小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記 SOMMELIER DIALY

ソムリエ日記 記事一覧

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

先週インドで話題になっていたのが、上の写真。

SNSに投稿された写真なのですが、
右には

“15個以上の卵が割れているように見せたい。それ以外は同じままにしておいて”

と『指示』が書かれています。

さらに左右の卵で、
左は一個、右はたくさんの卵が割れています。

 

どうもある人物が

配達サービスを使って
卵を買ったところ、一個だけ割れていた。

それをAIで画像加工して、
「ひどい割れだ!」
と誇張し報告した・・・

ということのようです。

この画像につづく写真には
カスタマーサポートとのチャットで
「割れている」と連絡したのちに

全額返金を要求し

245ルピーの返金を受けたやりとりが
画像で確認できます。

 

上記のポストでは、

『たとえ1%がこれをやりはじめたら、現在のお客当たりの採算性は崩壊するだろう。』

と警鐘しています。

 

 

うーん、
これは深刻ですね。

食べ物って、
こういった問題があったときは
現品を確認しての交換や対応を
することが多いので、

こういったAIの捏造リスクって
あまり言われていません。

今のところは。

ですが、
カスタマーサービスを集約したり
問い合わせを簡単にするために、

オンラインでのやり取りが
どんどん増えてきています。

たとえばウーバーで
サービスを提供するお店さん。
通販で拡売する菓子店さん。

 

クレームがあった際には
頭の片隅でこういった
「精緻な画像でだます」
ひとがいる可能性を頭に入れて
対応していく必要がありますね。

 

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

(参照:Viral Post About AI Image Of Cracked Eggs Used To Claim Refund Sparks Debate

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの海外ニュース 2025年12月4日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

アフリカ大陸のみぎっかわにある
マダガスカル島。

その首都アンタナナリボで
大人気の料理が、

「ボル・ランベルセ
(Bol Renverse)」

と呼ばれる目玉焼き丼

直訳すると「さかさまボウル」

なんだか面白い名前ですね。

とっても美味しいんですが、
なにがさかさまなんでしょう?

 

これは
『作り方』に由来しているんです。

 

まずボウルを用意します。

目玉焼きさかさまに入れます。

その上に肉や野菜、えびなどを
煮込んだものを乗せて

 

 

最後にごはんをどーん、と詰めます。

それをお皿の上でひっくり返して、
ボウルをどけると・・・

キレイなカタチの
目玉焼き丼ができるわけです。

さいごにひっくり返すので、
すなわち『さかさまボウル』なんですね。

ボル・ランベルセはフランス語ですが、
英語だとボウル・リバースでしょうか。

なんとなく『押し寿司』を彷彿とします。

 

でもこれ、
さかさまにせずに

フツーに盛り付けるんじゃ
いけないのかな?

・・・と思うかもしれませんが、

実は
マダガスカルのお米は
インディカ種(アジアイネという品種)
といって長い粒でパラパラになるのが特徴

普通にお皿に盛ったのでは
崩れちゃってキレイなカタチにならないんですね。

それを誰でもキレイに盛り付けられる
ひとつのテクニックです。

 

◆じつはおコメ大国!マダガスカル

ちなみにマダガスカルは
アフリカ地域ですが

雨が多いため
お米がいっぱい採れます

消費量はなんと世界一!

国民の半分が稲作に従事し、
日本人の2倍以上も食べるんです。

すごい・・!

 

ただ、
農業の効率はさほど高くなくて
田んぼいっぱいでもまだ米が足りず
輸入しているんだとか。

なので、
同じお米好き国として
日本も技術協力をしているんだそう。

 

養鶏はあまり盛んじゃなくって
JICA(国際協力機構)によると
ニワトリは各家庭で飼って
産んだ卵を使っているんだとか。

 

なので
鶏は卵を得る超貴重な存在、
卵もぜいたく品の位置づけなんですね。

ですので、
上記のさかさま丼「ボル・ランベルセ」も
目玉焼きたまごを上に乗せるのは
ちょっとごちそう的な喜びが出る、
そんなこだわりになっているんでしょうね。

 

◆日本食や洋食でもアレンジよさそう!

てっぺんに目玉焼きを置くのは、
視覚的な「おいしさ」のために
とても有効です。

容器に順に入れて
逆に盛り付けてひっくり返すのは、

崩れやすい料理に
いろいろ応用できそうです。

 

ステキなボウルに詰めてワッと
お客様の目の前で開けてみたり

マグカップみたいな
小さい容器を使ってみたり・・・

演出にも利用できるかも!?

そういえば、
ケーキでもボウルに重ね逆さにして作る
やり方がありますね。

あなたのお店でも、
『さかさま目玉焼き丼』
ぜひいろんな味で応用してみてはいかがでしょうか。

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

(参照:こんなに違う!世界と日本の食文化)

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

 

ブラックフライデー盛り上がってますが、

その結果
物流便への荷物が殺到して
営業所さんがパンク、
今朝から新規の受け入れ全面ストップとなっています。

えー・・!

これは大変です。

当社にてもご注文くださっているお客様
ご予定のお客様
まことにご迷惑おかけします

しばらくの間は
少しお早めのご注文をご検討いただけましたら幸いです。

 

◆波があると大変な業界

佐川急便・ヤマト宅急便のご担当者さん、
ホント大変だとお察しいたします。

昨年はここまでじゃなかったんですね。

最初は仕掛けた
アマゾンだけでしたから

「ブラックフライデー??なにそれ。」

ってカンジでした。

それが年々盛り上がってきて
楽天や他サービスはてはスーパーまで
ブラックフライデー企画をするくらい・・・

大きなお祭りになっているんですね~。

僕たち卵屋は、
ドカン!と売り上げるんじゃなくて
毎日コツコツ繰り返しの商売なんですが、

こういうちょっとずつ積み重ねビジネスを
「ストック型」と言うんですね。

このスタイルは
卵屋も配送業さんも同じで、
あるいみ同種なんです。

 

特徴としては
急な増減に弱い。

『毎日フラットなのが理想』

なんですね。

ほら、
いきなりですよ、
卵屋にメッチャ注文が殺到しても、
産まれる数以上には売れないじゃないですか。

今日だけ1000セット注文が入るより、
10の注文が100日続く方がありがたいのです。

配送業さんも同じですよね。
車や人員のキャパは同じですから。

 

これ食材は皆そうでして、
たとえば日本が
世界中から怒られているウナギ乱獲も、

一年に一度めっちゃめちゃ消費する
土用の前に世界で買いあさるから、

絶滅危惧のおそれに
つながるくらいの
大量消費になるわけです。

先週のワシントン条約締約国会議では
幸か不幸か漁獲規制案が否決となりましたが、

ちょっと今後は
短期集中の『お祭り的売り方』は
弱めていくべきかもしれませんね。

(参照:ウナギ全種の取引規制案を否決、国際会議 資源管理や密漁対策が課題 – 日経

そしてこれは、
ブラックフライデー的な集中売りも
同じかも。

 

◆殺到する時期の調整

ところでぼくたち卵屋へ
ご注文が集中するのは
年末時期になります。

お店さんも
週末の宴会需要を見込まれたり、

クリスマスの直前にも
特定の一日に
膨大な数のご注文が
集中することがあります。

ですので、この5年ほど

「事前に年始年末のだいたいの数量を教えてもらう」

という取り組みをしています。

たとえば10ケース一度に
ご注文くださるお客様でも、
ぜ~んぶ翌日に使いきる
お店さんってそう多くありません。

仮に金曜日に
ものすご~くご注文が集中するなら、

事前にだいたいの量をうかがって
その日生まれの卵量を超えていれば

「5ケースは翌日にお持ち
させてもらえませんか?」

なんて調整のご相談が
できるわけです。

 

毎日のご注文フラット化
お客様との連携が
大事になる時期なんですね~。

やっぱりそれって重要だなぁ、
と、今日の物流会社さんの大変さから
身に沁みます。

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , ちょっとつぶやき 2025年11月29日

こんにちは!
たまごのソムリエ、こばやしです。

この絵は、
ぼくが住む徳島県の美術館が
6800万円で購入した絵画。

 

のちに調べてみたら昨年に
超精巧な「贋作」だったことがわかり、
全国的な話題になりました。

25年間も知らずに飾っていたんです。

 

先週のニュースで
「売った画商へ6800万円で返品・返金」
とニュースになりまして、あらためて話題になってます。

 

美術館はホッとしたでしょうが、
じつは発覚後のこの1年間、
とても面白いことが起こっていました。

贋作が発覚してからしばらくのお話し。

贋作なんてえらいことだ・・!

とはいえ
買っちゃったものはしょうがない
美術館が「贋作」と表示し再公開したところ・・・

なんと!
来館数がめっちゃ増え
大人気になったのです。

「プロがだまされた話題のニセモノ」を
ぜひ見てみたいと評判も上々だったんですね。

だまされた美術館としては
複雑かもしれませんが、

この
「贋作人気」のメカニズムに、
あなたのお店の繁盛につながる
ある「コツ」があります。

 

◆価値はひとつじゃないから・・・

つまり、

別の価値を提供した

ってことなんです。

それまで25年間飾っていて
絵自体は何も変わってないのに

贋作とわかると反響が出た。

これはちょっと分かります。

ああ、あのニセモノか~。
ちょっと観に行ってみようかな!?

という気持ち。

それってつまり
絵を観る価値が
「真なる美を鑑賞すること」
だけじゃないということですよね。

 

「見た、と人に言いたい。」

という価値かもしれません。

また、

「真贋ってオレにもわかるかな?」

みたいなチャレンジ精神も
あるかもしれません。

価値魅力って
「良い品質」だけじゃないんです。

それって飲食店さんでも
同じことが言えます。

 

◆同業でも『価値』がちがう

たとえば同じコーヒーショップでも、

スターバックスは
家と職場に次ぐ「第三の場所」を理念に
「ゆっくりしていってください!」と
なが~く時間をすごせることを価値にしています。

対してドトールは
ほんの20分くらいの
『短いスキマ時間』をどれだけくつろげるか、
という価値を打ち出しています。

なので、
スターバックスのイスや音楽は
ゆったり長居したくなる品で、

ドトールはサッと注文して
待たずに短時間でくつろげるように
席数を多くして
レジ対応もめちゃめちゃわかりやすい。
オーダーも迷わないですむ表示です。

 

おなじコーヒーショップでも
体験させるものが違うんですね。

あなたのお店は、
ライバル店さんとどんな
価値のちがいを打ち出していらっしゃいますか?

◆たまごメニューで『価値の差』を!

同じように卵メニューも
飲食店さんのお客にとって
ひとつじゃない、

いろんな
価値が出せます。

「おいしい」
だけじゃないんです。

たとえば
「家で食べられない
非日常な料理技術」
という価値。

たとえばオムライスやだし巻きたまごって
手間と技術を売る料理なんですね。

 

であれば、それをさらに高めるとすると

『より技術のいりそうなシズルにする』

という、
見た目の印象にこだわると
価値の方向としてとても合うわけです。

 

また、

「作り方がわからない料理」

が食べられるという価値。

たとえば
ポーチドエッグを作ったことがある人は、
日本ではかなり少数派

目玉焼きとちがって
作り方もよく知らないわけです。

すると、
おいしさと別に
価値が大きいわけですね。

じっさい
エッグベネディクトは
単価高いですよね。

 

たまご料理は
おいしさ以外の『価値』が
出しやすい食材です。

 

ぜひともあなたのお店でも、
多面的な価値から、単価の取れる
たまごメニューをご提供くださいませ。

もちろんホンモノのおいしさで!

 

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , 飲食店さまへ 2025年11月26日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

 

秋うつ
という症状があります。

夜が一日、いちにちと長くなる。涼しくなる。

すると、なんとな~く気持ちが落ち込む。
鬱々とする・・・。

そんな症状、病状です。

この要因と考えられているのが
ビタミンDの不足

このビタミンは
気分を調整する神経伝達物質
「セロトニン」生成に関係がありまして、

日光をあびることで体内に生成されるんですね。

ですので、
日照が減る秋から冬に、
地域や生活によっては
ビタミンDが不足しがちになっちゃうのです。

 

「太陽に当たっているか」

なんてあまり意識しないですから、
「なんで最近、調子が悪いんだろ・・・?」
なんて不思議に思う人も少なくないそう。

 

◆魚、きのこ、卵などに含まれる

ですので、
そんな自覚がある人は
日向ぼっこすればよいのですが、
なかなか普段それは・・・
仕事によっては難しいですよね・・。

 

ですが、
安心してください。

ビタミンDは日照だけじゃなく
食べ物からも摂れます。

多く含まれるのが、魚やキノコ類
そして、特に黄身

卵は一個食べれば
だいたい一日の摂取基準量の
1/3くらい摂れますので
わりあい効率が良いです。

脂溶性ビタミンって
過ぎるのも良くないので、
錠剤なんかで摂るよりは
卵がちょうどよいと思いますね~。

ビタミンDは
比較的熱に強いので、
玉子焼きやオムレツ目玉焼き・・・
どんな食べ方をしてもオッケーです。

◆特に若い子が不足している!?

国立環境研究所の調査によると、

東京の12~18歳の中高生1360人のうち、
ビタミンDがだいぶ足りない(欠乏)は男子で30.2%・女子で47.7%もいて、足りてない(非充足)は男子の8割・女子の9割にのぼることが分かっています。

(参照:最近の日本人のビタミンD欠乏|環境儀 No.79|国立環境研究所

 

ビタミンDって骨の発育や代謝にも
かかわっているため、

成長期は特に不足しやすいんです。

つるべおとしの秋、
若いあなたは
ぜひ日向ぼっこをして、

これを読まれている
お父さんお母さんのあなたは、
ぜひ意識してご自身とお子さんの
日々のメニューで食材に取り入れるべき
なんじゃないかと思います。

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの健康情報(研究など) 2025年11月20日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

連日クマのニュースがすごいですね。

出没情報のあった地域の学校が休校になったり
施設を急遽閉鎖したり、
被害のあった地域の皆様は不安な日々を
すごされているかと思います。

 

木の実の不作が原因か、
なんて言われていますが、
今年だけなのかはたして
年々増える途中なのか・・・。

いずれにせよ、
早く解決に向かうことを祈っております。

 

ぼくたちの住む四国は
クマの害こそ大きくないですが、
シカによる食害が深刻なんですね。

放し飼いのフェンスも壊すし・・・

 

お世話になっていた
元養鶏家のハンターさんいわく、

「このへんのハンターは皆
高齢の方が多いんだ。

何年もたたずにシカ害に
対応できなくなるかもなぁ。」

とのことで、

またいっぽうで
動物愛護的な視点の意見も
多く上がっていて、悩ましい問題です。

 

 

◆生類憐みの令のときはどうしたか

さて、
動物愛護の極み、

生類憐みの令

というものがありました。

 

江戸時代後期
第5代将軍・徳川綱吉さんの出した法令です。

「蚊を殺しただけで遠島になった」
なんてエピソードも残っているくらい
厳しく動物のケアと不殺を求める定めですね。

 

その中に、

クマが出た時はどうするのか?

という想定対応がありました。

クマが
家のニワトリや犬ネコなど
家畜を襲った場合どうするのか?

というケース。

どちらも大事にすべき動物です。

じっさい現代日本でも、
養鶏場がクマに襲われています。

クマからすると
ニワトリなんてごちそうですよね・・。

この場合の法令は、こうなってます。

『熊猪狼のたぐひ、たとへ人を毀傷せずとも、人家に飼をける馬、牛、犬、猫、鶏など傷損すべきさまならば、追払ひ毀傷せしむべからず。もし追払とき、棒にあたりて死すともそは苦しからず。犬猫たとい鳥獣をいため、あるいは己れども咬合は、いたまざるやうに引分べしちなり。』(江戸幕府・元禄8年5月 ・1695)

『熊猪狼のたぐひ,たとへ人に喰掛り申さず候とも,人の養い置き候牛馬犬猫鶏などの鳥獣を損し申すべき体に候はば,追払候て,損し申さざるように仕るべく候。もし追払候節,先へ当り,死に申分は苦しからず候事』(毛利家・1695)

毛利家での通達文書・山口県文書館

現代語に訳すと、

「熊やイノシシ、オオカミが
人をおそわなくても、
家で飼っているニワトリや牛馬犬猫に
ケガをさせそうなときは
追い払って守りなさい。

追い払おうとしたとき
棒や石に当たって死んでしまう事があっても、
それはしょうがない。(罪にならない)」

 

という事で、

・両方動物なら家畜優先

・追い払うときに死なせてしまっても罪ではない

ということのようですね。

 

◆現代と似ている!?

ですので、この

「基本は追い払う」

「無理なら駆除」

みたいな発想は、
現代とちょっと似てるところがありますね。

 

このころ地域によっては
猟銃を使う事もあったのですが、

『撃っちゃったときは
その経緯を書面にして報告する』

など細かく決まっていまして、
このあたりも同じですね。

 

面白いのが、

「もし殺してしまったら
その場に埋めること。
商売に使ったり
食べたりしてはならない」

となっていた点。

あー、なるほど。

 

そうしないと、

「いや~、いきなりクマに
ウチのニワトリがおそわれちゃって、
思わず倒しちゃったんですよね。

もったいないから毛皮と肉は
活用しますね~。

いや~わざとじゃないんです。」

 

なんて言って
乱獲しちゃうかもしれないですからね。

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

(関連:鳥さんを牢に入れ遠島にした徳川綱吉【卵食は殺生になるの?】 | たまごのソムリエ面白コラム

カテゴリー | ソムリエ日記 , ニュースに考える 2025年11月17日