小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記 SOMMELIER DIALY

たまごの歴史・文学・文化学 記事一覧

こんにちは。こばやしです。

桜の時期まっただ中ですね。 季節が変われば装いも変わる。 春の新作、新しいバッグやアクセサリーが気になってしょうがない方も多いのでは?

さて、世界中にブランドショップを持つティファニー。 このティファニーと「たまご」に深い関係があるのをご存知でしょうか・・・・・・?

◆鮮やかな色、じつは・・・komadori_egg.jpg
ティファニーで宝石やアクセサリーを買うと、とってもきれいなブルーの包装紙で包み、同色の商品袋に入れてくれます。

この有名な「ティファニーブルー」、実はある鳥の「卵」と深いつながりがあるんです。

それは「こまどりの卵」。

ウグイスと共に日本三鳴鳥の一つと言われるこの鳥は、きれいな青色の卵を産みます。

ヨーロッパでは古来より「高潔さと真実」を現す色であるこのブルーを、創業者のチャールズ・ルイス・ティファニーは、そのブランドのシンボルカラーとしたんだそうです。

◆青いたまごを食べる
鮮やかな青色のたまご、食べる方としては少々抵抗があるものですが、食用とされていて鮮やかな青色を持つたまごといえば、オーストラリア生まれ「エミュー」のたまごがあります。 ダチョウの親戚さんですね。

emu_tamago.jpg

元来この色は、草の中では極めて見つけにくい色。 外敵から隠れるのにちょうど良いわけですね。

大きさはコブシ大くらいでかなり大きいです。 カンジンの味は、『味は普通のタマゴよりもリッチでクリーミーな食感、どちらかというとアヒルのたまごに近い食感』だとか。 ダチョウはあるけどエミューのたまごは食べたことが無いので、私も興味深々のたまごです。

実はエミューのたまごには卵アレルギーのアレルゲンとなるたんぱく質が極めて少なく、エミューのたまごはアレルギーのお子さんでも食べられると期待されているようです。

もしかしたら、この「青いたまご」が多くのお子さんの悩みを救ってくれる救世主になるかもしれませんね。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの歴史・文学・文化学 2012年04月11日

こんにちは!こばやしです。

いつも、買っていただくお客さまに、

「いつもおいしいけど、最近のたまごは特においしい。なんで?」

と聞かれました。

うれしいですね(^^)

以前も書きましたが、たまごの旬は「春」なんです。

千年以上昔、まだ鶏さんが品種改良されていない、セキショクヤケイと呼ばれる原種に近かったころは、たまごはこの春の時期にしか生まれない貴重品でした。

品種のかけ合わせが進み、一年中たまごを産むようになった現在でも、鶏さんの一番コンディションが良いのは、今の時期。 そして、世界の生活文化のなかで「春とたまご」は密接に結びついているんですね。 本日は、この「春とたまご」の歴史的なつながりについて御説明します。

 

◆世界中で!春と卵の深い関係
日本の文化、短歌や俳句で見ると、「たまごの季語」は春です。 たまご=春なんですね。

そしてヨーロッパでも「春の象徴」というとです。

暗く冷たい冬の終わりから、暖かい光の世界へ。

季節の変化を告げ、冬の終わりを祝う象徴として、生命のシンボルである「たまご」が古来より用いられています。

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そうして何世紀もの間、卵は「春の風物詩」として祝福され、贈り物として交換され、おいしく食べられてきました。 たとえばその一つが「イースターエッグ」なんですね。

イースターエッグとはヨーロッパの風習で、たまごの殻にキレイな飾り付けをして春をお祝いするイベントです(右写真参照)。

そしてそれだけでなく、中国、ペルシア、エジプト、およびギリシアでも、「春の儀式」として卵を食べて春を祝う風習があります。

比較的歴史の新しいアメリカでも欧州から伝わった「たまごころがし(egg rolling)」と呼ばれる春の伝統行事があり、これはなんと、ホワイトハウスの庭で許可されている唯一のイベントだったりします。

そもそもの「春に卵を食べてお祝いする」最も古い風習は、ユダヤ人から始まっていると言われています。 春のお祭りに際して、殻ごとローストしたたまごを食事のお盆に乗せ神に捧げていたのだとか。

余談ですが「焼きたまご」は日本ではあまりやりませんが、アジアでは比較的ポピュラーな食べ方で、ゆでたまごに比べて水分が飛ぶため味を濃く感じるナカナカ美味しい料理です。(^^)

春はたまごの旬!

この良き季節を満喫するためにも、一年で一番の旬!たまご料理をどうぞ!

(参照) The incredible, versatile egg April 7, 2011 (From soups to sweets they’re there for us, spring’s symbol of life renewed.)

(関連:千年の昔、鶏の卵は一年に一度しか生まれなかった。 – たまごのソムリエ日記)

(関連:復活祭なのでイースターエッグを描いてみました。 – たまごのソムリエ日記)

(関連:エッ!卵の成る木!?_たわわに実ったたまご(ドイツの復活祭より) – たまごのソムリエ日記)

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの歴史・文学・文化学 2012年04月6日

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こんにちは。こばやしです。

先日、「たまごと鶏肉は、戒律でほとんど禁じられておらず、世界中で食べられる“宗教レス食材”である。」というエントリを書きました。

が・・・・・・、

実は組み合わさることでタブーとなってしまう場合があります。
    「たまごはOK。鶏肉も食べて良い。」
    「でも“親子丼”はゼッッタイ駄目!禁止!!!」
・・・・・・とは、どういう宗教タブーなんでしょうか?


◆残酷なのはダメ!ユダヤ教の厳しい戒律
ユダヤ教において、「子ヤギの肉を、その母の乳で煮てはならない」という戒律があります。
お母さんのミルクで、その子供を煮るなんてなんたる残虐!ってことのようです。

この教えにより、そのような“親子”の組み合わせ料理は、ユダヤ教徒の皆さんにはすべて厳禁です。 和食でいうと、上記の「親子丼」。 日本で一緒に食事しても、絶対に勧めてはいけません! 他の例でいうと、「チーズバーガー」が有名です。(牛乳と牛肉ですね) 北海道で美味しい「鮭イクラ丼」なんてのもモチロン駄目でしょう。同じく「“鮭節”ダシの醤油漬けいくら」なるものも北海道にはあります(おいしそう!)が、これもダメということですね。(^^;)

うーむ・・・、日本文化の中だと、健康上の“食べ合わせ”はあっても、宗教上の組み合わせタブーとなる食べ物なんて、あまり思いつきませんね・・・。 非常に興味深いです。

 

◆戒律には愛が詰まっている!?

usi_kinshi_taboo1.jpgそういえば以前、インド人の知人Hさんに「なぜヒンドゥー教では牛を食べてはダメなのか?」と聞いてみたことがあります。 彼は笑いながら「アナタも赤ちゃんの頃から牛さんミルクで育ったでしょ?そんな“お母さん”にザンコクな事をしちゃいけないですよね。チガイますか?」と答えてくれました。

 

「豚はイイ。牛はダメ。」なんてちょっと不合理だなァ・・・、以前はそう思っていたのですが、Hさんの説明を聞いて納得しました。

上記のユダヤ教義もそうですが、羊も牛も鶏や豚もたまごも、食材としてでなく“一個の生命として尊ぶ”という姿勢から、食の宗教的戒律は生まれてくるんではないでしょうか。

中華料理のように「自然の恵みとして感謝し、なんでも美味しくいただく。」という姿勢も素晴らしいと思いますが、「ダッテかわいそうじゃん。」という慈愛溢れる戒律も、これまた素晴らしい考え方じゃないかと思います。

我々は「他の生命を頂かずには生きていけない」という原罪を抱えながら生きています。

どのような方法にせよ、せめてムダ無く命を頂く「食への感謝と愛情」が、生きていくうえで必要だと思います。

ここまでお読みくださってありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの歴史・文学・文化学 2012年03月12日

こんにちは!こばやしです。

少し前、妻と映画「ガリバー」を観に行ってきました。

さて、このガリバー旅行記の有名エピソード「ガリバー小人国へ行く」ですが、実は「ゆでたまご」が物語の重要キーワードになっているのをご存知でしょうか?

「子供のころに読んだけど、どんな話だっけなぁ・・?」という方も多いかと思います、
簡単に粗筋を紹介すると、
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 船医であるガリバーは航海中、嵐に遭い難破、小人たちの国「リリパgariba_1.jpgット王国」に打ち上げられる。 彼らは非常に驚きつつも、“巨人”であるガリバーを客人としてもてなす。
 一方王国の 隣には「ブレフスキュ国」があり、お互いに仲が悪く戦争状態にあった。 リリパット王(皇帝)の求めに応じガリバーは戦争に協力、ブレフスキュ国連合艦隊を見事打ち破る。 しかし、国内の陰謀に巻き込まれ暗殺されそうになり隣国ブレフスキュ国へ亡命、その後ボートで出航、商船に拾われて故郷へ帰る。

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と、まぁこんな内容です。 絵本でガリバーが沢山の船を綱で引っ張ってるのは、このブレフスキュ国連合艦隊“拿捕”のシーンですね。

さて、問題はこの「リリパット王国」と、「ブレフスキュ国」。

この二国間で戦争の原因が、なんと!「ゆでたまごの剥き方」だったんです。

 

◆あなたはどっち派? ゆでたまごの剥き方
 ガリバーが流れ着いたリリパット王国は「小さいほうの円弧から割る」派で、お隣ブレフスキュ国は「大きい方の円弧から割る」派。 リリパット王国では「大きい方から割る派」は官職にも就けず、「大きい円弧から割る食べ方」について書かれた本はすべて発禁。 といった有様・・・。

もともとリリパット王国も「大きい円弧から割る」のが正統だったのですが、リリパット先々代皇帝がこの方式で指を切ってしまったことから心変わりし、「これからは『小さい円弧から割る』ようにせよ。」と勅令を出します。

 

さあ、これに猛反発したのが国民。
「大きい円弧」原理主義者は6度の内乱を起こして抵抗、「小さい方から割るくらいなら死んでやる!」と処刑されたヒトの数なんと1万1000人・・・! 残った反対派はゲリラ化し潜伏、大半は「大きい方から割ること」を国是とする隣国ブレフスキュ王国へ亡命してしまいます。

この事が、長く続く二国間の戦争を招いてしまうわけです・・・。

うーむ。 どっちでもいいじゃん、バカバカしくもけっこうハードな内容なんですねぇ。ガリバー旅行記は。 しかし・・・

 

◆「ゆでたまご」は何を例えている?
 この「ガリバー旅行記」、実は大人向けの鋭い風刺物語なんですね。 ここで言う「ゆでたまごの剥き方」論争は、当時の「カトリック」と「プロテスタント」の諍いを皮肉っているわけです。 リリパット王国とブレフスキュ国は、イングランドフランスのパロディ。gariba_kenka.jpg

つまり、「どっちも同じキリスト教でしょ? 教義のいさかいなんて、『ゆでたまごの剥き方』くらいどうでもイイことジャないの。 そう思いません?」と、揶揄してるんです。

我々にはピンとこなくても、当時の人たちにとってはすぐに分ることだったわけです。 例えるなら「ミンチュ党とジーミン党があって、互いに言い争いをしていました・・・」と書かれると、現代の大人なら、「ああ、なるほどね。」となるわけです。

さて、
「ガリバー旅行記」が書かれた英国。 現在、若者の8割が「ゆでたまご」の茹でかたを知らないという驚きの調査結果があります。 徹底的に「ゆでたまご」にこだわった寓話を描く「ガリバー旅行記」は、現代の英国世情まで風刺しているようにも見えますねェ (^^)

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの歴史・文学・文化学 2011年10月24日

terumaeromae2.jpgこんにちは!こばやしです。

「テルマエ ロマエ」という人気漫画をご存知でしょうか?
古代ローマ人が主人公なのですが、来年には阿部寛主演の実写映画が公開されます。 予想以上に似ていてビックリです。

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 古代ローマ時代の浴場設計技師ルシウスが、現代にタイムスリップすることで日本のお風呂文化に触れ、そのカルチャーショックに大いに驚きつつもそのアイデアをローマに持ち帰り大人気となっていく・・・。そんなストーリーのマンガです。

古代ローマと現代ニッポン、風呂を通じての意外な共通点が新鮮で、抱腹絶倒の面白マンガなのですが、さて、そんな漫画「テルマエ・ロマエ」第二話に、露天風呂と温泉玉子の話が出てきます。

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こんな滑らかな食感のたまごは食べた事がない!」と興奮するルシウス。 それもそのはず実は古代ローマでは「たまご」が意外な食べられ方をしていたんですね・・・。

 

◆はじまりの食材・・・たまご
 古代ローマ時代、たまごは何と「生たまごを丸飲み」で食べられていたんだとか。 それも「食前酒」として。 超ビックリ!ですね。 かの時代、卵は「始まり」の象徴とされていたことから、前菜や食前酒として先に興されることが多かったそうです。 うーん、それだけでお腹いっぱいになっちゃわなかったのでしょうか・・・!?

基本の食べ方が生なわけですから、当然「温泉玉子」という調理法はなかったようです(※茹で玉子は食べられていたようですが)。

そういえば、古代ローマ皇帝ジュリアス・シーザー(ユリウス・カエサル)の名前にちなんでできたとの俗説もある「シーザーサラダ」は、日本では「温泉玉子」を乗せたものが定番人気になっています。

温泉玉子には、辛味や塩味、とがった味をまろやかにし、口当たりを非常に滑らかにする効果があります。 洋の東西を問わず、どんな料理にも相性が良い魔法の調理玉子です。

シーザーが生きていたらさぞビックリしたでしょうね!

※映画もメチャクチャ楽しみです!

参照:「テルマエ ロマエ」(ヤマザキマリ)・「旅行者の朝食」(米原万理)
参照:阿部寛がローマ人に!上戸彩と風呂限定冒険漫画「テルマエ・ロマエ」映画化で共演決定! – シネマトゥデイ

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの歴史・文学・文化学 2011年10月19日

standingegg_2011.jpgこんにちは。こばやしです。

数週間に一回の更新という、反省すべき事態になっております(–;)

さて、明日は秋分の日ですね。

以前から何度か紹介しているように、

「昼と夜の長さが等しい日には、卵が立つ」という“迷信”があります。

発祥は古代中国の伝承と伝統的風習、

そこに「特殊な重力場」という科学っぽいリクツがくっつくことで世界中を巻き込んだ「都市伝説」に仕上がったわけです。

 

◆世界三大たまごイベント!?
古代文明においては、卵が「生命の起源」を象徴することも少なくありませんでした。 そのため、卵を使った「生命を祝う伝統行事」が世界中で生まれたわけです。

例えば、古代ゲルマンから始まるドイツの「イースターエッグ狩り(Easter egg hunts)」、

キリスト教と共に伝わったアメリカの「卵ころがし(Egg Rolling)」、

そして中国伝統の「卵立て(stand raw eggs on end on the first day of spring)」と、

たまごは「生命と豊穣の象徴」として世界中の伝統行事にに組み入れられていたわけです。 もっとも生命と豊穣を祝うのは春なので、中国では「秋」のイワレはないのですが・・・。

 

◆トンデモ科学の裏付け
「秋分の日(春分の日)にだけ卵が立つ」というロマンあふれる命題に対して、根拠となったのが「重力」です。 

海外では、

「秋分点、春分点において、地球2極間に太陽の等距離となることに起因する、特殊な重力場が発生する。」「昼と夜が同じ長さになるということは、地軸が太陽に対して垂直になる。」「よって最も安定した重力状態となって、たまごが立つのである。」taiyou_shunbun.gif

なんてカンジで語られています。

日本では、「秋分の日、春分の日の午前零時」という限定も付きます。 時間に厳しい点は、日本っぽいのかもしれません。

さて重力の安定という根拠ですが、太陽が地軸に対して垂直になるのは確かだとしても、知覚できるレベルで物体に影響が出るとなると、これはスゴイ事です。 そんな事が起きるなら、卵だけじゃなくて鉛筆からホウキ、つまようじまで何でも立ってしまうハズ・・・。 それはそれで面白そうですが・・・。

◆イベントに活用!ひそかなPRにも!?
なんにせよ、面白い流れにはなっていると思います。

モノより価値。 ワクワク感を伝える手段として、年二回のチャンスかもしれません。

飲食店さんでは、「本日秋分の日限定、3分以内に立てられたらデザートサービス!」とか、おもしろイベントに活用できそうです。

こだわりの卵を使っているなら、イベントと併せてこだわりどころをPRしてその後の来客や口コミにつなげることもできるのではないでしょうか?

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

 

(関連):秋分の日には、たまごを立ててみよう – たまごのソムリエ日記

(関連):秋分の日にも卵が立つ? – たまごのソムリエ日記

(関連):立春の日に卵が立つ!? – たまごのソムリエ日記(←※世界中で話題になった経緯も書いてます)

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの歴史・文学・文化学 2011年09月22日