小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記SOMMELIER DIALY

見た目と美味しさの二律背反な卵料理

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

飲食店メニューにおける
「たまごの役割」は
2つあります。

ひとつは、
食べてうれしい
美味しい料理になること。

そしてもう一つは、
見た目にワクワクする
美しい料理になること。
そう演出すること。

上記の即席めん料理だって、
あざやかな黄身があるなしで
ずいぶんと「おいしそうさ」が
変わりますよね。

つまり

おいしくて
おいしそう

この2つです。

 

たまご料理は
その両方の価値をもたらしてくれる
わけですね~。

ですが、こまったことに

よりおいしくしよう。
と思ったら
「見た目のおいしそうさが
下がってしまう」

または

見た目の魅力を上げよう。
と思ったら
「食べる美味しさが
へってしまう」

という、
二律背反な事態がおこる
たまご料理があるんです。

 

たとえば

釜玉うどん

あつあつの讃岐うどんに
さっとたまごを絡め
醤油をかける料理。

うどんの名作料理ですよね~。
こばやしも大好きです。

ですが、
お店さんではジレンマがあって

「めんが茹で上がったら
すぐたまごを絡めて、
それからお出ししたい。
その方が美味しい。」

と思っていらっしゃるそう。

 

釜玉うどんはいわば
和製のカルボナーラです。

お湯を切ってすぐ、
ほどよく温度が高いうちに

サッとたまごで絡めちゃうのが
最も美味しいのです。

 

でも
食べるお客さんは

まっ白のうどんに
あざやかな黄身が乗っている、
この状態でテーブルまで
来たものをじぶんで混ぜたい。

これが最高である!
テーブルで混ぜるのがおいしいはず!
・・・と、
ほとんどの方がそうなるのだとか。

あるお店さんでは以前に、
「すぐ混ぜ→提供」「提供後→自分まぜ」
どちらにするかを選んでもらう
ようにしたところ、

ほぼ全員が
「自分混ぜ」を希望するので
注文時に聞くのをやめてしまったそう。

 

これって、
なかなか興味深いですね。

イタリアンのお店なら
カルボナーラを食べるお客様は
「テーブルで自分で混ぜたい!」
とは、まず考えませんよね?

 

月見うどんや
たまごかけごはんのような
日本料理はとくに、

「おいしそう」な黄身の
『見た目効果』が他の国よりも
大きいのかもしれません。

売ってる麺にも
しっかりその方式で
シズルが描かれていますし。

 

◆目玉焼きの矛盾

そして
もうひとつの二律背反が
目玉焼き。

じつは目玉焼きって
黄身半熟とろ~りが好きならば

白身下面に火がとおったら
サッと裏返して両面を焼く
これが最高です。

「黄身トロトロ」勝負なら
両面焼きがすばらしく美味しいんです。

やってみるとわかります。

 

ですが・・・
『両面焼き』の目玉焼きって
食べる人がめっちゃ少ないんですね。
特に日本では。

釜玉うどんと同じく
黄身の美しさを重視するから
黄身があざやかに見えてないと、
という考えじゃないかなぁ、と思ってます。

 

◆意識して2つの魅力を強調しよう

「おいしい」と「おいしそう」

この、たまごの2つの魅力、
あなたのお店のメニューでも

どちらの価値をいっぱいひきだすかを
意識してみると面白いかもしれません。

 

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご全般コラム2025年08月22日