小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記SOMMELIER DIALY

江戸の熊とニワトリ

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

連日クマのニュースがすごいですね。

出没情報のあった地域の学校が休校になったり
施設を急遽閉鎖したり、
被害のあった地域の皆様は不安な日々を
すごされているかと思います。

 

木の実の不作が原因か、
なんて言われていますが、
今年だけなのかはたして
年々増える途中なのか・・・。

いずれにせよ、
早く解決に向かうことを祈っております。

 

ぼくたちの住む四国は
クマの害こそ大きくないですが、
シカによる食害が深刻なんですね。

放し飼いのフェンスも壊すし・・・

 

お世話になっていた
元養鶏家のハンターさんいわく、

「このへんのハンターは皆
高齢の方が多いんだ。

何年もたたずにシカ害に
対応できなくなるかもなぁ。」

とのことで、

またいっぽうで
動物愛護的な視点の意見も
多く上がっていて、悩ましい問題です。

 

 

◆生類憐みの令のときはどうしたか

さて、
動物愛護の極み、

生類憐みの令

というものがありました。

 

江戸時代後期
第5代将軍・徳川綱吉さんの出した法令です。

「蚊を殺しただけで遠島になった」
なんてエピソードも残っているくらい
厳しく動物のケアと不殺を求める定めですね。

 

その中に、

クマが出た時はどうするのか?

という想定対応がありました。

クマが
家のニワトリや犬ネコなど
家畜を襲った場合どうするのか?

というケース。

どちらも大事にすべき動物です。

じっさい現代日本でも、
養鶏場がクマに襲われています。

クマからすると
ニワトリなんてごちそうですよね・・。

この場合の法令は、こうなってます。

『熊猪狼のたぐひ、たとへ人を毀傷せずとも、人家に飼をける馬、牛、犬、猫、鶏など傷損すべきさまならば、追払ひ毀傷せしむべからず。もし追払とき、棒にあたりて死すともそは苦しからず。犬猫たとい鳥獣をいため、あるいは己れども咬合は、いたまざるやうに引分べしちなり。』(江戸幕府・元禄8年5月 ・1695)

『熊猪狼のたぐひ,たとへ人に喰掛り申さず候とも,人の養い置き候牛馬犬猫鶏などの鳥獣を損し申すべき体に候はば,追払候て,損し申さざるように仕るべく候。もし追払候節,先へ当り,死に申分は苦しからず候事』(毛利家・1695)

毛利家での通達文書・山口県文書館

現代語に訳すと、

「熊やイノシシ、オオカミが
人をおそわなくても、
家で飼っているニワトリや牛馬犬猫に
ケガをさせそうなときは
追い払って守りなさい。

追い払おうとしたとき
棒や石に当たって死んでしまう事があっても、
それはしょうがない。(罪にならない)」

 

という事で、

・両方動物なら家畜優先

・追い払うときに死なせてしまっても罪ではない

ということのようですね。

 

◆現代と似ている!?

ですので、この

「基本は追い払う」

「無理なら駆除」

みたいな発想は、
現代とちょっと似てるところがありますね。

 

このころも地域によっては
猟銃を使う事もあったのですが、

『撃っちゃったときは
その経緯を書類にして報告する』

など細かく決まっていまして、
このあたりも同じですね。

 

面白いのが、

「もし殺してしまったら
その場に埋めること。
商売に使ったり
食べたりしてはならない」

となっていた点。

あー、なるほど。

 

そうしないと、

「いや~、いきなりクマに
ウチのニワトリがおそわれちゃって、
思わず倒しちゃったんですよね。

もったいないから毛皮と肉は
活用しますね~。

いや~わざとじゃないんです。」

 

なんて言って
乱獲しちゃうかもしれないですからね。

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , ニュースに考える2025年11月17日