小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記SOMMELIER DIALY

シャンソン歌手石井好子さんのオムレツに学ぶ、繁盛する新メニューのコツ

シャンソン歌手でエッセイスト
故・石井好子さんの著書に
おもしろいオムレツのお話しがありました。


石井さんが
夫の父を田舎の家に招いた際に

「たまご料理は何にしましょう?」
と聞いたところ

「かつお節のオムレツを
作ってほしい」

と頼まれます。

 

びっくりしつつ
かつお節を玉子にまぜて
塩・こしょうじゃなくて
薄口しょう油で味をつけて

焼いたところ、

「おいしい。」

とほめてもらえた。

自分でも食べてみたら
ビックリするくらい
炊き立てご飯にぴったりのおいしさだった。

「バタをひとさじ玉子を3コ」(河出書房新社)より


 

たしかに美味しそう!

僕もさっそく作ってみると、

なるほど!

だし巻き玉子とも
ぜんぜん違ってすっごく美味しいんですよ。

とろふわオムレツ
の食感で“和風”

新鮮さと懐かしさが両立してます。

 

 

◆意外に見えるセオリー料理

このお話って、
繁盛する卵メニュー考案に
大事な要素が含まれてる
と思うんですよね。

それは、

『意外っぽい王道』

たとえば、
上記の醤油オムレツ。

確かに定番ではないですが、
考えてみると
卵+醤油って王道の組み合わせ。
相性ばつぐん
ですよね。

そりゃ美味しいに決まってる!

とも言えます。

 

◆異端で王道な海外の人気メニュー

たとえばベトナム名物に
「エッグコーヒー」
というものがあります。

これは

コーヒーに生卵と
コンデンスミルクを
入れたもの。

超おいしいですが、
すご~く異端ですよね?

生卵入りコーヒーなんて。

 

でも考えてみると、これって

『ティラミス』
をつくる材料の要素と同じ。

美味しいのは当然とも言えます。

 

◆既にある組み合わせで新しさを出す

つまり
『異端の皮をかぶった
王道メニュー』

これが重要なんです。

たとえば
西アフリカに「マフェ」という
おいしい大衆料理がありますが、

これは牛肉や鶏肉を
トマトピーナツバターで煮込んだもの。

トマトの酸味ピーナツ風味が
すご~く合うのですが、
じゃあ米酢の酸味ともバッチリ合うかもしれません。

すると、
ピーナツバターをつかったお寿司
『意外かつ美味しい』かもしれないわけです。

 

◆想像できる美味しさがあると人気メニューになりやすい

あとは難しいのが
「珍しさ」と「親しみやすさ」のバランスでしょうか。

たとえば前述の『エッグコーヒー』は
そのネーミングだけだと

美味しくても味の想像がしにくく、
「それはちょっと・・・」の感覚がつよくなります。

このような場合、繁盛につながるのに少し時間がかかります。

 

反対に冒頭の和オムライス
醤油+たまごだと、

ふだん日本人が親しんでいる組み合わせ
ですから、

「へー、おいしそうだね。」
となりやすいですが、

「家でも作れそうだな。」

と思われちゃうと
今度は飲食店では頼まれにくいわけです。

新規性を持たせながらも
既存のセオリーを踏襲して、
さらに伝え方でバランスを取る。

多くの方にファンになってもらいやすい
繁盛メニューの秘訣ですね。

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

(関連:定番をちょっと外すたまご料理・オムレツライスとだし巻き玉子丼 | たまごのソムリエ面白コラム