鳥さんを牢に入れ遠島にした徳川綱吉【卵食は殺生になるの?】

こんにちは。たまごのソムリエ・こばやしです。
生類憐みの令で有名な
5代将軍徳川綱吉のお話し。
ある日、
綱吉が花見に出かけた際のことです。
空を見上げたとたん、飛ぶ鳥のフンが顔にかかってしまいました。
怒り心頭の綱吉ですが、すでに「生類憐みの令」を発布しちゃったあと、まさか「殺せ。」と命じるわけにはいきません。
そこで、綱吉は鳥を「島流し」にすることを命じました。
江戸に大きな「鳥専用の牢屋」をつくり、
その数が一万羽になるごとに八丈島まで運んで放していたのだとか。
うーん、すんごいムダ(?)ですねェ・・・・・・
ネコが死んだので流罪
蚊を叩き潰して遠島
「そんなムチャな。」
というくらいの重罪が
人に対して適用されていた
生類憐みの令ですが、
「卵」についての罰は
どうだったのでしょうか?
卵は“生命の源”ですが・・・・・・
◆たまごは“殺生”にあたるのか?
結論から言うと、
卵は割って食べても
罪にはなりませんでした。
「そりゃそうじゃん。」
と思うなかれ。
仏教の教えで言うならば、
卵を食べることは
「殺生」にあたるんです。
事実、江戸時代より前には
「卵を食べた。」
という文書記録が
ほとんど出てきていません。
記録できない「罪」であり、
「いけないこと」だったわけですね。
ところが、
江戸時代に入ってその状況は一変しました。
戦国時代に西洋文化が入ってくるのと
同じくしてカステラなど南蛮菓子や
玉子料理も伝わってきたことから、
その後「たまご料理」の文化が
大きく華開くことになるんです。
広く卵が食べられるようになったんですね。
「卵を食べること→
卵は生き物じゃないので
“殺生”じゃないよ。」
という解釈に
一気に変わっちゃったわけですね。

そして徳川綱吉の治世、
1600年代後半に出版されている
『江戸料理集(1674年)』ほか
玉子料理のレシピについての本が
この時期いくつも出版されていることからも、
「卵は『生類憐みの令』的にも食べてかまわないよ!」
という解釈だったと考えてよさそうです。
この「生類憐みの令」は
犬や鳥を保護するだけではなく
捨て子の保護なども含み、
「生き物への慈愛」という意識を
民衆に持たせることに成功し、
治安維持として大きな効果を上げた
として近年再評価されつつあります。
仏教的に「卵食は殺生」であっても、
“政策”として考えるならば
「卵は治安維持とはカンケーないのでオッケーだよ。美味しいしね♪」
という具合だったんじゃないでしょうか。
ここまでお読みくださって、ありがとうございます。


