小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記 SOMMELIER DIALY

たまご・鶏のことわざ 記事一覧

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こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

たまご・鶏のことわざ36弾、今回は英語圏から。

<めんどりが鳴かないと卵は産まれない>If the hen does not prate, she will not lay.

『口やかましい奥さんの方が家庭がうまくいく』、という意味です。

良い奥さまは、夫のことを思って必要なことをどんどん指摘する奥さまのこと。

英語圏はどこも“男女同権”先進国、レディファーストのお国柄だからでしょうか。

差し出がましいことは言わない・つつましやかで控えめな方が良い・・・なんてのは欧米の価値観で言うと「そんなんじゃダメダメ!」ってカンジなのかもしれませんね。

ホーソン効果、という社会実験のお話があります。

デトロイトのある工場が、「照明あかるさ」が作業効率にどう影響するかを調べる実験をしました。

暗い方が良いのか、明るい方が作業効率が上がるのか……

さて結果を見ると、照明の明暗による差はありませんでした。

ところが!

面白いことに、

両方とも作業効率がグッと上がった」んですね。

・・・・・・!?

これはつまり、

『工場スタッフの頑張りを、実験者が注目している』

たったそのことだけで仕事の成果が大きく上がったということだったのです。

『見ている』、

つまり普段、気にかけて声をかけることで、人のやる気は上がる。

このことが「ホーソン効果」とよばれ、マネージメントの一つの指標として企業の現場でも活かされています。

ご家庭でも同じですよね。

上のことわざの意味としては、

奥様が「どーでもよいわ。」と無視に近い状態よりも、たとえ厳しい一言だとしても、あれやこれやと投げかけをすることで、「ちゃんと気にかけてもらっている」というプラスの気持ちが生まれるのではないでしょうか?

うるさく言うめんどりさんのおかげで、素敵な幸せ(卵)が産まれる・・・・・・そういう事ですね。

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なんにせよ、ご家庭が明るいかどうかは、お父さんお母さん、そしてご家族にとって非常に大事です。 一緒に食卓を囲んで会話しながら食事しているかどうかで、子供の犯罪率が変わってくるという警視庁データもあるくらいです(参照)。 奥さまにかぎらず子供もトーチャンも、どんどん意見・会話をご家庭で重ねていくことが、うまくいく秘訣なのかもしれませんね。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

(関連:楽しみとガマンはワンセット(たまごの諺)その18-たまごのソムリエ日記

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご・鶏のことわざ 2016年06月24日

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こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

たまご・鶏のことわざ、今回は中国から。

 

<一人が道を得れば鶏も犬も天に昇る(鶏犬昇天:けいけんしょうてん)>

これは『出世した人のおこぼれ(影響)で、まわりの親族まで出世すること』を表わします。

いやー、大学生の半数が「コネが重要」と応えるほどの“繋がり重視社会”な中国らしいお話しですねェ……

◆危機一髪!国王の脱出◆
これは、むかしむかし、「漢」という国を作った英雄・劉邦さんの孫に劉安さんという方がいらっしゃいまして、この方は海南という属地方の王様でしたが、故あって謀反を起こしちゃうんですね。

が、反乱前に発覚してしまい追い詰められてしまいます。 その絶体絶命の劉安さんに、間一髪!神仙が救いの手を差し伸べてくれるんですね。

神仙サマからありがたい霊薬をもらい(レシピを授かり自分で調合したとの伝説も)それを飲みほすと、なんと・・・! フワフワと体が浮き上がり、すんでのところを逃れ天に昇り、仙人となることができたんですね。

そして、その時!

同時に家で飼っていたニワトリさんとワンちゃんまでもがフワフワと浮きあがり、一緒に天まで昇っちゃったわけです。

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このエピソードから、『一人が出世すると、たとえ能力が無くても親族や側近まで出世する』 という意味で使われるようになりました。

以前もお話ししましたとおり、『犬とニワトリ』というと“人間と最も近い動物の象徴”でして、“親族や側近”の比喩としてはうってつけのコンビなんですね。 ちなみに中国の古典では“犬鶏”と書いてあると「人が住んでいる村里」の事を表すくらいなんですね。

中国は、現代でも強いコネ社会なんだそうです。 これは、長い動乱が続いた事から敵味方をハッキリさせ「関係」を重視する風土ができあがったからだとも言われています。

仲間をだいじに。

そう考えると悪い事ばかりでもないのでしょうが、こと“政治”となるとそうはいきません。

日本は、この夏には参院選、全国いろんな方が出馬されます。 鶏犬昇天じゃなく、実力発揮のうえで、政策を戦わせてほしいものですね。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます^^

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご・鶏のことわざ 2016年03月30日

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こんにちは。たまごのソムリエ・こばやしです。

たまご鶏のことわざ第33弾、今回は中国から。

<斗酒隻鶏(としゅせきけい)>

直訳すると、一斗の酒と一羽の鶏

と言う意味ですが、

 

これは古く中国では

死者を弔う際に用意されたもので、

転じて『亡き人へ哀悼をし、しみじみ想う

という意味になります。

 

友人を亡くし、斗酒隻鶏の想いに暮れています。』…なんて風に使います。

この言葉は、以前紹介した故事成語の“鶏肋(けいろく)”と同じく、

三国志の英雄・曹操さんが由来となっているんです。


むかしむかし、

橋玄(きょうげん)さんという方がおりました。

 

将軍にまでなったすごくエライ方でして、

まだ無名だった曹操さんに会い

こんなスゴイ人物は天下に見たことが無い。 きっと乱世の英雄となるだろう。 老いたワシの妻子を託したいくらいだ。

・・・とたいそう高く評価し、

曹操さんが世に知れ渡るきっかけを作ったというエピソードがある方です。

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この『斗酒隻鶏(としゅせきけい)』の言葉は、

曹操さんが将となったのち、

亡くなられた橋玄さんのお墓を、

大礼を尽くし祀った際に捧げた一文です。

 

この橋玄さん、

豪胆な性格だけれども

下位の者には決して威張らず

いつもへりくだった態度で接し、

 

橋玄さんの地位を利用して出世した一族の者は

一人もいなかった、

と言われる清廉な方でした。

 

そんな方が

『曹操はスゴイやつだぞ。』

と周りに伝えていたわけですから、

そりゃぁ評判にもなるってものでしょう。

 

出世した曹操さんが

その恩をずっと忘れずにいたことも、良い話ですね。

 

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご・鶏のことわざ 2016年01月27日

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こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

たまご鶏のことわざ、今回はカンボジアから。

<鳴くめんどりは、卵を産んだめんどり>
(モァンヌ ナー クトーツ、モアンヌ ノゥッ ポーン) 

鶏さんは、たまごを産んだ後によく鳴きます。 そこから転じて、『事件を起こした張本人は、証拠となる行動を起こすものだ』

という意味になります。

一番さわいでいるアノ人が、どうも犯人っぽくてアヤシイ・・・・・・。

そんなときに使うコトワザです。

ミステリーでときどき出てくる展開ですねェ。

「誰がやったんだ!けしからん。 刑事さん、はやく犯人をつかまえてください。」

なんて大声で言うヤツに限って、犯人だったり。

心理的にはワカランでもないですよね。

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心にやましいことがあるから、それを払しょくしようと思って普段取らない行動をとっちゃう。 たとえば『浮気したときだけプレゼントを買ってくるダンナ』は、まさに「卵を産んだ時だけ鳴く鶏」です^^;

_

◆産卵後よく鳴くのはホント◆
さて、 実際のところはというと、ニワトリさんは産卵後に長鳴きをします。 おんどりは朝になると時を告げるように鳴き、めんどりは卵を産んだ後に鳴く・・・・・・のだとか。

もっとも、私は商売柄めんどりさんと比べ雄鶏サンはあまり面識がないので、「そうらしい」と聞くばかりですが^^;

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

関連:たまごのソムリエコラム・・・たまご・鶏さんのことわざシリーズ一覧

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご・鶏のことわざ 2015年12月19日

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こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

たまご・鶏のことわざ、今回は中国から。

<泰山卵を圧す(たいざんたまごをあっす)>(泰山圧卵)

圧倒的な力でたやすく成し遂げてしまうことを言います。

「泰山卵を圧す勢いでゴールに攻め込んだ。」 なんて使い方をします。

泰山”とは、中国にある山で、道教の聖地・五岳のひとつ。 日本でいう富士山のような扱いでして、「雄大なようす」「デッカくてスゴイ存在」の代名詞になっています。

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日本でもゆうゆうとした態度を「泰然(たいぜん)とした姿」なんて表現しますが、これは泰山が由来なんですね。

この表現を日本風にしてみると、

「富士山で卵をつぶすみたいな圧倒的勝利!」

・・・・・・てなカンジでしょうか。

西遊記でもこの泰山は出てきておりまして、

ひょうたんを持って吸いこむ妖怪、金閣・銀閣の弟の方、

銀閣が泰山、須弥山、峨眉山の三つの山を動かして孫悟空を押しつぶし、封じ込めるというエピソードがあります。

孫悟空でもつぶされちゃうのに、卵なんてどーにもならないですよねェー ^^;

ことわざや慣用句は本来、伝えたい表現を分かりやすくつたえる、そういう目的があります。

ですから、イメージしやすい表現が多くなるわけですが、そのなかでもこの「泰山圧卵」は特にスゴイスケールのイメージで、とても面白いです。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

関連:たまごのソムリエコラム・・・たまご・鶏さんのことわざシリーズ一覧

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご・鶏のことわざ 2015年10月17日

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こんにちは!たまごのソムリエ、こばやしです。

たまご鶏のことわざ第31弾、今回は英語圏から。

<たまごの殻の上を歩く(walk on eggshells)>

と書いて、「慎重に行動する」ことを言います。 ヒヤヒヤしながら行動する、そんなニュアンスもあります。 そりゃそうですよねー、カラの上を歩くんですから。 日本でいう「薄氷を踏む思い」ですね。

一般的に「薄い」の代名詞として「卵の殻」で表現されることは良くありまして、たとえば薄い白磁器は英語で「チャイナ エッグシェル(china eggshell)」 と呼ばれます。 イメージしやすいですねー。

ことわざに話を戻します。

昨年の米国ニュースを例にとると、

 「卵殻の上のレース(Racing On Egg Shells)

 というタイトル記事がありました。 これは、米国の自動車レースで、新型世代マシンが導入された事に関するニュースです。

トップドライバーのケセロウスキー氏は、
「まだまだテスト状態でヒヤヒヤするよ。 みんな卵の殻の上にいるってことさ。 ドライバーだって卵の殻の上、ファンだって卵の殻の上にいる気分だろうね。 メディアだって、運営本部だって卵の殻の上にいる気分だと思うよ。」

・・・・・・と、たまご連発のコメントをしています。 まだ慣れてない事に対するヒヤヒヤ慎重を、卵の殻という慣用句で表現しているんですねー。

 

◆実はけっこう固いたまごの殻
ちなみに卵の殻は、長軸方向(タテの上下からの)に対する力に対しては、一個のたまごでなんと7kgもの荷重に耐えられます。

つまり、1パック10個の上ならば、大のオトナが乗っかる事ができるんですねー。 きちんと並べたならば車だってその上に乗れるんです。 えへん。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご・鶏のことわざ 2015年09月30日