小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記 SOMMELIER DIALY

たまごのビックリ科学 記事一覧

tamago_nigiritubusu_pic.jpg生たまごを握りつぶす。

そんなもったいない事をするくらいなら、たまごかけごはんにして食べた方がマシだとは思います。

ですが、「たまごを人力で握りつぶすのは不可能」と聞けば、がぜん興味が湧いてきますね。

以前ご紹介した根拠は、

(1)一定の面圧に対して非常に強度が高い、卵の特殊構造

(2)握って破裂することに対する、心理的ブレーキ

この二点が理由でした。特に(1)の構造は、古代ローマ建築にも取り入れられており、古代ギリシャ建築と比べて古代ローマ建築の残存数が圧倒的に多いのは実にこの「たまごアーチ型構造」のおかげなんだとか。

tamago_archi2.jpg

                 アーチ型構造

そして更に、もうひとつの根拠が判明しました。

 

根拠(3) パスカルの原理

??覚えてますか? そういや、なにやら中学校あたりで聞いたことがあるような・・・?

一言でいうと、 「容器内の液体(流体)にある面から圧力を加えると、どの部分にも同じだけの力が伝わる」というものです。

身近な例でいうと、自動車のブレーキペダルなどの油圧装置。踏んだ力が、液体を通してそのまま駆動部分にも同じ圧力として伝わっています。

さて、これが卵とどういう関係があるんでしょうか?

こちらの動画をご覧ください。(画像クリックで動画へとびます)

pasukaru_tamago.jpg

この動画は海外の授業風景なんですが、

生卵をビニール袋に入れて、思いっきり握らせています。

そして、誰がやっても握りつぶす事ができない、その理由を「パスカルの原理」で説明しています。

つまり、小さい卵を握ると、すべての面に圧力がかかるため外圧と内圧が均等に釣り合った結果割れなくなるようです。

例えるなら、水の入った小さな風船をにぎったようなものです。一部分のみに力を加えると、もちろん風船は変形します。  しかし、すべての面から均等に外力を加えると、力の逃げ場がなく、風船は変形のしようがありませんね。

したがって(1)たまごアーチ型構造 (2)心理的抵抗 (3)パスカルの原理、この三つの要素が、「たまごを握りつぶすのは絶対不可能な理由」になります。

うーん、奥が深いです。

(関連 : 社長日記-「たまごを握りつぶす」のは不可能

 

■ところで・・・
このパスカルの法則、

あるアンケートによると「聞き覚えはあるけど内容はわからない理科・科学の法則ランキング 一位」なんだそうです。

確かに、一般社会ではあまり必要ない知識かもしれませんね。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごのビックリ科学 2010年06月10日

野口さん、ついに地球に帰ってきましたね。

「帰還前日も、今日起きたときも、宇宙から帰ってくるのが信じられなかった。」とのコメントを聞いて、昔読んだこんな本を思い出しました。

 宇宙でトイレにはいる法(Amazon)

この本の著者ウイリアム・R・ポーグ氏は、アメリカ初の宇宙ステーション「スカイラブ」にて84日間の当時最高滞在記録を達成した宇宙飛行士で、この本はアメリカの小学生の質問に答えた内容をまとめたものです。

この中で、「地球に帰還した宇宙飛行士が、必ずやってしまう失敗」

が挙げられていました。

それは、

「コップを落として割ってしまう」事だそうです。

宇宙にいるとつい勘違いして、手を離してしまうんですね。(^^;)

野口さんも、しばらく食事が大変かもしれません。

 

◆宇宙食としてのたまご料理
それ自体が水分を多量に含み、冷凍ができない食材、たまご。

どちらかというと、宇宙食には不向きです。

でも、そこを乗り越えて、宇宙でもたまご料理を食べたい!ってのが日本人の心意気です。

国内各社が、和食としてたまごを使った宇宙食を宇宙ステーションに提供しています。

例えば味の素が作る、「たまごスープ」。07年より宇宙日本食として認定されました。

tamago_soup_uchuu.jpg

特殊な技術で、たまごをフリーズドライしています。  市販の商品、ファンの方も多いのではないでしょうか?チューブで吸うので、具は小さめです。

他にも、キューピーの「宇宙マヨネーズ」、他に宇宙プリンなんてものもあるようです。

 

◆火星でたまごかけ御飯を食べる!?
うーん、そうは言っても加工品でしょ?

やっぱ宇宙で本物のたまごを使った、トロふわのオムレツや、あつあつ玉子焼きを食べるのは難しいんじゃない?

そんな意見もありそうです。

でも、更に近未来、もしかしたら宇宙では最も重要な食材になるかもしれません。

こんなニュースがあります。

2010年“火星の旅”…ロシアで520日密閉シミュレーション  [サーチナ]

  2007年に始まった「火星500」の一環で、火星への往路250日、火星滞在の30日、地球への復路240 日分の計520日を、宇宙船に見立てたシミュレーター内ですごす。隔離された狭い空間内で、実際の宇宙飛行と同様の作業をこなし、、肉体や精神にどのような影響が出るかを調べる。実験期間は延長される場合もあるといkasei_getumen.jpgう。

 

 

更に未来の世界、宇宙空間ではなく月面や火星に滞在するようになると、長期にわたり“閉鎖空間”で生活する必要が出てきます。

当然ながら、“現地”での食糧自給が求められます。

そうなると、どんな国のクルーでも食べられる「宗教的規制が最も少ない動物」であり、かつ「屠殺せずに生産できる良質の動物たんぱく質」である「鶏卵」が、極めて理想的な宇宙時代の食材になってくるんですね。

また、たまご料理は世界に3万を超すレシピがあり、多様なメニューを楽しむことができます。「たまご料理」は閉鎖環境のストレス軽減に極めて有効ではないでしょうか?

私達の孫の世代くらいには、「火星なら絶対たまごかけごはんだよ!」なんて世の中になっているかもしれませんね!!?

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごのビックリ科学 2010年06月4日

「生たまご」と言えば、「たまごかけごはん」ですよね?

ですが、欧米で「生卵」といえば、もしかしたら「物理」を連想する人が多いかもしれないようです!?

「ニュートンの第一法則」

というものをご存知でしょうか?

これはいわゆる「慣性の法則」と言われるもので、「止まった物体は制止し続け、動いている物体はその早さで動き続ける」というものです。

これが、なぜ卵と関係あるのでしょう?

まず、下記の動画をご覧ください。(画像クリックで動画へとびます)

newtonslow1.jpg

要は、「だるま落とし」です。  動画を簡単に図で描くとこうです ↓

 

newtonslow2.jpg

 

 

こうやると・・・

newtonslow3.jpg

 

こうなって・・・

newtonslow4_2.jpg

こうなります。

つまり、力のくわえられたトレーと筒は横に移動し、力の加えられていない生卵は空中に制止し続けるため、そのまま下のコップの中に落ちると言うわけです。

じっさいにやってみて、キレイに決まるとかなり気持ちいいです。

 

試しにyou tubeで「Law egg」(生卵の事です)と打ち込んで検索してみてください。

すんごい数の、「ニュートン第一法則の実験」動画が出てきます。

ニュートンのリンゴならぬ、「ニュートンの卵」ですね。(^^;)

卵が使われるのは、やはり手軽に用意でき、かつスリリングでインパクトが強いからでしょうか。

高校や中学の実験って、細かい理論は忘れても、葉っぱのムラサキ色になったり、噴水が吹きあがったり、インパクトのある映像はいつまでも脳裏に焼き付いているものですよね。

上記の実験も、ボールかなにかを使うよりも、「割れるとそこそこ大変!」な生卵の方が、格段にドキドキしますし。

日本の学校でやると「もったいない!!」って苦情が来そうですが、そこはぜひお父さん。やはりご家庭で息子さん、娘さんと一緒に試してみてくださいませ!

※※注!※※ 上記の図では卵がタテですが、実際は筒の上に横に置きます。タテだとひっかかって筒といっしょに吹っ飛んじゃいますので、ご注意を!(うっかりしてました) 

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごのビックリ科学 2010年05月6日

tamago_nigiru.jpg

大辞林(三省堂)で「にぎりつぶす」握り潰す】を引くと、こう出ています。

___(1)強く握りしめておしつぶす。
___    例  「卵をにぎりつぶす」

 

卵を握りつぶす・・。

うん。やりませんね。普通。

空き缶でも何でもあるでしょうに、よりによって卵。

どんだけレアな用例なんでしょうか・・。

さて、この用例とはうらはらに、実は驚愕のトリビアがあります。

「卵を人力で握りつぶすのは不可能」

というお話をご存知でしょうか?

根拠は二つあります。

 

■根拠1(形状)
卵は、一定の面圧・全体的な圧力に対してはすごく強い耐久性を発揮します

ギュッと握った力に対しては、非常に強いんですね。ちょっとやそっとの力ではつぶれません。(注1)じっさい、卵の形状を模した古代建築様式は世界中にあります。

■根拠2(精神的抵抗)
「えー。そんなこと言ったって、さすがに全力で握ったらつぶれるでしょ?」

そう思う方、ぜひ試してみてください。

冷蔵庫にある卵を出して、すぐにでもやってみることができますよね?

・・・

どうでしたか?

できなかった or やらなかったでしょ? 

そう。想像したとたん、気がつきます。

卵は力に耐えきれなくなった瞬間に「パチュン」と潰れるはず・・。

もし思い切り握ってみごと成功したら・・。大変な事になりますね。

そして得られるメリットはいかほどでしょうか・・?

この心理のタガを外し、持てる握力のすべてをそそぎこむ。これは結構大変なことです。 どこかで「こりゃ掃除がスゴイことに・・。めんどくさいそう。」とか思ってるうちは、おそらくムリです。

皆さん、いかがお考えでしょうか?!

 

(※)もし「どうしてもやってみたい!」と思うなら、お風呂場をおススメします。

(注1)このトリビア(?)、有名漫画「パタリロ」にも取り上げられています。

(関連:なぜたまごは握りつぶせないのか? その2 – たまごのソムリエ日記)

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごのビックリ科学 2009年12月8日

「女性だけが知っているが10のこと」

というものが紹介されていました。少しだけ引用しますと、

その10.  ネコの表情の判別
その9.  同じ種類で色違いの靴の必要性
その7.  太い服の着こなし
http://labaq.com/archives/51295571.html

などなど、確かに男性には理解したくないできない項目がならんでいます。(全部知りたい方は上記リンク先へどうぞ)

その中で、気になったものが一つ。

「その5.  ベージュ、オフホワイト、卵色の違い」

うん?

たまごいろ・・?

ちょっと気になったので調べてみました。

卵色 たまごいろ #fcd575(原色大辞典)

これは・・・

えー!?

赤卵なんでしょうか?ちょっとイメージと違う色ですね。(^^;)

・・・まぁ、たまごの色も、種類や条件によってまちまちですからね↓

tamago_iroiro.jpg

ウチの卵で、近いものと比べてみましょう。このたまごでしょうか?右が上リンク先の色見本です。

tamagoiro.jpg

なるほど、言われてみると似ているかも・・。これが「たまご色」になるんですか・・。

 

■色の比較をしてみた
では、オフホワイト、ベージュとの違いはなんなんでしょう?

ベージュ beige #eedcb3
  :うすい茶色。いわゆる「肌色」のこと(※注)

オフホワイト
ほとんど白に近いが、少し色みを感じる色のこと。カラード・ホワイトとも言う。

調べてみると、こうなってました。濃い順に卵色(たまごいろ) > ベージュ > オフホワイトと言う事のようです。

これで迷わないですね!

・・・。

これらの単語、良く考えたら今年一度も口に出した記憶がないんですが、この知識、はたして役に立つ日がくるんでしょうか・・?

 

■おまけ
薄卵色(うすたまごいろ)、というものもあるそうですもう勘弁してください。

 

注:「肌色(はだいろ)」という表現は、現在差別用語なんだとか。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごのビックリ科学 2009年11月20日

森精機製作所という会社が開催する、「切削加工ドリームコンテスト」なるものがあります。

企業や大学、高等専門学校を対象に、切削機などの工作機械で成形した作品を募集したもので、かなりハイレベルのコンテストとなっているんだそうです。

その今年の作品中、なんと壊れやすい卵の殻の表面を削って人物画を仕上げるという、モノスゴイ技術作品が金属・造形加工部門金賞を受賞しました。

これは、日双工業(京都府宇治市)の「たまごの殻アート」。

※クリックで拡大します。

0.02mmの深さでうっすらと卵殻の表面が削られ、立体感を持った精緻な顔が浮かび上がっています。まるでカメオですね。

ライトを当てるとより幻想的です。すごいなー。

 

もともと卵は身近な素材として、昔から飾り付けに使われたり、芸術家の創作意欲を刺激してきました。

たとえば、「インペリアル・イースターエッグ」というものをご存知でしょうか?

ロマノフ朝、ロシア皇帝アレクサンドル3世とニコライ2世が稀代の名金細工師に依頼して作らせた世界最高峰の芸術作品です。

一年かけてひとつ。最高の素材と高価な金細工をふんだんに使用して作られた、これまた超精緻な卵アート です。

別名「世界一高価な卵」。

なんとお値段一ヶ10億円です。

ひょえー。

タマゴですよ。

殻細工。

もし割ったらどうしよう。

こんなの運ぶ役目の人、本当に大変ですね。

さてさて、でも上記のような、世界最高水準と言われる日本の極微細精密加工技術、ここから生まれる経済効果は10億円どころではありません。

未来の世界を救う、人類の「宝物」かもしれませんね。^^

世界最高峰の芸術作品と、技術作品、たまごにまつわわる二つをご紹介しました。

参照:森精機製作所(3)「ものづくり」通じ世界に貢献

参照: 「切削加工ドリームコンテスト」金賞作品

参照:「インペリアル・イースターエッグ」wiki
※二枚目写真は上記リンク先より引用しました。 

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごのビックリ科学 2009年07月27日