定容凍結ってなに!?たまご保存の未来になるかも

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。
ゆでたまごって、
便利そうで意外と保存が難しい食材です。

近年の研究で、面白い技術があったので
少しご紹介を。
今年8月に、食品微生物学の学術雑誌
「International Journal of Food Microbiology」に
こんな論文がでていました。
『非熱的等積凍結と塩水保持:即食用固ゆで卵の品質と微生物学的安全性』
Non-thermal isochoric freezing and brine retention: Quality and microbial safety of ready-to-eat hard-boiled eggs
「“定容凍結”という
特殊な冷凍技術によって
ゆでたまごの品質を
46日間維持できた」
という内容です。
これ、すご~く興味深いんです。
まず前提として、
ゆでたまごは
冷凍できません。
白身が変性して、解凍すると
スッカスカのスポンジみたいになり
ゴムみたいな食感の
食べられたものじゃないひどいものに
なってしまいます。

さらに
ゆでたまごは菌に弱いんです。
生の卵は
白身が菌を溶かす作用を持っていて
2週間はゆうに生で食べられます。
ですが、茹でると
その白身の作用が失われるのです。
すると冷蔵しても
せいぜい3、4日しか持ちません。
なので、お店さんでも
数日間つかうぶんだけを
しょっちゅう茹でて剥かなくちゃ
ならないのです。
すごく大変ですよね~・・。

それをカバーするために
ゆでたまごを工場で剥き
phの低い水に漬けた業務用商品も
あるのですが、
それでも一週間くらいの賞味期限です。
それが、
『凍らせる』ことができて
2か月近く保存しても
品質に問題ないとなると、
かなり取り回しはしやすくなります。
それを可能にするのが
「定容凍結」という技術。
◆「定容凍結」ってなに?

ふつう、
水は凍ると体積が9%ほど大きくなります。
ほら、
水を入れたペットボトルを凍らせると、
ふくらんでしまうことがありますよね。
ところが、
「定容凍結(ていようとうけつ)」は、
水分を含む食品を
液体と一緒にめっちゃ頑丈な容器に入れ、
がっちりと
体積が変わらないようにして
凍らせる方法です。

氷がふくらもうとしても
容器がそれを押さえるため、
内部に強い圧力がかかります。
この圧力によって、
水の凍り方や氷のでき方が変わるんです。

つまり、
「ふくらませずに凍らせる」という、
ちょっと不思議な冷凍技術なんですね。
これが食品の品質を守る技術としても
研究されています。
◆氷が膨らみ組織が変わってしまう
ふつうに凍らせると
ゆで玉子の中にある水分もふくらんで、
これが悪さをするんですね。
ゆでたまごの白身は
加熱されたタンパク質が
網目状につながった構造です。
いわばジャングルジム。

そのすき間に水分が
たくさん含まれています。
タンパク質でできた
ジャングルジムの中で
水分が凍ることで・・・

水の部分が
カキーンと凍ってふくらんで、
周りの構造同士をムギュっと押しつけ
固い繊維のようにしてしまうのです。

解凍しても戻らず
すかすかだけどゴムみたいな食感に
ゆでたまごの白身がなっちゃうんですね。

これはゆで卵にかぎったことではなく
たとえば同じタンパク質の
豆腐も凍ると高野豆腐のように
食感が変わりますし、
こんにゃくも凍ると
お風呂のスポンジに使えるくらい
固い組織になります。
◆大きな氷を作らせない定容凍結

そこで、「定容凍結」なんです。
この「ふくらまずに凍らせる」
この技術をつかうと、

容器がふくらみを抑えるため
ゆでたまご内の氷も大きくならず、
食感はそのまま保たれるのです。
すご~い。
これ、もともとは
臓器移植のさいに
組織を傷つけずに凍らせて運ぶ
技術として考えられたのです。
それくらい
繊細な品質維持ができるんですね。
◆卵料理の未来が変わるかも
これが実用化されれば、
飲食店さんの仕込み負担や
食品ロスの軽減につながるかもしれません。
卵は昔からある食材ですが、
保存技術にはまだまだ
進化の余地があるんです。
ワクワクしますね。
ここまでお読みくださって
ありがとうございます。


