小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記SOMMELIER DIALY

立春の日に卵が立つ!?

立春に卵が立つ」という言われをご存知ですか?古く中国の言い伝えだそうです。新暦の「立春」は2月4日、私も実際にやってみました。結果は見ての通りです。

ホントに卵が立ちました!

おお!スゴイ!!

さて、この「立春のたまご立て」には面白いエピソードがあるんです。

伝説のたまご立て検証実験
約70年前、1946年の事です。

中国の古い文献に「立春の日には卵が立つ」という記述を見つけたとの報を聞いた国民党宣伝部の魏さん。

米国記者立会いの下で実験をしてみたそうです。

その結果なんと!

見事に卵が立つではありませんか!

おどろいた2人は翌1947年の2月立春にもう一度、今度は多数マスコミを招待した上で公開実験を行います。

その結果も、やはり大成功。

「これは歴史的発見だ!」という事で世界中にニュースとして広まったんです。われらが日本でも、東京気象台を始め各所で「実験ニ成功セリ」の報告と共に新聞一面に取り上げられるなど大騒ぎとなり、また中国でも卵の価格が暴騰して大変なさわぎにになったそうです。

◆伝説驚きのメカニズムとは!?
『これは深いメカニズムが作用してます。立春の気候、そして昼夜時間が等しくなるこことで、絶妙の気温と気圧差バランスによって黄身の濃度が高くなり重心が下がるため、通常立つはずの無い卵が奇跡的に立つのである』

・・・ということが、まことしやかに語られましたが、これは実はウソ。

じつは2分程度の根気さえあれば、一年中いつでも可能な現象だったのです。その理屈はこうです。

◆冷蔵庫から出してやってみよう!
卵の表面は、すべすべしている様で、よく見ると沢山の小さな凸凹が存在します。その凹凸の中で、三点の突起に全過重をうまく乗せることができれば、バランスを崩すことなく卵は倒立します。

上の写真がその証拠です。比較的平らな場所であれば、誰でもできます。

なーんだ。

じゃあ、なんでそれだけ世界的なニュースになったのでしょう?

それは、

誰もそれまで気づかなかったから。

やってみようと思わなかったから・・。

我々の日常にも、沢山の「気づき」があります。しょーもない事でも「そんなわけねーよ。」と思う事でも、まず「やってみる」事が、こり固まった観念を打ち破る一歩なのかもしれませんね。

卵の倒立だって、数千年前から世界中で食べられていて、誰もやってみる人がいなかった訳ですから・・。

(※)このエピソードは中谷宇吉郎さんの著書に詳しく載っています(参照)。また、 志村建世氏のblogには当時の日記の回顧と共に、日本での熱狂具合が語られています。

カテゴリー | ソムリエ日記 , 面白たまご話2009年02月14日