小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記SOMMELIER DIALY

日本で絶対食べられない卵料理

世界には3万を超えるたまご料理がありまして、

中にはその国独自のたまご料理もたくさんあります。


こんにちは!

たまごのソムリエ・こばやしです。

 

以前、ちょっと珍しいご依頼を

食品卸会社の社長さんとお会いして

頂戴する機会がありました。

 

東南アジア食材専門の会社さんで、

「日本でホビロン(バロット)が手に入らないか?」

というご要望をいただいたのです。

ホビロン(バロット)ってご存じでしょうか?

これカンタンに言いますと、

たまごからふ化する途中のゆでたまごのことです。

アヒルやニワトリの卵を使います。

アヒルは26日

ニワトリは21日間でヒヨコになるのですが、

その途中のものをゆでると

非常にコクのある、

滋味のあるたまご料理になるんです。

フィリピンやベトナムでは非常に人気があります。

 

こばやしはかつて

フィリピンのミンダナオ島に

1週間ファームステイしたことがありまして

農場さんの「ごちそう」として

バロットをいただいたことがあります。

 

まだ二十歳そこそこの頃でして

ホントおっかなびっくりでしたが、

非常に貴重な経験でした。

 

で、ですね。

ふ化途中のものをゆでて食べるわけですから、

長期保存も冷凍もできません。

(ゆでたまごって冷凍変性するんです)

 

なので、たとえば

在日フィリピン人の方やベトナムの方が

「バロット食べたい…!」

と思っても、日本では食べられないわけです。

 

その「ふ化途中のたまご」が手に入らないか?

という問い合わせだったのですね。

 

僕は二つ返事で

「あ~、たぶん入手できますね。早速準備してみます。」

と答えたのです。

 

だって、今日本には1億5千万羽ほどのニワトリがいまして、

ヒヨコとして生まれているんです。

 

正確にいうと

育雛場さんや食肉向けの農場さんで日々孵っているのですが

そのふ化途中の有精卵はたくさんあるわけで

バロットを食べたいというご要望に応えるのは

そう難しいことじゃないだろう・・。

そう考えたのです。

結果は・・・

「とんでもない!!」

「絶対ムリ」

という事がわかったのです。

 

なぜなら、

「ふ化途中のたまご」は、

“畜産物”であって“食品じゃない”から…

 

正確に言うと、

「卵でも鶏でもない」状態ですから

区分も分からない

今の食品衛生法で定義できないんです。

 

そもそも賞味期限も決まってない。

非常にグレーゾーンでして、

少なくとも育雛場からの出荷は、

食べ物として扱った時点で違反…

という事でした。

たしかに・・・

結局のところ

ホビロン(バロット)が食べたければ

現地に行くしかないわけです。

 

いま日本には

27万人の長期在留フィリピン人

43万人のベトナム人の皆さんがいらっしゃいます。

 

その方々の

「食べたくても食べられない。ソウルフードなたまご料理」

のご要望があるわけです。

 

たとえるなら、

あなたが外国にいて

「目の前に味噌があるのに

味噌汁は法律で禁止されている。」

みたいな気分かもしれません…。

いや~、文化交流がさらに進み、

またこの辺の法整備もいつか変わってくる

そんな未来がいいですね~。

 

なんとかできないものか…

折に触れて、取り組んでまいります。

 

ここまでお読みくださって

ありがとうござます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , 面白たまご話2022年08月4日