小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記 SOMMELIER DIALY

たまごの歴史・文学・文化学 記事一覧

こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。 ホワイトハウス庭園で唯一許可されているイベントがあります。それがなんと!たまご関連なんですね。

卵転がし(エッグローリング)」と言いまして、手にスプーンを持って芝生の上を卵を転がすというお祭りです。毎年イースター(復活祭)の翌日に沢山の子供を招いて催されます。今年は今日ですね。もちろん大統領夫妻参加です。

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驚くなかれ、このホワイトハウスでのイベント、今年で200年の伝統があるんですね! 始まったのは1814年。ジェームスマディスン大統領の時。その後時々には子供がホワイトハウスの庭で遊ぶことへの是非から禁止法案ができたり、また要望から復活したり、紆余曲折を経て今に至ります。なので今年は「第136回」となります。それでも十分すごいですが。

今年のテーマは「ヘルシーに跳んで元気にスイング“Hop into Healthy, Swing into Shape,”」だそうです。

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さて、この行事に合わせて「ホワイトハウス限定イースターエッグ」が販売されています。これは大統領と夫人のサインがスタンプされたもので、キレイな五色の色が1セットになっています。(単品でも買えるようですが) セットで39ドル99セント。(4,100円くらい)

この記念たまごが販売され始めたのは、1981年。ロナルド・レーガン大統領と夫人が最初で、大統領夫妻のみならず有名俳優や女優、スポーツ選手などのサインが入った卵を用意してたのが伝統として続いているのだとか。面白いですねー。

◆もともとは数千年以上の伝統から
イースター(復活祭)でなぜ「卵転がし」なのかというと、これはキリストが復活した際に岩を転がしてどかせたことから由来していると言われており、イギリス・ドイツなど欧州では坂の上から卵を転がすという風習が古くから行われていました。

そもそもは、卵は復活と生命の象徴でもあり、キリスト教以前の原子信仰に由来するとも言われており、実はとんでもなく古い伝統から始まっているんですね。それが“新大陸”へ渡り新たな伝統になっているとは面白いです。

ホワイトハウスを中心に、市民に政治を知ってもらう、政治を身近に感じてもらう催しとしての200年続くこの伝統に、生活に欠かせない身近な食材としての卵が用いられていること、うれしく思います(^^)

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの歴史・文学・文化学 2014年04月21日

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こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。徳島県でも桜が咲き乱れ、心なしかウキウキしています。さて、

ペルシャ
中国
エジプト
ギリシャ
アメリカ 

これらの国の共通点ってなんだか分かりますか?

それは、古くから「たまごで春をお祝いする」風習があった国なんです。「春の儀式」としてそれぞれ食べられていました。

鶏さんの原種「セキショクヤケイ」とそれに近い種は、そもそも春ごろの時期しか卵を産みませんでした。ツバメなどの他の鳥さんとおんなじです。

といっても「春の貴重なごちそう」だからお祝いに使われているだけじゃなくて、卵は宗教的にも「復活」や「神性」の象徴として世界各地で考えられていてさまざまな祭事と絡んでいるんですね。(日本の民話でも、沖縄や秋田など、卵と神様が絡んだ伝承が各地で見られています。)

何度かご紹介させてもらっている欧米の復活祭に用いられる「イースターエッグ」、そしてアメリカで伝統の卵転がし(egg rolling。これはホワイトハウスの庭で唯一許可されている唯一の行事なんです!またペルシャでは古代から、春に卵を贈りあう習慣がありました。

春に卵でお祝いをする」という風習の記録で、最も古くから残っているのはユダヤ人のお祝い。もしかするとペルシャやギリシャにも、ユダヤ人を通じて文化が入っていったのかもしれませんね。

ちなみにユダヤ人の祭事では、殻ごと焼いた卵をお盆に乗せて神にささげていたのだそうです。

長年の育種によって、今ではほぼ毎日たまごを産んでくれるわけですが、やっぱり鶏さんのコンディションが良いのは、もともと産んでいた「春」なんですねー。

ぜひ、皆さんも、春の行楽シーズン、お弁当や朝ごはん、ちょっとした食事に卵で春をお祝いしてみませんか!?

ここまでお読みくださって、ありがとうございます!

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの歴史・文学・文化学 2014年04月5日

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こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

「たまごの値段高騰!」

・・・・・・というニュースがこの半年で頻繁に報道されています。

その原因については、以前このコラムで書きました。(「たまごの値段ナゼ高い!?」たまごのソムリエ日記

ところで、

たまごの値段って、昔はいくらくらいだったんでしょうか?

一般的に卵が広く食べられ始めたのは江戸時代。

その頃のたまごはというと・・・・・・、

当時の記録を見ると、1個20文というのが標準だったようです。

これは今の価値に換算すると、だいたい400円くらい。

1個400円」っていうと、ナカナカの高価な食材ですねェ。(^^;)

1パックで4千円になっちゃいますよ。

 

◆結構最近まで高級だったたまご

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ちなみにNHK朝ドラ「ごちそうさん」で主人公めい子さんが大阪に嫁いだ大正13年ごろだと、卵ひとつだいたい7銭。 カレーライスが同じ7銭でしたから、まァだいたい一個4、5百円くらいの感覚でしょうか?意外と変わってないんですね。

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さて、これが今から半世紀前の昭和30年代、映画「Allways三丁目の夕日」の頃になりますと、これが卸売市場価格で一個約14円。 今の価値に換算すると一個200円くらい。

半分に下がりましたが、うーん、まだまだ高価ですねェ。

ただし、一個14円というと、ちょうど現代の東京市場卸売価格と値段はおんなじです。つまり“価格”としては、ここからの50年間変化なし。

これが“物価の優等生”たる所以なんですね。

これは畜産に関する知恵と技術の向上と、先人の皆様のたゆまぬ努力のおかげでもあります。感謝です!(^^)

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの歴史・文学・文化学 2014年03月27日

こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

短更新、といいながら本日二回目の更新です。

ひな祭りに牛肉や鶏肉料理食べると金運UPすると識者解説 | マイナビニュースhttp://news.mynavi.jp/news/2014/03/02/105/
『(前半略)加えて牛肉や鶏肉の料理を食べると、金運アップに繋がるという。「古代中国の占術のベースになっている『五行説』で読み解くと、金運を司るパワーと相性がいい十二支が“酉”と“丑”なんです。そのため、鶏肉や牛肉を取り入れた料理をひな祭りに食べるといいかもしれませんね」』

とのことで、ひな祭りに鶏肉など鶏さんや牛肉を取り入れた料理を食べると「金運」アップするのだそうです。

“金運”と鶏さんは確かにつながりが深くて、以前にもご紹介しましたが、風水の世界では「最も寒い時期(大寒ごろ)生まれの卵を食べると、一年の金運がアップする」と言われておりました。これは、寒さで快適元気になった鶏さんが一年で最も飼料をたっぷりたべる時期であることから、滋養に富んだたまごを生み、それを食べると体に活力が増して仕事がうまく行くから……と言われています。

春のひな祭りの時期も、旧暦で言うとまだまだ寒い時期です。 同じような根拠で鶏さんが金運と結びついている可能性は十分あるのではないでしょうか!?

ぜひ、本日の晩御飯は鶏料理&たまごで決まり!ですよ(^^)

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

(関連:ちょっとハッピーな世界の卵伝説 中国編 金運の上がる卵!‐たまごのソムリエ日記

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの歴史・文学・文化学 2014年03月3日

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こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

天津飯ってご存知ですよね。

アツアツごはんの上にふわふわの卵、そしてとろーり餡がかかっているアノ美味しい料理です。

これ、日本で普及した中華料理だってことを知ってますでしょうか?

“天津”の名はついていますが、中国の天津ではカニ玉をご飯の上にのっけて食べるという習慣はありません。

諸説ありますが、東京の中華料理店「来来軒」で始まったという説と、大阪の「大正軒」で始まった説の2つが有力のようです。

そういえば、名古屋のラーメン屋さんで必ずメニューに載っている「台湾ラーメン」も、台湾発祥じゃなくて日本(というか名古屋地区)発祥なんですね。 スパゲッティ「ナポリタン」も、ナポリはおろかイタリア全土で食べられていませんですし、少しでもゆかりがある地の名前をメニューに取り入れるのは、なんでも取り入れる日本の食文化らしいネーミングセンスなのかもしれませんね。

ちなみになぜ「天津」なのかというとこちらも諸説あって、お米やカニなど天津産の食材をたまたま輸入して使っている時期だったからという説と、天津のご飯の上におかずを盛って食べる習慣が元になっているからという説があるようです。

◆ダイナミックさが美味しさの秘訣
天津飯のふんわりした玉子を作るコツは、多めの油で一気に加熱すること。 猛烈に大きな動作でかきまぜつつ加熱したほうが、うまく行きます。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの歴史・文学・文化学 2014年02月24日

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こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

本日は、ひさびさに卵の都市伝説をご紹介。

数年前にネットで話題になった、謎の「たまごドリンクレシピ」があります。

それは、「ふき」と「たまごの白身」を組み合わせたレシピで、なんと一生に一度飲むだけで絶対に脳卒中で倒れなくなるというスンゴイ効果のドリンクなんですね。

実はこれ、

20年以上前、

ヘタすると30年前から面々と受け継がれている、

チェーンメール的都市伝説レシピなんですねー。

なにせ、

誰が書いたのか、

どこで始まったのか

これがサッパリわからない。

効き目も根拠もすごくアヤシイ。

なのに、ご年配の方々中心で全国に広まっている「謎レシピ」なんです。

レシピはたいていチラシのような形で出回っており、

文頭にはこんな文句が付いています。

これは福岡市の小学校校長会で紹介された、参考文書の内容を要約したものです。国分市の養護老人ホーム”〇△園”で実施していて、国分市や隼人方面で大変な評判になっています。
今までに数千人の人が試され、そのことごとくの人々が健在であるという実験済みだそうです。
この飲み物は、一生に一度飲むだけでよいということですので興味をお持ちのかたは、早急にお試しください。また、お知り合いやお友達にもおひろめください。

……との事です。 

〇△の部分は、その時々で変わることもあるようですが、

国分市の部分はおおむね共通していたり、ホントナゾ多き紹介文。

そして、紹介されているレシピは以下のとおり↓

脳卒中で絶対に倒れない飲み物の作り方(一人分)
1、鶏卵・・・・・・・・・・・・一個(白味だけ)
2、ふきの葉の汁・・・・小さじ3杯
(ふきの葉の生を3?4枚切り刻むんで搾り潰し、それをこした汁)
3、清酒・・・・・・・・・・・・小さじ3杯 (焼酎は駄目)
4、梅漬・・・・・・・・・・1個をすりつぶす
(土用干しした梅干は駄目) 塩漬けにしてやわらかくなったもの
*注意:製法は必ず番号順に入れること。できるだけ一品を入れるごとによくかき混ぜること。
国分市の養護老人ホーム慶昌園で体験しているということで、国分市および隼人方面で大変評判。
* 梅の塩漬けの頃、入梅の6月頃には、ふきも梅も手に入ります。
(福岡市の校長会で配布の資料)

—————————
脳卒中で絶対に倒れない飲み物の作り方(一人分)
(1)鶏卵 : 一個(白身だけを使う)
(2)ふきの葉の汁 : 小さじ3杯  (ふきの葉を3枚ほど切り刻んですりつぶして濾した汁)
(3)清酒 : 小さじ3杯 (焼酎は駄目)
(4)梅漬 : 1個を細かくつぶす (土用干ししていないもの)

*注意:製法は必ず番号順に入れること。できるだけ一品を入れるごとによくかき混ぜること。 

—————————

ナルホド、お酒ドリンクなんですねー。

他のチェーンメールと同じく複数のバージョンが存在するのですが、レシピについてはおおむねどれもおんなじ。

ふきの葉は食物繊維を豊富に含みますが、

栄養的には他の野菜とくらべそれほど多くありません。

卵の黄身には確かに、

血管を強くして脳卒中のリスクを下げる栄養素がたくさんあります。

が、『毎日きちんと食べた場合』の効能であって、

「一生に一度食べて効く」ほどの劇的な効果は、

残念ながら無いんですねー。(ーー;)

厚生労働省の統計データによると、

脳卒中の死亡は年間約13万人、人口の約0.1%です。

一年間で区切ると「1000人中999人は脳卒中では死なない」…とも言えます。

そういう意味ではこの謎ドリンク、

飲んでも飲まなくてもほとんどの方は、書いてある通りの効能になるっちゃァなるわけですが・・・・・・(^^;)

 

◆「暦」から来たコラボ伝説か!?
なんでこんなレシピが生まれたのか、を私なりに考察しますと、これは「大寒」のこよみが元になっているんじゃないかと思います。

実は「ふき」と「たまご」は、まさに今の時期『大寒』(1月下旬-2月初旬)を指すキーワードなんですね。

二十四節気のひとつ「大寒」の時期は、七十二候で表現すると「款冬華」と書いて「ふきのはなさく」と読みます。

また同じ時期を中国では「鶏始乳(にわとりはじめてにゅうす)」とも書き表わします。(※注1)

前者は「ふきが目を出す頃」という意味で、

後者は「春が近づき鶏が卵を産み始める頃」という意味です。

それとは別に、ニワトリさんが初めて産む頃の卵・「初産み卵」は『中風(脳卒中の後遺症)を予防する』とのいわれが古来よりあります。

よって、

時期が同じ「卵=ふき」のイメージ + 「初産み卵の効能」

→ 「脳卒中に効く、卵とふきの特別ドリンク」

というところに繋がったんじゃないでしょうか?
(※注1:日本では「款冬華」直後の時期を「鶏始乳」と呼びます)

「いわしの頭も信心から」とも言います。

上のレシピ、少なくともカラダに悪いわけじゃありませんので、ダメ元でお試しいただくのも・・・・まァ面白いかもしれません。(^^;)

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

(関連:【たまごの都市伝説】秋分の日に立つ卵- たまごのソムリエ日記

(関連:【たまごの都市伝説】1卵+2携帯電話=??(携帯への恐怖!) – たまごのソムリエ日記

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの歴史・文学・文化学 2014年01月25日