。

 

ですからもしかすると、
他の地域で相当困っている人がいて

『すぐに発たないといけない!』

なんて状況だったのかもしれません。

誰かに引き継げば良いのだけど
そんな人材がいるならばとっくに
彼らだけで建てていたわけで、

素人だけに任せると労災大ケガに
つながるかもしれず泣く泣くあきらめた…のかも。

 

あと、お湯で

ニワトリを一斉に鳴かせる方法

も興味深いですね。

ニワトリの朝鳴きは
体内時計でほぼ同じ時間に鳴くことが
分かっています。

当時の人は
疑いなく『鳴き声=定刻』として
時計代わりに活用していました。

また、

「光や音など刺激で目覚め鳴く」

「一羽が鳴くと他も次々鳴く」

という習性がありますから、
手前のニワトリだけに刺激を与えて起こし

「一斉に鳴かせる」
ことは可能

なんですね。

ちなみに、
このお話しには
別バージョンがあります。


アマノジャクは弘法大師の旅のお供

この地の不便な様子を見て、

「民を助ける橋をかけようぞ!
人に見られないよう

一晩で。2人で。」

と、橋を作り始めた

メキメキと大岩をかついで
どんどん橋脚をつくっていく大師さまに
引け目を感じ、

アマノジャクは
「このままだと立派な橋ができてしまう。
どうにかして、この計画をつぶそう。」

・・・と考え、

ニワトリの鳴きまね
したのです。

すると、
弘法大師は
「しまった!もう朝になったのか。」

と、工事をあきらめてしまいました。


・・というお話し。

こっちは和歌山県HPにもある
お話しなんですが、

さすが高野山のある地域だからか、
空海様がアマノジャクを従え
自身も岩をかつぐ
スーパー怪力マンになっています。

個人的には現場監督的な前者の
弘法大師さまの物語が
現実味があって好きですね~。

竹筒にお湯をそそぐ、というギミックも
アマノジャクの知恵と工夫が感じられて
ちょっと面白いです。

少なくともただの鳴きまね
あっさり弘法大師さまがひっかかるより
ストーリーに知性を感じますね。

 

飲食店さまでも
エピソードにちなんだメニュー、
鶏肉料理のパワーランチとか
なにかできそうな気もします。

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

 

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カテゴリー | ソムリエ日記 , 鶏さん・鳥さんのコト 2024年12月20日