こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。
僕が小さいころ
TVコマーシャルで
「もったいないおばけ」
という広告が流れていました。
AC(公共広告機構)の
CMアニメーションで、
『食べ物を粗末に扱った子供に、
夜になるとその食材が
おばけになってこらしめにくる』
そんなストーリー。
インパクトある内容で
子供だった僕にはこれ、
かなり効果あったんですよ。
食べ物はゼッタイに!
残しちゃいかんなぁ…
・・と充分に刷り込まれました。
この数十秒のCMだけじゃなく
おじいちゃんおばあちゃんからの
家庭の教え・昭和の気風もあいまって
「食べ物を粗末にしない。」
という考えを強固にしてくれたと
思ってます。
おかげで卵屋となった今も
食への敬意をもって
仕事に励めています。
ところが!
ですね。
この『価値観』が
マイナスに働くことがあるんです。
◆品質管理と「もったいない」は相反する!?
お客様に一定以上の価値を
お届けするにあたり、
「もったいない」で考えては
いけない場合が多くあります。
わずかであっても
規格から外れるものに対して
「つかっちゃおう。
もったいないから。」
これは、
ゼッタイ考えてはいけない事です。
『良いものを厳選する』って
「良くないもの」を同時に
つくり出すわけで、
つまり、
大胆にあきらめる
必要があるわけです。
ですが、そんなとき
「いや、オバケが来るよ・・!?」
と、脳内で己の価値観が
文句を言ってくるんです。
理性では「そうすべき」
と分かっているのに、
心の中で『子供だった自分』が
ツッコミを入れるんですね。
「もったいないことをしてるなぁ。」
と良心がちいさくキズつく。
僕が食品メーカー勤務だった若いころ
生産不具合のロット数万食を
廃棄する手伝いをしたことがあります。
当然で正しい事ですが、
「ああ~・・
なんでこんなバチあたりなことを
しているのか。」
という申し訳ない気持ちが
すごく強かったです。
この気持ちってある意味『呪い』なんですよ。
以前、カレーチェーン店向けの
日切れしたカツを販売した会社が
ありましたが、これは
呪いとなった「もったいない」に
負けちゃったんですね。
◆いろいろある「正しい」呪い
こういう価値観の呪いって
他にもいろいろありまして、
たとえば「新鮮さ」もそうですね。
卵は新鮮じゃなきゃ
いけない
と、一分でも早くお届けを、
と考える卵屋の立場では
すご~く毎日考えますが
じゃあ、
新鮮じゃなくなった卵は
価値が無いのか…!?
これも
「もったいないおばけ」
の案件ですね。
◆別アプローチで解決すべし
ありがたいことに、
この呪いが気にならなくなる手段が
いくつかありまして
ひとつには
『子ども食堂』さんなど
地域との連携。
少し余ってしまった商品や
規格外のものも、
うまく使ってくださいます。
これが、
ぼくとスタッフにとって
救いになっています。
また、
「ふぞろい」であることを
ウリにする商品を
いくつか出しています。
人気なのですが、
厳しい選別によって
今までにない価値を産みだせる
これら商品は
もったいないの呪いが気にならなくなる
という、
「単に売れる」以上の意味が
ぼくたちにはあるんです。
ここまでお読みくださって
ありがとうございます。