小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記SOMMELIER DIALY

たまごとウサギの間違った関係って!?

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

干支のうさぎとたまごのコラム第2弾。

昨日のコラムでは、欧米の
たまごとうさぎのステキな関係について
書きました。

今日はその反対・・・

じつは、
うさぎのおかげで
たまごは百年つづく迷信
悩まされることになったのです。


1913年のことです。

ロシアの学者ニコライ・アニチコワさんが
ある研究をしました。

「コレステロールの摂りすぎついて
研究するために、ウサギで試験をしよう。」

・・・と考えまして、
実験用のウサギに
多量のコレステロール飼料を
食べさせました。

すると、血管中に脂質があふれ、
いわゆる高脂血症と動脈硬化に
なったのです。

「こりゃいかんな・・!」

すぐさまこの研究結果を
発表したのですが、それが
大きな勘違いを引き起こしたんですね。

「卵のようなコレステロールの
高い食べ物を食べすぎると、
血管障害になる。」

・・・この考えは
センセーショナルに世界に広まりまして
「卵は一日一個まで!」という
勘違いが、長く長く、
百年つづく迷信となったのです。

ちなみにアメリカでは
「たまごは一週間に1~2個!」
なんて言われてました。きびしい!

この研究で
何が問題だったかと言いますと

ウサギは草食動物なんです。

ふだん食べる草は
コレステロールを
含まないですから、

そんなものが
大量に入ってきたときに
体内でコントロールする機能を
持ってないのです。

ですが例えば人間とか
イヌとかネコとかの
雑食や肉食の動物は、

沢山のコレステロールを
摂っても、それを調整する
機能をしっかり持っています

コレステロールを多く摂った
ときは、その分だけ体内で
合成されるコレステロールを
減らしたり、胆汁として排出し
調節できるんです。

ですので、例えばヒトは、
国立栄養学研究所の調べでは
一日10個、二週間以上卵を
食べ続けても、コレステロールは
まったく上がらないことが報告されています。

また、20年間の膨大な論文の検証、
2万人の追跡調査などを経て

「やっぱりコレステロールの
摂りすぎと高脂血症って、
関係ないよね。」

ということがその後
あらためて医学的に
証明されまして、今に至ります。

ちなみに厚生労働省も長らく
『日本人のコレステロール摂取の目標値』
を出していましたが、2015年に
「必要ないよね。むしろ摂ると
メリットあるよね。」
と上限を撤廃しています。

もし
この110年前の研究による
まちがった推論がなければ、
たまごの消費イメージと
世界の健康データは
まるで違ったかもしれません。

 

◆時代もわるかったのかも

ただ、研究者アニチコワさんが
まちがったのがひどい、という
事ではありません。

当時の研究用実験動物として
現代でよく使われている
「マウス」「ラット」は
本格的に普及し始めたばかりで

その少し前から実験用ウサギ
方が先行して使われていました。

ちなみにマウスは雑食ですので、
高コレステロール食でも
影響はみられていません。

もし、医学研究での実験用動物の
普及の順序がちがっていれば
どんな卵の評価になっていたでしょうね~。

「たまごは毎日3つは食べないとダメ
だよね。昔っからおばあちゃんも
そう言ってるし。」

みたいな。

ここまでお読みくださって、
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , おいしさ雑学2023年01月3日