味の記憶、匂いの記憶・・その1
■記憶が匂いを呼び戻す・・?
幻嗅(げんしゅう)というものをご存知ですか?
幻聴の「におい」版。
よっぱらったときなんかに、ありもしない「におい」を嗅いでしまうんだとか。
私は一度も経験したことはありません。
幻臭は、化粧会社の開発者さんなど、よっぽど匂いに鋭敏な体質の方がなりやすいとのこと(注1)、私ではどうも素質不足(?)のようですね。
一時的に脳が混乱することでその記憶を呼び覚ましてしまうんだそうです。
■匂いが記憶を呼び戻す・・?
脳医学の観点から見て、この「匂い」というものは「記憶」と密接に結びついています。
散歩中に気づく焼きたてパンの甘い香り、
シャンプーの香り、
グローブの革の匂い、
ちょっとした匂いが、子供の頃の思い出や楽しかった頃・ドキドキした時の思い出を呼び覚ますことがあります。
この様な嗅覚による記憶刺激効果は、「プルースト効果」(注1)と呼ばれます。
これは、脳内で、記憶を司る位置と、嗅覚を司る位置が極めて近いことから起こると考えられています。
実際に、この効果を利用した退行催眠療法やセラピーなども行われているそうです。
視覚や聴覚と比べ、嗅覚は脳内の回路位置がまったく異なっているんだとか。
原始の時代には、危機回避や生存にとって「匂い」が重要なファクターだった証拠なのかもしれませんね。
(注1)追記・精神疾患などでなるケースもあるそうです。
(注2)作家マルセル・プルースト の自著小説『失われた時を求めて』の冒頭で、主人公がマドレーヌの匂いから遠い過去の記憶を呼び覚まされることで、この長編小説の幕が開きます。この事から名づけられています。(wiki)
(参考)読むクスリ(上前淳一郎著・文春文庫)
(参照)匂いが記憶を呼び覚ます – プルースト効果とは何か(X51.ORG)