小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記 SOMMELIER DIALY

ソムリエ日記 記事一覧

こんにちは!

たまごのソムリエ・こばやしです。

先日あるチョコ風味の

プロテインバーをもらったのですが、

これ、ちょっと変わってまして

「コオロギ」が入っているんです。

食用コオロギ配合。

先週末から都内のファミマ全店で発売しているもので、

手がけている徳島大学発ベンチャー・グラリス

代表渡邉さんからいただきました。

 

たいへん興味深いです。

コンビニにまで並ぶなんて

いよいよ日常として昆虫食が

普及し始めてきましたね~。

 

これって、虫と動物の差はあっても

よく考えると「畜産」の話題なんですね。

 

地球環境を考えたコオロギフードは

方向性としては

たまごの業界で話題となっている

「植物性たまご」と同じなんです。


◆カロリーをどれくらい活かせるか

植物性100%でつくられた卵

こんな変わったものが

すでに数社の商品が全米2万店の

スーパーで販売されています。

 

たとえばそのうちの一社、

ハンプトンクリーク社には

ビルゲイツさんも出資しているんですね。

彼曰く、

「将来の世界人口が100億人を

突破するのは確実で、

そのときに備えるために

植物ベースの食品は必要だ。」

ということを述べています。

 

たとえば、トウモロコシや小麦などの食物をウシに食べさせる。

一年育てて出荷すると、

出荷時のお肉から得られるカロリーは、

ウシがそれまでに食べた穀物から得られる栄養よりも

ずっと少なくなるわけです。

 

「それじゃあ、人口が増えたら

食べ物が足りなくなるなぁ。」

「じゃあ、その穀物を直接加工して

食べたらいいんじゃないの。」

 

・・・という発想から、

植物性100%のお肉や卵が生まれているんですね。

 

昆虫食も同じで、

ウシなど畜産動物だと、骨や皮、血液など

食べられない部分も多いわけですが、

パウダー化するコオロギだと、

余すところなく栄養源にできるわけですね。

 

食べさせたカロリーがさほど減らないのです。

 

ちなみに穀物(植物)を直接食べるのと比べ

どれくらい減るかというと

 

牛だとだいたい10分の一

つまり、100㎏の飼料で10㎏の肉になる計算です。

 

コオロギだと約半分、

つまり50㎏のたんぱく質に。

 

たまごはどうでしょう?

だいたい一日100gの飼料をニワトリが食べ、

50~70g前後のたまごを一個産みます。

 

数字だけ見ると

コオロギよりちょっと良いですが、

 

カラが10%少々あるのと、

ヒヨコからたまごを生むまで

4か月ほどありますので、

実際はコオロギとやや少ないくらいでしょうか。

 

既存の畜産の中では、

意外と悪くはないんですけどね…

 

ただ、温度管理の必要性や水など、

飼育環境の難易度で分が悪いでしょうか。

 

◆地球環境への選択肢が外食メニューに

将来、環境を考えたときに、

たまごが昭和初期までの「ぜいたく品」に

戻ってくることも考えられます。

 

普段はコオロギや植物卵を

晴れの日にたまご料理を

みたいな風に。

 

飲料の売り場に

牛乳と豆乳が並んでいるように

お客様の選択肢が増え

 

飲食店さんのメニューでも

選択肢が増えてくるわけです。

 

飲食店さんもこれからは、

それぞれのお肉を使う「理由」が

必要になってくるかもしれません。

 

よりなめらかさを追求して鶏卵を使ってます。

よりヴィーガン思考に立って植物卵です

より地球環境を考えてコオロギです。

みたいな、

根拠を示した食材の使い方が

これから求められるのかもしれません。

 

ぼくたちのたまご屋としての

存在意義もですね。

 

ここまでお読みくださって、

ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , ちょっとつぶやき 2022年06月8日

こんにちは!

たまごのソムリエ・こばやしです。

 

小さいころ

亡き祖母のいた母方の実家に

泊まりにいくと朝ごはんに必ず、

トロトロのオムレツを作ってくれるのが、

めちゃくちゃ楽しみでした。

 

甘くてやわらかなオムレツ。

初めて食べて、幼心に感動したのですね。

「やわらかめ」「ちょっとやわらかめ」「ふわふわしっかり」

みたいな微妙な好みを、

兄弟ごとに作り分けてくれたんです。

 

思い返してみてちょっと珍しいな、

と感じるのは、

「たまご一個のオムレツ」

だったこと。

 

オムレツって、

たまご2個~3個でつくる事が

多いんですよね。海外も国内のレシピ本も、

たいていそうなっています。

 

ですが、

オムレツのおいしさって

実は「できたて」にあるんです。

焼きあがってすぐが、いっちばん美味しい。

ですから、

卵一個のオムレツを、

次々と焼いてもらって

常にできたてをたべる。

このわんこオムレツが、

本当の贅沢料理なのかもなぁ、

といまになって思いますね。

 

◆ちょっと冷めてもおいしいオムレツ

さて、ご飲食店様では、

テイクアウトメニューや

パーティ形式など場合によっては、

オムライスやオムレツを

すぐに食べていただけないことも

あります。

 

ちょっと冷めてしまう、

でも美味しく食べてほしい。

 

それには、コツがあります。

それは、

「植物性油」の使い方。

 

オムレツやオムライスは

フツーだと、たっぷりバターで

コクもあって香りも良くおいしい!

・・・のですが、

冷めてしまうとバターの

流動性が無くなり、食感が

イマイチになってしまいます。

 

ですので、バターの代わりに

オリーブオイルで風味を出し、

そして卵液にしっかりと

「マヨネーズ」を使うんです。

 

キューピーさんの研究では、

乳化した植物性油脂とお酢でできている

マヨネーズが、たまごの

たんぱく質構造をやわらかくし、

ふるふるの食感のオムレツにしてくれます。

 

しかも、この場合

冷めても食感は素敵なままの美味しさです。

 

◆じつは人肌の玉子料理が旨味最高

じつは人肌程度のあたたかさの

たまご料理って、いちばん「うまみ」を

強く感じるんです。

 

たまごかけごはんもそうですし、

親子丼だって熱々よりも

人肌のやわらかいぬくもりになった頃が

最もおいしく感じられます。

ただ…オムレツやオムライスの場合は

ちょっと冷めちゃうと、

「旨味」は良くても「食感」の問題が出てしまう。

 

ところが上記のように植物性油脂の力、

マヨネーズの作用で、

 

最もうまみを感じる人肌の温度帯を

オムレツでも楽しんでいただけるんですね。

 

ぜひ、お試しくださいませ~。

 

ここまでお読みくださって、

ありがとうございます。

こんにちは!

たまごのソムリエ・こばやしです。

 

唐辛子

ってありますよね?

あれ、英語でなんて言うか
ご存じですか?

 

「ホットペッパー

直訳すると
「からいコショウ」です。

でも、
唐辛子ってコショウと
ぜんぜん違う植物で、

なのに「コショウ」って
名前になっている・・・

なんでなんでしょうね。

 

これ実は、
命名したのは、
あのコロンブスさんなんです。

黄金と同じくらい
価値のあったコショウを
手に入れるため

 

「大西洋をわたってインドに行く!」

…そのとちゅうで
アメリカ大陸を
見つけちゃいましたから、

 

「ここがインドにちがいない!」

と、
現地の香辛料「トウガラシ」
を持ち帰ったのです。

 

スポンサーの手前、

「これちょっと変わった
コショウなんですよ。」

と言い張って。

でも「なんじゃこりゃ。」
ってんで当時のヨーロッパでは
まったく受け入れられず、

 

むしろ暑さの本場インドや
東南アジア、中国に持ち込まれて
そっちで広がったのですね。

 

そして現在

唐辛子の生産
世界一はインドに。

世界需要の4割を作っています。

 

面白いですね~。

インド産だと思って持ち帰り、
結果としてインド名産になるとは。


さて、
このトウガラシ。

実は!

ニワトリが食べても
まっったく平気で、
辛くない
んですね。

 

一般的に
「赤い実」って、
「食べると甘い」
のが自然界のお約束。

 

赤色を見つけて
動物に食べてもらい
遠くまで種を運んでもらう。

そのためですね。

 

なのに、

トウガラシは
赤いのに甘くない…?

それは

鳥さん「だけ」に
食べてもらいたいから。

 

トリ以外の生物が食べると
カプサイシンの刺激で
口がめっちゃ痛い…!
体が熱くなってヘン…!

・・・となって
食べるのを
やめちゃうんです。

 

でも、

ニワトリ含む鳥類だけは
トウガラシを食べても
辛味の元カプサイシンが
刺激しないので

鳥にとっては
「甘~い!」って
感じるんです。

採卵養鶏では
ニワトリの飼料に
トウガラシを入れる
ことがありまして、

これはおおむね
卵黄の色味を良くするため。

 

たまごの黄身の色って
食べたものに影響される
んですね。

たとえば
黄色い食材、
トウモロコシを食べると
黄色っぽさが増しますし

 

赤い食材、
ニンジンやパプリカ
トウガラシを食べると
赤っぽさが増すんです。

 

「だから黄身の色なんてまやかしだ。」

・・・なんて
言う人もいますが、

 

人間の本能は

温かみのある色を
「おいしそう」と感じる

ようにできてます。

 

ラーメン屋の
赤ちょうちんが
赤色をしているのも
そのため。

 

なので僕は
飼料によって
卵の黄身色が変わるのは、
悪いことではない、

そういった色味も含めて
「おいしさ」だと思ってます。

 

より美味しい
たまごづくりには
ステキな色味、

つまりトウガラシも
必要なんですね~。

 

ちなみに

「人間のように
トウガラシを食べると

ニワトリにも
脂肪燃焼効果が
あるのか?」

を調べた研究もありますが、

 

ニワトリさんには
そんな効果は
さっぱりなかった
とのことでした。

 

刺激→発汗!
みたいな作用がないから
当然といえば
そうかもしれません。

 

あとひと月で
夏本番がやってきます!

ぼくたち人間は、
辛味を活用して
元気出していきましょうね!

 

ここまでお読みくださって、
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , おいしさ雑学 2022年06月6日

こんにちは!

たまごのソムリエ・こばやしです。

というわけで、

本日のテーマはオムレツです。

 

歴史的にみるとオムレツって

残っている卵料理のレシピ上

もっとも古いんです。

 

「たまごを調味料と混ぜて焼く」

これが「料理」として一番

歴史があるんですね。

そして、その最古のレシピな

オムレツは、あまーいオムレツでした。

 

そもそもの『オムレツ』の語源が

オウェメーレ(はちみつ入りたまご)

から来ている、という説もあるんですね。

 

甘いオムレツ、

つまりスイーツ要素のあるオムレツは、

実は、時々流行しています。

 

たとえば1930年代には米国で

『オレンジオムレツ』が流行しました。

これは砂糖入りオムレツに

レモンやオレンジ果汁を活用した

甘くさわやかな酸味を

楽しめるオムレツ。

エッ!?オムレツにオレンジ!?

なんてびっくりするかもしれませんが、

これすんごく美味しいんですよ。

 

白身と黄身を分けて

白身を泡立ててから焼くのが特徴の

スフレオムレツです。

 

このころはちょうど果物の

オレンジが普及し始めたころで、

ローマから続く伝統のおいしさと

最新の流行を取り入れたレシピだったのです。

 

カンタンにできるスイーツとして

大いに好まれました。

 

これらの甘いオムレツは、

スイーツとしてみると、

「小麦粉など炭水化物を使わないスイーツ」

という特徴があります。

つまり、今風に考えると

低糖質スイーツです。

 

シャトレーゼさんが

低糖質お菓子のラインナップを

多数出して話題になったり、

コロナ禍の健康管理で

低糖質の食事・お菓子はニーズが伸びています。

 

フルーツと焼きたてのおいしさ、

というとパンケーキがありますが、

これをさらに「低糖質で美味しく」

という点で進化させると

 

この最古のたまごレシピから続く

「オムレツスイーツ」に回帰するということ

面白いですね~。

 

パンケーキブームの次には

ふわふわで甘い

低糖質スイーツオムレツが

 

ブームになってくるかもしれません。

ぜひ、あなたのお店で

取り入れてみませんか?

 

ここまでお読みくださって

ありがとうございます。

こんにちは!

たまごのソムリエ・こばやしです。

 

複数のたまごを特性に合わせて組み合わせることで

新しいおいしさが生み出せる。

そんなお話です。

 

たまご一個には黄身と白身が入っています。

鶏種が同じ

サイズが同じなら

たいていは黄身と白身の比率は

決まっています。

 

ですが、

複数のたまごを使う料理だと

別々の調理をするとか

あえて白身だけ、黄身だけを追加するとか

ちょっと比率を変えてやることで

とたんに面白い食感や極上の風味の

玉子料理になるんですね。

 

◆黄身プラスで極上の味に!?

たとえば

たまごかけごはん。

通常のたまごかけごはんを作って

そこに…

黄身をもうひとつ追加する。

すると、めっっちゃ美味しい

極上の卵かけご飯になります。

これはどういうことかというと、

生卵のうまみの元・アミノ酸などは

たまごの「黄身」に多くあります。

対して白身は滑らか食感の寄与ですね。

 

ですので、やや黄身の多いたまごが

たまごかけごはんには好まれ、

ぼくたちの卵かけご飯専用たまごも、

そういう条件のものだけを選別します。

 

ですが、その「うまみの元」である黄身を

別のたまごからプラスしてやれば、

超濃厚なたまごかけごはんになるんです。

 

有名どころでは、

親子丼で最後に生の黄身を足してやることで

たまごの濃厚な風味と食感を感じてもらう

そんな工夫があります。

 

「黄身だけプラス」は

ほかにも目玉焼きでも

プリンなどお菓子でも

有効な手段なんですね~。


◆白身プラスで極上食感に!?

逆に、白身を余分に足してやることで

大きなおいしさになる場合もあります。

たとえば玉子サンドイッチ。

黄身が多いと、

すこしザラつきを感じるんですね。

 

逆に白身がたっぷりだと

白身のふるふるとした食感が、

サンドイッチのパンの食感と相まって

とてもおいしくなります。

 

ですので、ゆで卵をつぶす際に

一部を「白身だけ」多くしてやる

そんな工夫をするんです。

実際、有名店さんでは

比率を計算して、

毎日この工夫をされています。

 

オムレツやオムライスでも同様です。

白身を足してやると

とろふわ食感をコントロールし、

驚きのおいしさを感じてもらえます。

 

ご繁盛店さんにぴったりの

更にマニアックな「プラスたまご」の

活用法もありまして、

ご一緒に繫盛メニューとして

取り組ませていただいております。

 

たまごでご繁盛

ご興味ありましたらご一報くださいませ。

 

ここまでお読みくださって、

ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご全般コラム 2022年06月4日

こんにちは!

たまごのソムリエ・こばやしです。

 

仕事柄、いろんなマヨネーズを購入して

味を勉強します。

 

むかし貧乏旅行をしていたころ

フランス人の方に

「フランスじゃみんな

家庭でマヨネーズ作ってるよ。」

と聞いてびっくりしたことがあります。

彼曰く『商品として売っている』ことに

むしろびっくりだとか。

 

日本だと何でしょうね?

そのまま味噌汁をボトルで売っている

みたいなイメージでしょうか!?

 

20年以上前の話なのですが、

今はどうなんでしょうね。

さて、

飲食店さんで、

差別化すると面白いのが、

この「マヨネーズ」。

 

なぜなら、

市販のマヨネーズは、

ご当地マヨネーズもいろいろありますが、

どうしても画一化しがちです。

「常温保存・販売」が前提だから。

 

ちなみに

「常温でマヨネーズが

全然腐らないのは

保存料が入っているからだ。」

なんて言っている人を見たことがありますが、

これは完全なマチガイなんです。

お酢による酸度

たまごの黄身による

油脂分と水分の乳化バランスなど

奇跡的なバランスで

菌の繁殖が抑えられているため

痛まないんですね。

 

ですので、

市販のマヨネーズは

なんとなく味が似てきてしまう…

というデメリットがあります。

 

つまり、お店で差別化を考えるなら

・酸味をまろやかに

・その分温度管理をしっかり

とすべきです。

 

これにより、

お店の自家製マヨネーズが

販売されているものと

ガラッとちがう

感動がお伝えできるかもしれません。

 

常温保存では長く持たないような

あまり酸味の強くないマヨネーズ

でもそのぶん風味やコクを楽しめる、

そんなレシピを作ることができます。

 

ただし、注意点として、

自家製でつくったら

きちんと冷蔵し

その日と翌日で使い切り!

みたいなカンジじゃないと

食中毒のリスクになります。

 

卵の黄身は、

栄養たっぷりで菌の大好物です。

 

それをお酢が抑えているんですね。

酸味まろやかな差別化マヨネーズならば

サーブするたびに冷蔵庫から出し入れ

が基本になってきます。

 

ずいぶん前ですが、

ぼくたちのお客様のお店で

ランチに自家製マヨの

タルタルソースを作って

お客様がおなかを壊されたことがあります。

 

当社にも保健所さんから

お問い合わせが来ましたが、

たまごそのものに問題はなく

調査の結果はお店の温度管理

とのことでした。

昼食時の注文に応えるために

つい出しっぱなしにしていたのだそう。

 

ですので、

「使い切り」と「温度管理」

この2点にご注意いただいたうえで、

 

お店のメニューの差別化として、

市販のものよりずっとまろやかで

香りも鮮烈な

マヨネーズをご活用してみてはいかがでしょうか。

 

ここまでお読みくださって、

ありがとうございます。

(関連:繁盛する自家製マヨネーズの魅力 | たまごのソムリエ繁盛コラム

カテゴリー | ソムリエ日記 , 飲食店さまへ 2022年06月3日