だし巻き玉子はあなたが手を抜くほど美味しくなる!?
こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。
たまごに関するシンポジウムに
先日参加しまして、
だし巻き玉子に関する面白い
研究の報告がありました。
トレハロースで有名な
株式会社林原・藤新氏の報告で、
『市販のだしまきたまごから
最も美味しいものを研究し
再現する手法を考える』
という内容。
カンタンに要約すると
美味しいだしまき玉子は、
・食感がふわふわでやわらかい
・だしが多くてジューシー
が条件
もちろん
他にも要素がありますが、
まずここが重要とのことで
じゃあ、
「どうやったらそうなるのか」
をいろんな形で試したんですね。
手法を物性研究したところ、
・だし汁はほどほどの量がいい(40%)
・巻くのは最低限でイイ(たった3回)
ということが分かったのだとか。
◆だし汁はほどほどがグッド!
プロの料理人さんのお話では
出汁をいかに多くふくませるかも
ウデのみせどころ、
という考えもあります。
だしが多いほどジューシーなのですが、
水分が多すぎると焼くときに
外に出ちゃって、
けっきょくキレイに仕上がりにくい
難易度が飛躍的に上がっちゃうのです。
卵が固まる際に
立体構造を保ちにくくなるんですね~。
ただ、ムリしなくても
40%程度でも十分に
美味しくできる
ということですね。
ちなみに研究では
片栗粉などでんぷん1%添加で
非常に保水が良くなるとか。
◆調理は手を抜くと美味しくなる…?
おもしろかったのは、
焼く際の混ぜる回数について。
だしまきたまごって、
焼きながら何度も卵液を足して
重層を作っていく料理なんですが
何層あれば一番おいしいのか?
を調べたところ
なんと!
巻き巻きする層の数が
増えるほど固くて食感が悪くなり
少ないほどふんわり食感が
美味しい
・・・という結果に。
一番おいしかったのは、
焼いて両側から
パタンパタンと
3つ折りが最高だったとか。
なかなか面白いですね。
世のお母さんたちが、
頑張ってていねいに
ステキな重層を
つくりだすと、
結果的に味がおちるわけです。
たしかに、
玉子焼で有名な
築地山長さんの
たまご焼きの作り方をみても、
巻くのはそう多くありません。
どちらかというと
特殊なオムレツの作り方、
と表現しても良いような
焼き方ですね。
「出し巻き卵巡業」と題して
全国でだしまきたまごセミナーを
開催されている
富士田かおりさんご指導の
焼き方も、そういえば
「巻くのはたった3回でイイ」でした。
プロの料理人さんの
技法の感覚が
実証されたという側面があります。
余談ですが、
割り入れたたまごを
混ぜる際も、
キレイに混ぜない方が美味しいんです。
これも、電子顕微鏡まで使った
過去の研究がありますが、
白身が均一に混ざっていない方が
部分的にできた気泡に
出しを含みやすく
ジューシーになるんですね。
一生懸命混ぜると
だしまきたまごの
味は逆に落ちるのです。
理にかなった手ヌキ(?)が
あなたの出汁巻き玉子を
さらに美味しくするかもしれません。
ここまでお読みくださって、
ありがとうございます。