小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記 SOMMELIER DIALY

面白たまご話 記事一覧

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

毎年恒例、
干支とたまごについてのコラムです。

とはいえ、
今年は卯(うさぎ)年ですから
ウサギとたまごの関係です。

じつは卵屋としては
「あまり特別感がないなあ。」
というのが本音です。

つまり、
たまごとウサギの関係って
「あたりまえ」なのですね。

 

◆春と生命・多産の象徴がウサギとたまご

古来より欧米では宗教的に
ウサギとたまごでワンセット
なんです。

たまごとウサギは欧米で
どちらも生命の象徴。

たまごは見ての通り
すべての必要な栄養素が詰まっていて
ここから生命が生まれてきます。

そしてウサギは、
沢山の子供を春になると産みます。

卵は生命と復活の象徴、
多産であるウサギは豊穣の象徴

つまり、
キリスト教圏の春の重要祭事
イースター(復活祭)の象徴が
たまごとウサギなんですね。

ですので、
イースターのだいたい一か月
くらい前になると、欧米では
卵を持ったウサギのぬいぐるみとか

かわいいウサギの絵が描かれた
たまごグッズなんかが
た~くさん売られます。

いやホント、めっちゃ並ぶんですよ。

たまご屋としても
街中にたまごグッズがあふれ、
めっちゃテンションあがる時期でもあります。

イースター市場は
日本ではまだだいぶ小さめですが
伸び率で言うとかなり大きく、

将来的にはバレンタインと
同じくらいになる可能性だって
予想されています。

そうなると日本でも
たまごとウサギが
春にあふれかえることに・・・!

これはワクワクします。

ちなみに復活祭とは
イエス・キリストの復活祭のこと。

ですのでイースターって
キリスト教のお祭りなんです。

ですが卵とウサギ、
この2つはキリスト教義とは
じつは全く関係しません。

聖書には、
卵もウサギもほとんど出てこないんです。

卵で言うと、

「サソリの卵」と「ダチョウの卵」

がでてくるくらいですし、
しかも恩知らずの比喩としてです。

ウサギはと言いますと

「ひづめが割れていないから
ウサギの肉はけがれていて
食べてはいけません。」

みたいな表記が2か所ほどあるのみ・・・

むしろどっちも
あからさまに聖書の記述から
「あえて外されている」
とも感じるくらい。

たまごとウサギは、
キリスト教以前の
原初の地域的な信仰というか
お祭りにこの2つは広く
使われていたのだと考えられています。

例えばたまごを生命の源
として祀る原始的な信仰は
世界中にあります。

おそらく、キリスト教は
そういった土地々々の信仰を
駆逐する立場でしたが、

キリスト教が根付くにあたり
もともとあった「たまご信仰」
「ウサギ信仰」とミックスして
しまい今に至る・・・

そんなカンジのようです。

たまごに関する人類の愛情を
感じる一例で、とても興味深いです。

ここまでお読みくださって、
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , 面白たまご話 2023年01月2日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

今月お送りしたニュースレターでちょうど70号になりました。

「お客様にプラスになる情報届けましょう!」

「ニュースレターにしましょう!」

「毎月が良いですね!」

経営方針会議での
K部長の一言から始まりました。

「ま、毎月・・!?続けられるかな・・。」

なんて最初は
ちょっとためらいましたが、
なんだかんだ伝えたいことや
面白いご報告はいくつも
ありまして、

また取引先さまの激励もあって
ここまでつながっております。


さて、僕たちのニュースレターには

『たまごのイラスト』

がたいてい載ってるんですが、

これはこばやしが描いてます。

当ブログのイラストと
あわせて使ってますが、

ヘンなキャラクターのものが
練習も含めて
たくさんたまってきました。

時々驚かれるんですが、
これマウスで描いてます。

フツーの(?)マイクロソフトの
ソフトを使ってます。

〇とか□とか線の組み合わせで、
慣れるとなかなか楽しいんです。

描いていて思うのが

「たまごって描くのがラク!」

ということですね~。

もうカタチが決まってますから。
あと手と顔と足を足すだけで
なんとなくキャラクターになっちゃうんです。

そして、販売するときや
何か情報をお伝えするときに
やっぱりキャラクターがあると
伝わり方が違う気がします。

 

◆2分で描けるたまごイラスト!

メニューでも
何かイラストが添えられると
やわらかく伝えられることもありますよね。

たまご料理の場合、

たとえばオレンジっぽい黄色の〇をかいて…

白っぽい影を上につけて・・・

下に白身っぽい楕円をいれるだけで
それらしく見えます。

玉子焼きだともっと分かりやすくて、

黄色い四角に箸っぽい線を重ねるだけで
玉子焼きに見えます。

なんと!
エクセルとかワードで描けちゃうんですよ。

たまごのこだわりなどを
お店のメニューで伝える際など
ぜひたまご料理の絵も
添えてみてはいかがでしょうか!?

ここまでお読みくださって、
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , 面白たまご話 2022年12月29日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

かつてニューヨークのあらゆる
ダイナー、アイスクリームパーラー
で提供されていた美味ドリンク

「エッグクリーム」

なる飲み物があります。

「エッグ」「クリーム」の
ネーミングからちょっと重そうですが、

わりかし爽やかな飲み物で
きめこまな泡と炭酸に
ミルクの口当たりが特徴です。

いま50代以上の米国人
都市部で暮らした人たちは
このドリンクを飲むと、めっちゃ
強烈なノスタルジーを感じるんだとか。

「うわ~~!これ懐かしい。
めっちゃよく飲んだよなぁ。」

実際とても美味しいドリンク
ですがそれ以上に、すごく貴重な
『付加価値』が上乗せされているカンジです。

日本でいうなら、
なんでしょうね・・?

バニラアイスの乗った
クリームソーダとか
そんなカンジでしょうか。

NYブルックリン生まれ、
マイケルジャクソンの作詞
作曲・音楽プロデューサー
として有名なエリオット・ウィレンスキーさんは
子供の頃をふりかえって

「少なくともブルックリンでは、
エッグクリームを置かない
キャンディーショップは、
重力のない地球と同じくらい
考えにくいことだった。」

なんて書いているくらい。

うーん、すごいですね。

下町ブルックリンが発祥の地
なのですが、記録では、
暑い日にはこの町だけで
一日12000個も売れたそうで、
とにかくすんごい人気だったわけです。

これはステキな魅力だなぁ。
すばらしいなぁ。

そう思い調べてみて
すぐ気づいたんですが

じつは・・・

このドリンク
『エッグクリーム』には

「卵」も
「クリーム」も
いっさい使われてないんです。

ぶっちゃけると

「チョコレートミルク炭酸割りに
上に泡が乗っているだけ」

というシンプルな飲み物。

ええ~~!!?

いや、美味しんですよ。

でも、たまご屋としては
「その名前でいいのか!?」
とツッコミを入れたくなりますね~・・。

 

◆もともとは卵ドリンクだった!?

じゃあなんでこんな名前に
なったのかというと、
実は起源もハッキリしていません。

「まずしい下町的な場所だけど、
リッチっぽいドリンクを飲む」
という高級イメージ先行のため
「エッグ」とか「クリーム」
という名前を付けた説とか

当時出していた店で客が
「等級A(エー)のクリームで
作ってくれよ♪」みたいな
投げかけをしていたら、
それが訛ってエッグクリームに
なった説もあります。

日本でレモネードが
安価なレモン無し飲料となり
訛って「ラムネ」になったのと
ちょっと似ていますね。

また、
最初は卵を使っていたから
という説もあります。

ただのチョコレートソーダに
卵白をふわふわに泡立ててのせる。
すると、2倍の値段で売れる!

商売の付加価値アップですね。

その後、冷蔵庫が普及したので
「卵白」から「牛乳」に変わったんじゃないか。
・・・という説です。

ホイップクリームを乗せるのも
たしかに美味しそうです!
個人的にはこれを推したいですね~。

なんにせよ、百年の時を超えて
ノスタルジーと共に多くの人を魅了するドリンクです。

今の商売や新メニューのヒントも
その魅力に隠されているんじゃないでしょうか。

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

(参照:What Is an Egg Cream and Why Is It So Jewish? | The Nosher

カテゴリー | ソムリエ日記 , 面白たまご話 2022年12月16日

「生卵を食べるのは日本だけ。」
なんて言われますが、まったく
そんな事はなくって、海外でも
生卵を使った料理がいくつもあります。

本日はその一つをご紹介。


こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

プレーリーオイスター(草原の牡蠣)

という飲み物をごぞんじでしょうか?

これは、

生の卵黄を使った
カキのとろみ食感が味わえる
ノンアルコールカクテル

なんです。ちなみに

二日酔いの特効薬

でもあります。

アメリカのテキサス州で
病気で死に瀕した若者が
「牡蠣が食べたい・・・!」
と床で知人にもらした。

それを聞き、
苦心のあげく卵の卵黄を
ゲットし、カキの味と食感に
似せて作ったのがこのカクテルだとか。

有名にしたのは、
作家のP.G.ウッドハウスの大ヒット
小説『天才執事ジーヴズ』のひ弱
独身主人公バーティ・ウスター
が飲む二日酔い対策のドリンク
として話題になりました。

このシリーズ本で何度も登場して
いる、主人公の(作者の?)とても
お気に入りのドリンクです。

飲み物なのに「牡蠣に似せて」
というだけあって、
レシピも相当変わってまして、

生卵
ウスターソース
赤とうがらし
以上を混ぜたもの

・・・・・・これ、
ドリンクって言っても良いんでしょうかね・・・

ちなみにいくつかバリエーションが
ありまして、ロンドンの名門ホテル
「ザ・サヴォイ」の名バーテンダー
が1930年にまとめたカクテル本では

卵黄にトマトケチャップ、
黒胡椒、ビネガーを
大さじ1杯ずつ入れる

となっていたりもします。

ウスターソースや
トマトソース・・・

どちらにせよ、
なかなか斬新なレシピです。

なんでウスターソースや
トマトソースが牡蠣なのか
といいますと、

アメリカ南部では、
生ガキの殻を外してすぐ、
ケチャップやソース、
マスタードなんかをかけて
生そのままパクっと食べる
そういう食べ方が
大変好まれていたからなんです。

僕も20代のころに南部を車で
旅をしたことがありまして、

ニューオリンズに滞在したとき
オイスターバーで生ガキを
食べたことがあります。

衝撃的なうまさでした。

死ぬ前に食べたい…!という
気持ちもさもありなんです。

 

◆たまご卵黄の滑らかさ

生の黄身のなめらかな食感を
活用する料理って世界でも
意外と多くあります。

すなわち、生食または半熟
ということですね。

たとえば、
イタリアの「ティラミス」
フランスの「マヨネーズ」は
生の黄身を使っています。

超半熟たまご料理の
「エッグ&ソルジャーズ」も
この範疇に入るかもしれません。

もともと生食文化のある和食に
応用できる調理方法も
けっこうある、と感じますね。

この「草原の牡蠣ドリンク」
プレーリーオイスターも、

ゆず胡椒や山椒など、
和風のアレンジで面白い
ドリンクができるかも!?

カテゴリー | ソムリエ日記 , 面白たまご話 2022年11月16日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

突然ですが、ウチの法人名は
「小林ゴールドエッグ」といいます。

直訳で『黄金のたまご』

だから、ではありませんが、
本日のテーマは、
この「たまご」と「黄金」について。


じつは古来から欧州では

卵の黄身といえば『黄金』

これが、
料理のセオリーだった時期があります。

中世ヨーロッパの宮廷料理には、
『金色』がふんだんに使われていたんです。

これは、パーティ料理は

豪華!がいちばん!

という発想が、中世の頃はあったためですね。

そして、黄金色を出すには
卵の黄身が、効果大だったのです。

現代でも、
パイ生地の艶出しに
卵黄を使いますが、

中世宮廷料理では、もっと
黄金感、ゴールド感を出すため

サフランなどのスパイスとともに、
卵黄がた~っぷり使われたんです。

たとえば

まるごとお菓子製の
『黄金のお城』が
ドーン!

みたいな料理が
出されていたのですね。

しかも、兵隊さんや
馬なんかまでミニチュアで
こしらえて・・・

または、
物語の一幕をそのまま
黄金色の料理にしたり・・・

なかなかすごいですよね。

ジャンル的には「幻想料理」
なんて呼ぶそうです。

 

◆聖なるもの=卵のイメージ

ただ単に、
黄金色にできるから
卵を使うだけじゃなくて

じつは西欧では、
卵=聖なるもの
というイメージが強いのですね。

たとえば
フィンランドの叙事詩では
鴨が女神の膝に産んだ

6個の黄金たまごから
世界が生まれた

という伝説ですし、

『卵で竜を倒す』

という伝説は、ヨーロッパ中にあります。

イースターエッグもこの
良イメージから来てますね。

料理の色映えを卵で
良くするのは、
招かれたお客様の受けも
非常に良かったわけですね。

ですので、なんとなくある
卵=黄金というイメージは、

・黄金色の料理に卵が使われた

・たまご=聖なるものという良イメージ

この2つのおかげでついたのです。
そこから僕たちの会社名にまで
つながっているなんて、
なんだか面白さを感じます。


◆『金貨』の名前の黄身料理

また、欧州の料理には、
卵の黄身を「金貨」に見立てた
名前の料理がいくつもあります。

これは「金貨の前菜」という
ステキメニュー名ですが、
見ているとなるほど!ですよね。

ぜひ、あなたのお店でも、
卵の持つ景気の良さそうな
黄金イメージを「照り」で
その歴史背景ごと
活かしてみてはいかがでしょうか!?

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , 面白たまご話 2022年09月10日

世界には3万を超えるたまご料理がありまして、

中にはその国独自のたまご料理もたくさんあります。


こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

 

以前に、
ちょっと珍しいご依頼
食品卸会社の社長さんとお会いして
頂戴する機会がありました。

 

東南アジア食材専門の会社さんから、

「日本でホビロン(バロット)
が手に入らないか?」

というご要望をいただいたのです。

ホビロン(バロット)
ってご存じでしょうか?

これカンタンに言いますと、

たまごからふ化する
途中のゆでたまご

のことです。

 

アヒルやニワトリの卵を使います。

アヒルは26日
ニワトリは21日間で
ヒヨコになるのですが、

その途中のものをゆでると
非常にコクのある、
滋味のあるたまご料理になるんです。

フィリピンやベトナムでは
非常~に人気があります。

 

こばやしはかつて
フィリピンのミンダナオ島に
1週間ファームステイしたことがありまして

農場さんの「おもてなしのごちそう」として
バロットをいただいたことがあります。

 

まだ二十歳そこそこの頃でして
ホントおっかなびっくりでしたが、
非常に貴重な経験でした。

 

で、ですね。

ふ化途中のものをゆでて食べるわけですから、
長期保存も冷凍もできません。
(ゆでたまごって冷凍変性するんです)

 

なので、

たとえば
在日フィリピン人の方やベトナムの方が

「バロット食べたい…!」

・・・と思っても、
日本では食べられないわけです。

 

その「ふ化途中のたまご」が
手に入らないか?
・・・という問い合わせだったのですね。

 

僕は二つ返事で

「あ~、
たぶん入手できますね。
早速準備してみます。」

と答えたのです。

 

だって、いま日本には
1億5千万羽ほどのニワトリがいまして、
どれもヒヨコとして生まれているんです。

 

正確には

育雛場さんや食肉向けの農場さんで
日々孵っているのですが

そのふ化途中の有精卵は
たくさんあるわけで

『バロットを食べたい』
というご要望に応えるのは

そう難しいことじゃ
ないだろう・・。

そう考えたのです。

 

結果は・・・

「とんでもない!!」

「絶対ムリ」

という事がわかったのです。

 

なぜなら、
「ふ化途中のたまご」は、
“畜産物”であって食品じゃない”から…

 

つまり、

「卵でも鶏でもない」状態

ですから
区分も分からない。
今の食品衛生法で定義できないんです。

 

そもそも賞味期限も決まってない。

非常にグレーゾーンでして、
少なくとも育雛場からの出荷は
『食べ物として扱った時点で違反』

・・・という事でした。

なるほど・・・

結局のところ
ホビロン(バロット)が
食べたければ

現地に行くしかないのです。

 

いま日本には
27万人の長期在留フィリピン人
43万人のベトナム人の皆さんがいらっしゃいます。

 

その方々の

「食べたくても食べられない。
ソウルフードなたまご料理」

のご要望があるわけです。

 

たとえるなら、
あなたが外国にいて

「目の前に“味噌”はあるのに
味噌汁は法律で禁止されている。」

みたいな気分かもしれません…。

いや~、
文化交流がさらに進んで
この辺の法整備もいつか変わる、
そんな未来がいいですね~。

 

なんとかできないものか…

折に触れて、
取り組んでまいります。

 

ここまでお読みくださって
ありがとうござます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , 面白たまご話 2022年08月4日