小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記SOMMELIER DIALY

ちょっとエッチな卵の物語【セレンディッポの三人の王子】

こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

本日はちょっと古いたまご話を。

イタリアの古典物語に「セレンディッポの三人の王子」(1557年)というものがあります。セレンディッポ(スリランカ)の王子達が旅をし、知恵と工夫で様々な事を乗り越えハッピーになる、というお話です。

その中に、卵のエピソードがあります。


インドの女王に会った時の事です。

3王子の末弟に女王が、謎かけを出しました。

『ここに5つの卵がある。コレを割ることなく、私と大臣とあなたの3人で均等にわけるのじゃ。できるか?』


うーん……、ちょっとムズカシイですねェ。

サイズが違う卵なら、個数が違っても重量で均等に分けることもできるかもしれませんが…

あなたなら、どうしますか…!?


この質問を聞いた王子は、

5つのたまごの内、

3つを女王の前に置きました。

そして、1つを取って大臣の前に、

最期の1つを取って、自分の前に置きました。

「女王様には3つ。私と大臣はすでにズボンの中に2つのタマゴを持ってますので、あと1つずつ。これで3人の“卵”は均等になりました。」

未婚だったインドの女王は、顔を赤らめながらもその答えに満足したそうな。


・・・・・・というわけです。

いかがでしょうか。

うん、下ネタですね。

女王に理解があって良かったですが、機嫌が悪ければ投獄されていたかもしれませんね(笑)

 

ステキな偶然に出会う能力「セレンディピティ」

大衆向けだったこともあって下世話なネタがいくつもある物語ですが、この「セレンディッポの3人の王子」のお話からひとつ、人生を幸せにするステキな“言葉”が生まれました。タイトルに由来して「セレンディピティ」といいます。

『出かけた先で偶然大ファンの芸能人に出会う』

『出張先で思いがけずステキなお店を見つける』(孤独のグルメ)

『困っているおばあさんを助けたら偶然大金持ちの取引先だった』(サラリーマン金太郎)

こんな風に、

うわ!たまたまでこんな幸せな事に巡り合うなんて…!

……という偶然って、ありますよね?

「予想してなかった幸運に会う」

そんな“能力”が「セレンディピティ」です。

失敗作を一晩放っておいたらできた「ポリエチレン」の発明や、

航空機用レーダーの使用中におやつのチョコレートがとけちゃった事でできた「電子レンジ」などがコレですね。

「三人の王子」の物語では、道の片側の草しか食べられていなかった事から「片目のラクダが前を歩いていた」と推理し、その事で「意外な幸運」に出会います。

ポイントは、ただのラッキーじゃないということ。

その偶然の幸運を得るだけの才知があるからこそ、意図せず幸運に出会える。

上記の「ポリエチレン」や「電子レンジ」も、ぼーっとしていればその発明に気づかず捨てちゃって終わりだったでしょう。

棚ぼた、という言葉がありますが、棚の下にいて上を見てない事には、ぼたもちを食べられないですよね。

普段から気づき、考え、またチャンスのある場所へ行くことで、予想しない幸運に会える能力を磨く。

女王に「卵のなぞかけ」を出される、なんてことは無いでしょうけど、ムズカシイ相談を頂きそれが幸運なチャンスにつながる事は僕の人生にも大いにありそうです。

三人の王子に習い、英知と気づきを磨いてまいります。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

(関連:グリム童話の「熱いたまご」 たまごのソムリエ面白コラム

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの歴史・文学・文化学2020年05月11日