小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記SOMMELIER DIALY

悲劇!?巨大スパニッシュオムレツ挑戦で大混乱

世界の巨大オムレツ祭りについて
少し前に書いたんですが、

 

そういえば面白い
巨大オムレツ騒動があったなぁ、
と思い出したので、
ご紹介してみますね。


こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

 

ギネス挑戦のオムレツづくり
スペインで大混乱を起こした
エピソードがあります。

 

2015年のお話。

スペイン北部にある
バスク州ビトリア市。

人口25万人の小さな町がこの年、
『美食の首都』賞(Spanish Gastronomy Capital)を受賞したんですね。

この賞は
スペインの食文化と観光振興を目的に、
毎年1都市だけが選ばれる栄誉ある称号。

めっちゃすごい事なわけです。

そこで市長さんは
その記念行事の一環として
市の中心にある広場で

「ギネス記録に挑戦しよう!」

と考えたんですね。

目指すのは、

「史上最大のスパニッシュオムレツ」
(スペイン風オムレツ)

です。

いや、正確には、

スペイン美食の首都協会”が主催し
ビトリア市が費用を出して、
ギネス世界記録挑戦のイベントを
やることになったんですね。

シェフのゴンサレスさん監修のもと、
市で大々的にPRしつつ開催されることになりました。

◆めっちゃ大変!でも成功するも・・・

スパニッシュオムレツって
卵以外に、じゃがいもと玉ねぎが
ぜったい必要なんですね。

世界記録となると準備も費用も大変です。

 

挑戦サイズは4000㎏!

すご~い。

 

当日は大賑わい。

大勢の人たちが準備し、
たくさんの鍋をつかって
卵もジャガイモもすべて手作業で
焼き上げて・・・

ついに4トンの
スパニッシュオムレツが
完成しました!

やったー!!

めでたしめでたし。

 

ところが・・・

ギネスは、

「ビトリア市のオムレツは
ギネス記録とは認められない。」

「“スペイン美食の首都協会”が作った
オムレツは、
現在の記録を超える重量
ではなかっただけでなく

当社のガイドラインに従って
正しく調理されていなかった。」

と、声明を出したんですね。

ええ~~・・!?

 

◆ルール違反だった

つまり拒否された理由は2つ、

まず、

世界記録を超えてなかった。

4トンもあるのに・・・!?

確かにすごいですが、
じつはこの時点の世界記録は、

11トンのオムレツ。

ちなみに一位は
“日本の記録”です。

 

1994年に横浜で
16万個もの卵を使った
11,036キログラムの
スパニッシュオムレツが
作られています。

日テレの番組企画でした。
平成のテレビはすごいなぁ。

 

ビトリア市のはその半分以下
だったわけですね。

うーん、それはちょっと
認定は厳しいですね・・・。

 

これに対し
ビトリア市長マロトさんは、

「日本の記録は
オリーブオイルじゃない!
牛乳が使用されていた。

オリーブオイルは
卵とジャガイモと並んで、
スペイン風オムレツの
伝統的な材料だっ!」

と、主張したんですが・・・

 

さらにもう一つの却下理由が
問題だったんですね。

“正しい調理法じゃなかった”

という点。

◆ギネス認定にはルールがある

ギネスワールドレコーズの公式サイト
ハッキリ書かれていますが、

“世界一”となるには
ガイドラインがあるんですね。

調理の場合は、
「いっぺんにつくること」でしょうか。

ですが、ビトリア市のものは、

「小分けでオムレツをつくって
最後に巨大フライパンの上で合体」

という方式だったのです。

四角い板状に
オムレツを焼いて・・・

パズルのように組み合わせ
おっきな一枚にする。

「それは『小さいオムレツたくさん』でしょう?」

というのがギネスの見解ですね。

うん、まぁ・・たしかに。
そうですよね。

 

◆事前に知っていた!?大もめに。

というわけで、
ギネス世界記録は
却下になったのです。

かかった費用は5万ユーロ
(当時の為替で約700万円)

「残念だったけど、しょうがないよね。」

・・・とは
ならなかったのです。

このビトリア市の
スパニッシュオムレツの挑戦失敗は

バカだなぁ。」と話題になり
遠く海外ニュースにまでなってしまいます。

 

マロト市長は怒り心頭、

「そんなものにお金は払わん。」

と、美食の首都協会へ
5万ユーロの支払いをストップし、

協会は「不当だ。」と訴えて裁判沙汰に・・・。

 

さらには
その直後に
地方選挙で与党が大敗し、
野党と入れ替わったため
市長は失脚

新市長ひきいる市の新政権は、

「なんだこの浪費は・・!?」

「11,000㎏超えの世界記録が
20年前からあるのを知ってて

たった4,000㎏のオムレツの
準備しかしないなんて、

おまえら
最初っから達成する気が
無かったんじゃないの!?」

と前市長を非難します。

対する前市長は

「た、たとえダメでも
記録に挑戦すること自体が
市にとって前向きになれる
意味があったんだよ。」

と抗弁し、
政争まで絡んだその騒ぎが
またニュースに・・という
悪循環に入ってしまったんですね~。

 

◆「作って楽しむ」がいちばん!

結局のところ、
良く調べなかったのが
いけなかったんですね。

そして
『美食の首都』賞に選ばれたのは
けっしてキングサイズの食が
理由ではなかったはずです。

記録より記憶

なんて言葉もありますが、
なにもギネスを目指さずとも

みんなでワイワイ美味しい
オムレツを一緒に作ろうよ!

だけでよかったのかもしれません。

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

(参照:Spanish omelet record attempt: The great Spanish omelet fiasco | Spain | EL PAÍS English)
(参照:Omelet record attempt leaves Basque city government with egg on its face | Spain | EL PAÍS English)

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの歴史・文学・文化学2026年02月28日