卵の塩は何粒?【古典にみる卵話】
こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。
モリエール著
フランスの古典戯曲『病は気から』に
たまご料理について語る面白いシーンがあります。
自分が病気だと思いこんでいる
金持ちのアルガン。

医者に手厚く見てもらうため、
娘と若い医者を結婚させようと考えます。

ですが娘アンジェリックには
恋人クレアントがいて・・・
という、ドタバタの喜劇です。
その中でアルガンは、
若い医師とその父医者に
診察をしてもらいます。

「ウム。これは脾臓が悪いな。」
「かかりつけ医には肝臓だと
言われたのですが・・・。」
「肝臓も脾臓も同じようなものです。」
「普段の食べ物ですが・・・」
「ウ~ム、
焼いて肉を食べるから
こうなるんですな。」
「いつも煮たものだけを
食べているのですが・・・?」
「焼くのも煮るのもおなじことじゃ。」

「先生、卵一個には、
塩を何粒入れれば
よいのでしょう?
「6粒、8粒、10粒。
偶数にしなさい。
薬の場合は、
奇数にするのだ。」

「はー、なるほど。
ありがとうございました。」
と、アルガンは感心して、
医師親子は診察を終えます。

(『病は気から』第二幕・第九場)
うーん、まるで
吉本新喜劇みたいですねぇ。
1673年初演ですから、
いまから350年前の戯曲。
これ、
「権威に弱い患者」と
「根拠が曖昧なのに
専門家らしく振る舞う医師」の
ドタバタ喜劇シーンなんですね。

なかなか面白いです。
ツッコまれると
「内臓なんてどれもおなじ」
なんて返答しておきながら
一方でたまご料理の塩の粒は
偶数奇数まで指定する。
そんな矛盾に気づかず
エラソーにするヒトって
いますよね~。
痛烈な皮肉です。
◆塩をまぜると食感が変わる
ちなみに卵料理は
塩を入れることで
食感が良くなります。

たとえば茶碗蒸しは
0.6%程度の塩分があると
滑らかな舌触りになって
出汁の含みが良くなり、
そこから塩を多くすると
もろい食感になってきます。

塩をどれくらいの
パーセントで入れるかは、
たまご料理の『食感』に
大事なんですね。
ここをテキトーにしちゃうと
イマイチになることもあるんです。
また、塩を卵液に混ぜてから
調理前にどれくらい置くか、
その時間で食感が変わる、
との報告もあります。
塩をまぜて15分ほど置くと、
とろ~りふんわり食感の
スクランブルエッグになる、という研究ですね。

塩粒の偶数奇数は「まったく」関係ないですが、
「たまご料理のできあがりが
なんで毎回違うんだろう・・・?」
なんてお悩みの方は、いちど
量と入れる時間をしっかりそろえて
塩をつかってみてくださいませ。

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。
(参照:希釈卵液に各種食用塩を添加したゲルの調理特性・日本調理科学会)
(参照:鶏卵の調理・調理と科学(4))


