1500億円!トランプ政権のたまご値下げ計画はどうなってる?
お米に隠れがちですが、
今年はたまごが高騰しています。
他国、米国では
こんな高騰対策がされていまして・・・
こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。
トランプ政権が発足して5か月。
実はトランプ大統領、昨年の選挙時に
「卵の値段を下げます。」
という公約を掲げて当選したんですね。
昨冬は米国で空前の鳥インフル蔓延が
起こっていまして、
2021年1月に卵1パック1.47ドルだったのが、
今年1月には4.95ドルに跳ね上がってます。
そこで
大統領就任直後の2月、
ロリンズ農務省長官さんから
“鳥インフルエンザを撃退し
卵を安くするための5つの計画”
を発表したのです。
その予算10億ドル。(1,460億円)
かなり大きめの計画ですね。
この5つをざっくり説明すると、
まず予算の半分5億ドルが
バイオセキュリティ支援
命や生産物を病気などから守ることですね。
これにより養鶏場は
無料バイオセキュリティ診断を受けられ、
それにより見つかった脆弱部分の補修に
最大75%の補助を政府が負担するそう。
2つ目は
鳥インフル被害農場への
財政支援の拡大
発生後すみやかに操業再開できるように
『認可を合理化する』と述べています。
ちょっと面白いのが、
この財政支援の仕組みって
バイデン政権がやっていたんですね。
その際にトランプ陣営は
「対処療法ばかり予算かけてる!
“発生”を抑えていかないと。」
と非難したんです。
その財政支援を拡大するわけで、
バイデンさんからすると
「ほらみろ。」なんて気分かも。
3つ目は
ワクチン治療研究
米国農務省から
研究開発費として1億ドル提供して
“農場まるごとニワトリ殺処分”という
『現状のやりかた』を減らすのが目標です。
4つ目は
規制解除。
できるかぎり規制負担を減らすよ、
と言ってます。
最後は輸入。
食品安全基準を満たす卵に限り、
海外から一時的に輸入する作戦。
以上の5つの計画で、
「卵の値段を下げよう。」
と進めているんです。
大雑把に言うならば
メインは2つですね。
迅速『全処分』対策から転じて
・防疫の格差をなくす
・ワクチンをつくる
この2つに大きく取り組もう、
という計画ですね。
◆かなり生産者によりそった対策かも
じっさいのところ、
これらは生産者が望み
以前から業界で要望が出ていた
ことなんですね。
日本でも「ワクチンを」という声は
業界では強い意見として出ています。
卵屋としては、
実情に沿って考えてるんだなぁ、
と感じます。
◆数か月たってどうなってる!?
結論から言うと、
下がりました。
トランプ大統領は
「価格は61%下がった!」
なんて言ってますが、
実際は12%下がってまして
40年ぶりの大きな下落幅です。
それでも昨年同月よりも
まだ5割高いんですね。
そして
5つの計画の進み具合は・・・
計画① バイオセキュリティ対策
→職員不足で遅れ
イーロンマスクさんが
政府職員を400人解雇にした事から
計画に遅れが出ているそう。
来冬に間に合わない・・・!?
なんて予測も。
えー・・・。
計画② 発生農場の経済支援
→歓迎だが批判も・・・
業界は歓迎しています。
ですが業界外の人々からは
反論も出てまして、
鶏インフル発生後の補助をを手厚くしたら
「発生しても潰れないし
対策しなくていいんじゃね・・・?」
となっちゃう懸念や
「なぜこんなリスク高いビジネス
を救済せねばならないのか?」
みたいな批判も出ています。
この批判は
理不尽だと思いますね~。
大量の生命を殺処分する
あの体験をしたい農家さんなんて
いません。
また、
「リスク高いから・・」
と放置されると
世界的まん延の危険性など
重大な食の供給リスクに
つながる怖れもあります。
保護はあってしかるべきかなぁ、と感じます。
計画③ ワクチン治療研究
→まだまだ先になる
研究は時間がかかります。
ただ米国政府はこれに先立って
「いざとなったらニワトリに
ワクチンつかっていいよ。」
という『承認』を
今年2月に出しています。
すぐ動けるようにですね。
計画④ 規制解除
→ なんと州を訴える!
トランプ政権はこの件で
「いらん規制はなくせ!」と
かなり怒ってます。
なんと
カリフォルニア州を
提訴しました。
参照 US: Trump administration sues California over egg prices
「州は卵の生産に不必要な
お役所仕事を課して、
歴史的な卵の価格高騰を招いた」
と、同州の
農場規制と動物虐待防止法を
非難してまして、これ今後、
ちょっと大きな騒ぎになりそうです。
計画⑤ 輸入
→拡大中
予定どおり新規輸入を増やしています。
つい先日も、
「インドのナマカル地方から
米国に初輸出」
というニュースがインド発で
出ていますね。
まず一千万個。地元では期待しているそう。
この対策は即効性がありますね。
インドは世界最大の卵生産国ですから、
良いつながりになるのかもしれません。
◆日本も参考にできることは・・・
①のバイオセキュリティについては
日本でももっと詰めていくべき
課題だと思いますね。
直近の研究では渡り鳥だけじゃなく
ハエなど昆虫類も感染源になり得る
ことがわかってきました。
また、
多くの予算をとれない農場さんも
多数あります。
いままでと目線を変えつつ
取り組んでいくべきと感じます。
また、
③のワクチンについては、
早期発見が困難になるなど
採用されない理由もあるのですが、
いざそうも言ってられないレベルの
パンデミック時には
取れる選択肢が多くあるべきです。
法整備含め議論を重ねておくべき
ですね~。
このへんを話し始めると
さらに長くなるので、改めて。
ここまでお読みくださって
ありがとうございます。