小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記 SOMMELIER DIALY

ソムリエ日記 記事一覧

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

 

秋うつ
という症状があります。

夜が一日、いちにちと長くなる。涼しくなる。

すると、なんとな~く気持ちが落ち込む。
鬱々とする・・・。

そんな症状、病状です。

この要因と考えられているのが
ビタミンDの不足

このビタミンは
気分を調整する神経伝達物質
「セロトニン」生成に関係がありまして、

日光をあびることで体内に生成されるんですね。

ですので、
日照が減る秋から冬に、
地域や生活によっては
ビタミンDが不足しがちになっちゃうのです。

 

「太陽に当たっているか」

なんてあまり意識しないですから、
「なんで最近、調子が悪いんだろ・・・?」
なんて不思議に思う人も少なくないそう。

 

◆魚、きのこ、卵などに含まれる

ですので、
そんな自覚がある人は
日向ぼっこすればよいのですが、
なかなか普段それは・・・
仕事によっては難しいですよね・・。

 

ですが、
安心してください。

ビタミンDは日照だけじゃなく
食べ物からも摂れます。

多く含まれるのが、魚やキノコ類
そして、特に黄身

卵は一個食べれば
だいたい一日の摂取基準量の
1/3くらい摂れますので
わりあい効率が良いです。

脂溶性ビタミンって
過ぎるのも良くないので、
錠剤なんかで摂るよりは
卵がちょうどよいと思いますね~。

ビタミンDは
比較的熱に強いので、
玉子焼きやオムレツ目玉焼き・・・
どんな食べ方をしてもオッケーです。

◆特に若い子が不足している!?

国立環境研究所の調査によると、

東京の12~18歳の中高生1360人のうち、
ビタミンDがだいぶ足りない(欠乏)は男子で30.2%・女子で47.7%もいて、足りてない(非充足)は男子の8割・女子の9割にのぼることが分かっています。

(参照:最近の日本人のビタミンD欠乏|環境儀 No.79|国立環境研究所

 

ビタミンDって骨の発育や代謝にも
かかわっているため、

成長期は特に不足しやすいんです。

つるべおとしの秋、
若いあなたは
ぜひ日向ぼっこをして、

これを読まれている
お父さんお母さんのあなたは、
ぜひ意識してご自身とお子さんの
日々のメニューで食材に取り入れるべき
なんじゃないかと思います。

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの健康情報(研究など) 2025年11月20日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

連日クマのニュースがすごいですね。

出没情報のあった地域の学校が休校になったり
施設を急遽閉鎖したり、
被害のあった地域の皆様は不安な日々を
すごされているかと思います。

 

木の実の不作が原因か、
なんて言われていますが、
今年だけなのかはたして
年々増える途中なのか・・・。

いずれにせよ、
早く解決に向かうことを祈っております。

 

ぼくたちの住む四国は
クマの害こそ大きくないですが、
シカによる食害が深刻なんですね。

放し飼いのフェンスも壊すし・・・

 

お世話になっていた
元養鶏家のハンターさんいわく、

「このへんのハンターは皆
高齢の方が多いんだ。

何年もたたずにシカ害に
対応できなくなるかもなぁ。」

とのことで、

またいっぽうで
動物愛護的な視点の意見も
多く上がっていて、悩ましい問題です。

 

 

◆生類憐みの令のときはどうしたか

さて、
動物愛護の極み、

生類憐みの令

というものがありました。

 

江戸時代後期
第5代将軍・徳川綱吉さんの出した法令です。

「蚊を殺しただけで遠島になった」
なんてエピソードも残っているくらい
厳しく動物のケアと不殺を求める定めですね。

 

その中に、

クマが出た時はどうするのか?

という想定対応がありました。

クマが
家のニワトリや犬ネコなど
家畜を襲った場合どうするのか?

というケース。

どちらも大事にすべき動物です。

じっさい現代日本でも、
養鶏場がクマに襲われています。

クマからすると
ニワトリなんてごちそうですよね・・。

この場合の法令は、こうなってます。

『熊猪狼のたぐひ、たとへ人を毀傷せずとも、人家に飼をける馬、牛、犬、猫、鶏など傷損すべきさまならば、追払ひ毀傷せしむべからず。もし追払とき、棒にあたりて死すともそは苦しからず。犬猫たとい鳥獣をいため、あるいは己れども咬合は、いたまざるやうに引分べしちなり。』(江戸幕府・元禄8年5月 ・1695)

『熊猪狼のたぐひ,たとへ人に喰掛り申さず候とも,人の養い置き候牛馬犬猫鶏などの鳥獣を損し申すべき体に候はば,追払候て,損し申さざるように仕るべく候。もし追払候節,先へ当り,死に申分は苦しからず候事』(毛利家・1695)

毛利家での通達文書・山口県文書館

現代語に訳すと、

「熊やイノシシ、オオカミが
人をおそわなくても、
家で飼っているニワトリや牛馬犬猫に
ケガをさせそうなときは
追い払って守りなさい。

追い払おうとしたとき
棒や石に当たって死んでしまう事があっても、
それはしょうがない。(罪にならない)」

 

という事で、

・両方動物なら家畜優先

・追い払うときに死なせてしまっても罪ではない

ということのようですね。

 

◆現代と似ている!?

ですので、この

「基本は追い払う」

「無理なら駆除」

みたいな発想は、
現代とちょっと似てるところがありますね。

 

このころ地域によっては
猟銃を使う事もあったのですが、

『撃っちゃったときは
その経緯を書面にして報告する』

など細かく決まっていまして、
このあたりも同じですね。

 

面白いのが、

「もし殺してしまったら
その場に埋めること。
商売に使ったり
食べたりしてはならない」

となっていた点。

あー、なるほど。

 

そうしないと、

「いや~、いきなりクマに
ウチのニワトリがおそわれちゃって、
思わず倒しちゃったんですよね。

もったいないから毛皮と肉は
活用しますね~。

いや~わざとじゃないんです。」

 

なんて言って
乱獲しちゃうかもしれないですからね。

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

(関連:鳥さんを牢に入れ遠島にした徳川綱吉【卵食は殺生になるの?】 | たまごのソムリエ面白コラム

カテゴリー | ソムリエ日記 , ニュースに考える 2025年11月17日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

たまご鶏のことわざ第94弾、
今回はコロンビアから。

<年をとった雌鶏から良いスープができる>
(コロンビア)

いろんな経験をしてこそ滋味のある、
味わいぶかい影響を人に与えられる。
そんな意味です。

なるほど、よいことわざですね。

 

作家の阿刀田高さんがご自身の著書で

「同じ花を見て『きれいだ』と
感じたとしても、子供が感じるのと
いろんな物事を見てきた大人が
感じるのでは、ずいぶんと意味が違ってくる。
より美しいと感じるのは後者ではなかろうか。」

ということをおっしゃっています。

年を経ることで価値がでる、
まったくそのとおりだと思います。

 

そして、
年を経た鶏のほうが
旨味が多く美味しいスープになるのは本当です。

卵を産み終わった、
ある程度年を経たニワトリは
食肉として食べられるのですが、

食感がちょっと固いんですね。
ですが、
肉のうまみがめっちゃ濃くて
美味しいんですよ。

まさにスープや
シチューにすると最高!なんですね。

日本では「廃鶏」なんて名で
「いらないもの」扱いですが、

食肉文化の深い欧州では
むしろ年を経たニワトリのほうが

「コストがかかっているから」
「より美味しいから」
・・と高価な貴重肉として
取り扱われたりもします。

例えばフランスでは
「プーサン」「プーリー」の名で
若どりの肉よりずっと高く売られています。

食感が硬くても、
煮込み文化ですから
旨味を最大限活かし
柔らかく美味しく食べるレシピが
たくさんあるんですね。

こばやしもこの、
たまごを産み年を経た鶏肉
(四国では親鶏と呼ばれます)を
好きでよく食べます。

 

筋切りしたあと塩こうじを振って
低温調理でじっくり熱を通すと
お酒のつまみにめっちゃ美味しいんですよ。

価格も手ごろですから、
飲食店さんでもおすすめです。

 

◆コロンビアはめっちゃ卵好き

ちなみにこのことわざの
コロンビアは、

めちゃめちゃ卵を食べます。

日本人よりも。

昨年の世界鶏卵消費量データでは、
日本を抜いて世界第三位。
ひとり年間324個も食べているんですね。

 

10年前は年250個でした。
すごい伸びです。

つまり
これは文化というわけじゃなくて
コロンビア政府が国策で

「たまごを食べよう。」

と進めてきたことで
こんなに伸びているんです。

鶏肉の方も力を入れてまして、
日本への輸出もつい3週間ほど前に
解禁になったばかり。(2025年10月より)

南米のコロンビアは
鶏が快適に過ごせる
涼しい高地も多く、

1平方メートルあたりの
生物多様性は世界一、という
生き物天国でもあります。

今後、コロンビア産の鶏肉などは
日本に広がるかもですね。

コロンビアの卵メニューでいうと
アレパ』っていう
トウモロコシ粉パンに、

目玉焼きをはさんだものが
朝食の定番なんですが
これおいしいんですよ~。

 

たまご好きとしてシンパシーを感じます。
日本も負けてられませんね!

 

年を取ったニワトリのスープのように
長年の卵好き文化で
お店メニュー含め盛り上げていきたいですね。

コロンビアのたまご料理は
日本のカフェ等メニューとしても
なかなか相性が良いので、

ぜひあなたのお店でも
取り入れてみてくださいませ。

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

(関連:【たまごの都市伝説】白身を塗ると〇〇〇が治る!? | たまごのソムリエ面白コラム

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご・鶏のことわざ 2025年11月11日

今回は江戸のたまご話です。


こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

「今日はたまご料理よ♪」

・・・と言われたら、
あなたは『なんの卵』を想像しますか?

 

えっ!? なんのって・・

「たまごって言ったら
ふつーの卵でしょう?」

と、答えるんじゃないでしょうか。

あるいは

「どのブランドの
こだわり鶏卵か、ってこと?」

とおっしゃるかもしれません。

 

いま、
日本で流通する卵の99%は鶏卵
「ニワトリのたまご」です。

でも食べられているのは、
鶏の卵だけじゃありません。

 

「うずら卵」かもしれないですよね。

現に、うずら卵のだしまきを
名物にしている料理店さんもあります。

超レアですがエミューやダチョウ卵だって
手に入れることも可能です。

 

とはいえ、一般的にわが国で
「たまご料理を作る」となると
そこは“鶏卵”一択、悩むことは
まずないですよね~。

 

しかし!

いまからわずか200年ほど前の日本は

いろ~んな鳥の卵を
料理で使っていました。

 

◆多様な江戸たまごワールド!

江戸時代の食材について書かれた本草書
本朝食鑑』(1697年)によると鶏卵のほかに

ツルのたまご

鶩(あひる)のたまご

野鴨のたまご

雀のたまご

のあわせて5種が
『たまご料理として使用されている』
と記されています。

食材の本に載るくらい一般的に食べられていた卵たち、ということですね。

へー。

この5種の鳥はどれも雑食性、つまり、
卵の味が濃くなる『動物性たんぱく』も餌として摂る鳥たちです。

 

ツルの卵が
いちばん高級品だったそうで、

その肉と卵は万病に効く、
とのいわれがありました。

鶴はドジョウなど
ちょっと大きい小魚もよく食べますから
卵の味もけっこう濃厚だったかもしれません

もし現代に続いていたら、

「今日はオムライスだから
大きめの野鴨のたまごに
しようかしら。

明日はおでんだから
贅沢にツルね♪」

・・・なんてことに
なっていたかもしれません。

まず

『たまごの選択』からはいる
たまご料理生活。

うーん、なかなかステキかも!

ちなみに現代では
ツル鳥獣保護管理法
保護されていますから、

卵をもし見つけても
捕って食べることはできません。

残念!

 

◆鳥の肉はもっと種類があった

じゃあ
「もっと他の、たとえばハトやサギの卵だって食べたんじゃないの?」
とも思いますが、

じっさいは親鳥は捕れるけど
巣は探すのが難しかったり
卵数が少なかったり、
卵の流通としては無理がある鳥種が
多かったのでしょうね。

だって、
江戸の料理本に載っている「鳥」は
卵の5種類どころじゃなく、
すんごく多いんですよ。

鳥料理が詳しく載っている江戸の本、
四条流の料理指南書『当流節用料理大全』
には、

なんと82種類の鳥肉と
汁物や焼鳥などその調理方法が
記されています。

文献からひろってみると、

真鶴、こん鳥、黒鶴、真雁、雁金、白雁、
海雁、真鴨、僧鴨、真崎鴨、吉崎鴨、足鴨、
口鴨、小鴨、あぢ鴨、嶋あぢ鴨、赤頭鴨、
川喰鴨、ひでかげつけ鴨、羽白霜振鴨、鈴鴨、
大赤頭、神子鴨、ほひらき鴨、黒鴨、大鷺、
黄色鷺、せせり鷺、いそ鷺、へらさぎ、
かささぎ、おし鳥,山鳥、初ばん、
小鳥鴫(しぎ)、羽根まだら鴫、雲雀鴫、
山鴫、けり、山けり、みそごい・・・

 

うーん、
現代では聞いたことない鳥も多いですね。

こん鳥(昆鳥?)って空想上のトリ
だった気がしますが、
軍鶏のことを鵾鶏(昆鶏・こんけい)とよぶ
地域がありますので、それかもしれません。

ほかの江戸料理本だと、
大きめの鳥として
鶏、家鴨、雉子(きじ)、水鶏、鶏、鴨、
千鳥、鷭(ばん)、雁、野雁、鴨、真鴨、
白鳥、鶴、鷺(さぎ)、青鷺、五位鷺、
クイナ、鷹など19種類

樹に暮らす陸鳥で、
鳩、山鳩、燕、雲雀,雀,ツグミ、ムクドリ、
ヒヨドリ、モズ9種が常食として載っています。

これぜんぶ、
それぞれのレシピがあるくらいには
食肉として食べられていましたから
すごいもんだなぁ、と感じますね~。

ぜんぶ現代に残っていたら、
スーパーの売り場はとんでもないことに
なったかもしれませんね。

ちなみにこれらの料理書は、
国文学研究資料館の国書データベースで読めます。

軍鶏や親鶏などの調理は、
野鳥のための調理法や味付けが
ヒントになることもありますので
ぜひ和食料理店さんはいちど
ご覧になってみてはいかがでしょうか。

 

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

(参照:江戸時代における獣鳥肉類および卵類の食文化 江間三恵子 日本食生活学会誌 Vol.23 No.4(2013))

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの歴史・文学・文化学 2025年11月7日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。
お客様との打ち合わせのために
古い文献やレシピ本を調べることがあります。

ヒントが多いんですね。

 

その中でも、特におすすめでき
日本で入手しやすいものを
ご紹介します。

あなたのお店の、メニューのヒントになれば
うれしいです。

といいうわけで、
今回は画家クロード・モネさんのレシピ本を
ご紹介しました。

僕たちの琴線に触れる、
世界の中でも特に日本で人気な
印象派の創設者です。

僕も大っ好きなんです。

 

外光派といいまして
野外で絵を描く作風の方でして、

当たり前ですが作画のほとんどを、
景色を見渡せる外ですごします。

 

ですがご本人は
外食じゃなくご自宅にこもって
めっちゃいろんな料理をしたそう。

かなりの大食漢でグルメだったとか。

死後に
書き留めた大量のノートが見つかりまして、
それが監修されてレシピ本になっているんです。

 

鶏を飼い農園で野菜を育て、
自宅の池では魚のカワカマスも捕る。

バラエティー豊かな
『美食家モネ』料理の数々は
今でも人を感動させるステキなレシピです。

ぜひ、あなたのお店のストーリーづくりにも
役立ててみるべきです。

 

邦訳本がありまして
日本でも入手可能です。

 

挿絵やモネさんの
睡蓮で有名なあの庭の写真などもあって、
眺めているだけでも飽きないステキ本なんですね。

ぜひ一読してみてください!
おすすめです。

 

ちなみにモネさんは
マネやルノワール、ピサロら友人画家を招き
これらのレシピの料理をよくふるまっていたそう。

 

実家が金持ちなのに
しょっちゅう金欠になって
マネさんに助けてもらっていたので、
そのお礼もかねて食事に誘っていたのかもしれませんね。

 

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

(関連:戦争をかけめぐった卵と料理本 | たまごのソムリエ面白コラム

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご全般コラム 2025年11月4日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

今年の5月に、卵業界にとっては
なかなか衝撃的な研究論文が
ネイチャーに掲載されました。

 

卵がどのように割れるか、
そして強度と
靭性機能に関する
一般的認識に挑戦する』

“Challenging common notions on how eggs break and the role of strength versus toughness”

というタイトルです。

つまり

「どうなったら
卵が割れてしまうのか、
いままでの常識に
挑戦したよ。」

という内容です。

米国マサチューセッツ工科大学・通称MITの
研究チームは、

高精度の計測機器を用いて
いろんな方向から卵に力をかけたり落としたりすることで『卵の割れ方』を詳細に計測し、

また
予測数値シミュレーションを行って
いったい何が起こっているのかを研究したんです。

なんと204個もの卵を
超精密に割って計測しています。

論文はサイトから閲覧可ですので
ダウンロードして読んでみました。

おもしろいですね~!これ。

 

結論から言うと

たまごは縦より
横向きが強い

ということがわかったのです。

え~!!

 

◆常識をくつがえす!?

今までの常識では

卵は
タテからの衝撃や
圧力に強い

というものでした。

なんで「タテが強い」と
されていたかというと
構造の違い。

アーチ形構造って言いまして、
まるく曲がっている方が耐荷重が高い、
逆に平らに近いほど耐えられる荷重が少ない、というのが根拠でした。

 

僕もそう聞いていましたし、
専門書にもそう書いてあります。

じっさい、割れないことが重要な
卵パックは、卵がタテ入りですよね?

 

ですが・・・!

じっさいは横むき(なだらかな側面)、

つまり寝かせた状態の方が、
大きな力に耐えられることが分かったのです。

 

アーチ形の理屈と逆・・!

いったいどういうメカニズムでしょうか。

 

◆試験

まず、どんなふうに調べたのかというと、

・ギューっと押しつぶすテスト(静的試験)

・落とすテスト(動的試験)

この2つを
立てた卵寝かせた卵でやったんです。

なるほど、
じっさいたまごが破損するのって
落とすかつぶすかどちらかですよね。
理にかなってます。

で、その結果は・・・

 

◆やってみると・・・

① 卵を押しつぶしたとき

・卵が割れるまでにかかる力の強さは、縦でも横でもほとんど同じ

・でも横向きの卵の方が少し長く変形できる(しなる)

ことが分かりました。

つまり、

横向きの方が
「エネルギーを吸収しやすい=しなやか(タフ)」

ということだったのです。

 

② 卵を落としたとき

ちょっとずつ高いところから落としていくと・・・

横向きに落とした卵の方が割れにくい結果に

・縦に落とすよりも、横に落とす方が“しなる時間”が長く、力を分散できていた。

となりまして、

押しつぶす場合と同じく
落としたときも
「カラのしなり」が
大事だったんです。

◆結論

・「卵は縦の方が強い」というのは間違い

・卵は横向き(おなかの部分=赤道方向)で力を受けた方が割れにくい。

・卵に必要なのは「かたい強さ」ではなく、「しなやかな強さ(タフネス)」。

ということだったんですね~。

 

◆けっこうすごい話かも

これって、「へー。」
じゃすまないかもしれない
一大事なんですよ。

ぼくたち卵業界にとって
割れ防止」って永遠のテーマです。

ひとつでも割れを減らすために
たまご容器には多くの特許技術が
使われています。

タテヨコ強さの新事実で、
世界で生産される数百億個の
卵の輸送形態、貯蔵形態が

ガラッ!

と変わっちゃう
可能性もあります。

いや~、ワクワクする話ですね。

ご家庭でも案外、昔ながらの「ざるに横置き」がよいのかもしれません。

 

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

 

(参照:Challenging common notions on how eggs break and the role of strength versus toughness | Communications Physics)

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごのビックリ科学 2025年10月31日