小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記SOMMELIER DIALY

卵のデマをほっておくとどうなるのか その②

デマを放置していて、

大変なことになったのが、

牛乳の業界です。


こんにちは!

たまごのソムリエ・こばやしです。

昨日はたまごのデマについて、

少し触れました。

本日はその続きです。

 

わりととんでもないデマを

広めている人は

いらっしゃるのですが、

 

「信じていない人も

いっぱいいるみたいだし、

大丈夫じゃないの?」

 

そう言ってくださる方もいます。

ですが、同じ畜産業界では、

実は「牛乳」が

ニセ科学によって大変な目にあっているんですね。

 

◆牛乳のデマに衝撃

15年ほど前に、

新谷弘実さんというお医者さんが

「病気にならない生き方」という本を

出版しました。

 

この中で

「牛乳を飲むと有害である」

ということをセンセーショナルに伝え、

さらにこの本が累計140万部もの

ベストセラーとなったことから、

牛乳は危険だという論調が

ネットやTVでも盛んに取り上げられ、

以降さまざまな「牛乳有害説」が出てくる事態となりました。

 

牛乳はどんどん飲むべきだ!

という考えで育った世代の僕には、

「市販の牛乳は『錆びた脂』ともいえる」

「牛乳のカルシウムは、

かえって体内のカルシウム量を

減らしてしまう」、

「牛乳を飲み過ぎると骨粗しょう症になる」、

「日本でアトピーや花粉症の患者が

急増した第一の原因は

学校給食の牛乳」との

センセーショナルな記述に、

ビックリしたのを覚えています。

(ちなみにJミルクさんがひとつずつ丁寧に反論しています

 

この数年前から

「買ってはいけない」など

食品不信をあおる本が

次々と話題になっていて、

牛乳についてもテレビで面白く

取り上げやすい雰囲気があったんじゃないかと思います。

 

タレントの松嶋尚美さんがテレビで

「牛乳は有害だから子供に飲ませない」と話し、

話題になったこともありました。

 

とはいえ、実際のところ

医学的な裏付けデータは一切出ておらず

研究者・関係者はこぞって反論しました。

 

この本に反対意見を述べるシンポジウムを開き、

業界からも反論となる公開質問状が

出されましたが、

 

一度付いた悪イメージは

簡単には払拭できず、

 

16年経った今に至っても、

いまだに「牛乳がキケン」の主張を

『本に書いてあるから』という

理由だけで繰り広げる方がいます。

 

さまざまな要因がありますが、

結果として牛乳消費は1996年の

ピーク時から比べて3割もの減少となっています。

 

◆反論の大事さ

たまご業界でも、百年つづく迷信があります。

こちらはカン違いがもとですが。

 

ロシアの研究者さんが

ウッカリ草食動物のウサギで

卵の摂取試験をしてしたことから、

動物性のたんぱくや脂質を

分解できないことに気づかずに

 

「卵を食べると血中コレステロールが上がる??」

と考えてしまったのです。

 

そして、

「卵は一日一個までにすべき」

という結論を出して、

以降なんと百年!もの

世界的常識になってしまったのですね。

 

さすがに今は

それをいう方は減りましたが、

百年前に

このカン違いが無かった世界は、

今頃どんな卵の位置づけだったのか

とても気になりますね。

 

人の噂も七十五日

なんて言いますが、

「消しきれなかったデマは百年つづく」

が正しいのかもしれません。

 

ここまでお読みくださって、

ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご全般コラム2022年04月9日