小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記 SOMMELIER DIALY

ソムリエ日記 記事一覧

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こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

先週我々の将来に大きくかかわる、ビックリ仰天のビッグニュースリリースが米国でありました。

それは、固くなった卵の白身を元にもどす方法が解明されたという画期的な研究発表。

え!? 確かにスゴイけど、それってそんなに重要なこと・・・・・・!?

・・・、と思われるかもしれませんが、実はこの技術、癌治療・食品生産技術等の分野併せて1600億ドル(約19兆円)規模のバイオテクノロジー産業において、“劇的な”コストダウンをもたらす成果なんだとか。

◆卵が固まる、ってどういうこと?
ごぞんじの通り、
卵の白身は生の状態では“液状で透明”です。白身はタップリのたんぱく質でできているのですが、熱が加わるとたんぱく質分子がいったん開き、その後、より複雑で強い結びつきをもった“立体構造”になって固まります。 これが、液体の白身→ゴムのような弾力性のある固まった白身となるメカニズムなんですね(熱変性と言います)。イメージで言うと、バラバラだったレゴブロックが、上下左右にガッチリくっついて大きな固まりになっちゃうカンジです。

カリフォルニア大学アーバイン校、オーストラリアのフリンダース大学の研究者

◆画期的な新技術!
カリフォルニア大学(米国)、フリンダース大学(
オーストラリア)研究チームは、その結びついたタンパク質の結合をふたたび解いて、元の構造にもどるように引き離す技術を発見したんですね。これが、これまでの常識をくつがえす画期的なコトなんです。

この技術は2つのステップに分かれ、(1)固まった卵の白身を液化する物質、(2)渦流体装置と呼ばれるバラバラにほぐす機械、この2つで“固まった白身”を短時間で元通りに解きほぐします。

以前にも『固まったタンパク質』を解きほぐす手法は、あるにはあったんですが、非常に特殊で何日もの時間がかかっていました。それがこの新技術によってわずか数分で完了するわけです。 大幅な研究時間の節約がみこまれるんですね。

◆たんぱく質研究の影響はすごい
たまごの白身だけじゃなく、例えば我々の体だって、半分はタンパク質でできています。臓器、皮膚、髪の毛、ホルモンや神経伝達物質・・・、ぜーんぶタンパク質です。

なので、この新技術は、医療・食品・バイオ全般のひろい分野において研究スピードを大幅に短縮できる、とってもすごい事なんですね。

「節約できる時間は膨大なものになるでしょう。『時は金なり』、大きなコストダウンにつながります。」

これはカリフォルニア大学アーバイン校(UCI)・グレゴリー·ウェイス教授のコメントです。

この技術そのものがたくさんの研究分野の開発スピードを大幅に高めてくれるかもしれません。 何十年も先に実現可能なはずのSF映画のような世界が、数年後には現実生活に現れるかも・・・・・・!

生卵のお話が未来のワクワクにつながっているステキニュースのご紹介でした。ここまでお読みくださって、ありがとうございます^^

(参照:Proteins and research: Scientists figure out to unboil an egg http://www.cnbc.com/id/102364302#.)

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの海外ニュース 2015年01月27日

こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

上の絵はフェルメールの代表作「ミルクをそそぐ女」。このすばらしい絵画、実は「たまご」とちょっとした関係があります。それはミルクが注がれている「壺」。この中に「卵が入っている」と言われているんですね。

なぜ分かるのでしょうか!?

テーブル上のカゴにはパンがありますが、それと別に牛乳をそそぐ壺の前に「ちぎったパン」が置いてあります。

これは、フェルメールさんの出身地オランダで広く食べられている家庭料理、「パンプディング」の調理シーンを描いたものとされているんですね。

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このように、ミルクと卵&砂糖他にシナモンやレーズン・ナッツなどを、ちぎったパンに浸して焼き上げます。

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できあがりはこんなカンジ。美味しそうですねー!

 

◆硬くなったパンでも美味しくなる!『パンプディング』の魅力
冒頭のフェルメール絵を良く見ると、テーブル右端の「ちぎったパン」は粗く描かれ、カゴに入ったパンは細い線で柔らかな表現で描かれています、これは「硬くなった古いパンを料理している」表現なんだとか。

このパンンプディングという料理、フレンチトーストなどと同じく牛乳とたまごに浸して調理するため、普通にはとても食べられないような硬くなった古いパンでも美味しく料理できる、優れたお菓子なんですね。

手軽さもあってか、現代にいたるまでオランダっ子のソウルフードとなっておりまして、家庭ごとに味がちがうんですね。お雑煮や肉じゃがみたいな「自慢の我が家の味」ってわけです。

自分でも作ってみますが、とっても簡単で美味しいですよ!パンが余った時には、おススメです^^

基本のレシピもこんどご紹介しますねー。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

参照:美の巨人たち

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの歴史・文学・文化学 2015年01月23日

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こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

今週末1/18(日) 22時30分より 読売テレビ系列 『大阪ほんわかテレビ』さんに出演します!

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こちらの写真は当社で御取材いただいた際の合間の一場面。たまごかけご飯専用たまご他、色々なたまごをお試しいただいて、ホントにうれしい限りです。

ワクワク面白い内容となっております、ぜひ関西圏・四国地域の皆様ごらんくださいましたら幸いです^^

カテゴリー | ソムリエ日記 , 取材・掲載・ご紹介 2015年01月17日

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こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

ツイッターを中心に「たまごの黄身の大きさはたまごの大きさに関わらず同じ」ってのはホントなのか!?という議論が巻き起こっています。

発端は、あるスーパーさんに貼られていたPOP。「たまごは大きくても小さくても黄身の大きさは変わりません。」「黄身を多く使う料理は小さいサイズがお得です。」ということが書いてありまして、これに驚いた方が写真をツイートされたという事なんですね。

糸井重里さんなどの有名人や、一般の方が卵を使って調べた結果をアップされています。

おおむねの結果として、「卵が大きいと黄身も大きくなる。すなわち黄身の大きさが同じ、というのはマチガイのようだ。」という結論になっているようです。

さて、この問題についてですが、たまごに関わる者としての見解を申しますと、これは『事実でもあり間違ってもいる』というのがお答えです。

カンタンに言うと、『たまごが大きくなると黄身も白身も大きくなるが、黄身の方が増加割合が少ない』ということです。

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この事は特にMサイズ以上の卵について顕著で、ざっくり図にすると上記のようなカンジです。

実際に卵の価格にはその「重さ」が重要にかかわっていまして、1パック単位でみるとMサイズよりもLサイズ、それよりも2Lサイズの方が価格が高くなります。 なので、高い卵(大きいサイズ)を買った場合には、単価あたりの採れる黄身の量は少なくなっちゃうという事なんですね。 『黄身だけ使いたいなら小さいサイズの方がお得、白身を使いたいなら大きいサイズがお得』、というスーパーさんのPOPは正しいわけです。

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たまごが大きいと黄身も大きくなるが、黄身の割合は減る

という事だとご理解くださればよいかと思います。

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◆境目があるから更にややこしい
そしてややこしいことに、MSサイズ以下の小さい卵ではこの傾向が逆になります。卵が小さいほど黄身の割合がもっと少なくなるんですね。 

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なので、「黄身が採りたいならとにかく小さな卵を選べ」、というわけでも無いんです。小さすぎるとコレまた白身が多くなっちゃいます。しかも、小さいと「殻」の比率だって増えますから、単価あたりの黄身とれ量はもっと減っちゃいます。

◆見た目と実感の差がある
あと、色んな方のツイートを目にして思ったのですが、“見た目”に関しては卵独特の事情もあります。 小さい卵は張りがある事が多く、黄身が“球形”の「立体的な形」をとりやすいのです。反面、大きいたまごは重力の関係から下面に引っ張られるため 球がつぶれてドーム型になりやすいんです。なので、小さい卵の黄身は真上から見るとより小さ目に、大きい卵の黄身はより大きく見えてしまう、という実情もあります。

◆結論
まとめますと、

・「卵の大きさ」と「黄身の大きさ」は比例する

・でも黄身よりも、白身の方が大きさの比例係数が高い(白身の方がより増える)

・卵は重さ(大きさ)でも値段が変わるので、黄身が欲しい場合は比較的小さいサイズ(Mまで)が、白身が欲しいならより大きいサイズを買った方が“単価的にお得”である

・黄身だけを採りたいなら「Mサイズ」が最もお得。MSサイズ以下は逆に不利になる場合もある

・外観上は、より差を感じやすい

という事です。

◆最後に
ツイッターをきっかけとして、沢山の方が卵の構造に興味を持って下さっていること、また著名な方含め多くの方が実際に試してくださったこと、たまごに関わる人間として本当にうれしく思います。 私達はずっと前より「たまごは料理によって使い分けをすべきである。」という事をお伝えしてきました。 願わくば、卵の事実に興味を持って下さった皆様が、もっと美味しい玉子料理を食べて頂くためにこの「卵の使い分け」「育て分け」に興味を持って下さいますことを願っております。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

(関連:改訂増補たまごの知識 幸書房)

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごのビックリ科学 2015年01月14日

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こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

ごぞんじの通り今年は未(ひつじ)年ですが、「ひつじ」の語源ってご存知ですか!?

実はむかしむかし、ヒツジはウシの仲間だと思われていました。また従順で飼いやすかった事から、「飼われた(養われた)ウシ」→「養牛(ヒタシウシ)」と呼ばれていたのだそうです。 そこから訛って「ヒツジ」となったのだとか。

ちなみにヤギも牛の一種と考えられていました。こちらは山に住むため「野牛(ヤギュウ)」と呼ばれ、そこから訛って「ヤギ」・・・になったんです。えー!

ヒツジもヤギもウシ・・・。

ぜんっぜん見た目が違うんですが、いっしょくたに全て「牛」で括ってしまうとは、昔の人は何とおおらかだったのでしょうか^^;

ちなみに「ニワトリ」さんの語源はそのまんまでして、「庭にいる鳥」だからニワトリ・・・・・・。古事記や万葉集にもこの呼び名で載っています。

「家にいるから『イエツトリ』と呼ぼうぜ。」

ということもあったようですが、ニワトリの方が呼びやすかったのか徐々にすたれてしまったようです。

そして「鶏(ケイ)」という発音はニワトリさんの鳴き声が『ケイケイ』と鳴くことから付いたもの。

実際には『クゥーーー、コッコッというカンジです。似てるっちゃ似てますねェ。

「牛(ギュウ)」という発音も牛の鳴き声から付いたものですので、そういう意味では牛と鶏サンは似ているとも言えますね^^

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , おいしさ雑学 2015年01月8日

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明けましておめでとうございます!たまごのソムリエ・こばやしです。

今年はひつじ年ですが、漢字では「」と書きます。

これ、ナゼなんでしょうか!?

実はこの字、「ひつじ」とは何の関係も無いんですね。昔むかしの中国で、学の無い庶民に“十二支”を理解させるためにイメージしやすい動物を当て「未=ひつじ」としたのが始まりなんとか。

じゃあ元々の「未」の文字にはいったいどんな意味があるのかというと、

最古の漢字字典『説文解字(せつもんかいじ)』(後漢・西暦100年発行)によると、“未”は『味』を意味し、『果物が少し熟してがし始めた頃』を指すのだそうです。

おお・・!そういえば「味」の右側って「未」ですね!

ということは、今年は「味の年」・・・!

私達もより一層がんばって、美味しいたまごをお届けしたいと思います。

本年もよろしくお願いします。m( _ _ )m

(関連:馬と卵の話 【本年もよろしくお願いします!】 – たまごのソムリエ面白コラム

(関連:巳年と目玉焼きとサイコロの不思議な関係 – たまごのソムリエ面白コラム

カテゴリー | ソムリエ日記 , ちょっとつぶやき 2015年01月3日