小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記 SOMMELIER DIALY

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こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

つい先日、献血に行ってきました。

半年に一回の習慣です。

僕は仕事柄、毎日たまごを食べます。

メニューの試作や趣味、開発、品質チェックなどで多い時で十数個のたまごを一日に食べることもありまして、計算してみると、たまご屋の3代目を継いでからすでに5万個以上のたまごを食べ続けていることになります。

ところで、医学研究発表によると、

卵を食べると血中のコレステロール量は下がります

卵自体にはコレステロールは比較的多く含まれるのですが、

コレステロール総量自体は大きな問題ではありません。

なぜなら人体に必要なコレステロールの7割は体内で作られているからです。

事実、数年前に厚生省はコレステロール摂取量の上限撤廃をしています。

ただし、血中に多量のコレステロールがずっとあると、その油分が血管中で邪魔をして血流を阻害するなど、健康にマイナスな面もあるのです。

たまごの黄身に多くある「コリン」という物質に

両親媒性という油とも水とも親和する効果があるため、

血管中にこびりついているコレステロールを包み込んでミセル化し、肝臓や細胞へコレステロールを片づけてくれるのです。

いわば、血管の掃除屋さん!

なので、血管を狭めてしまう……なんていうリスクを、卵を食べると低くできる、とされています。

下記は僕が半年に一度やっている献血の結果ですが

僕の血中コレステロール値を見ると・・・

少し見にくいですが、基準の線が140~260ミリグラム/dlです。

毎日これだけ卵を食べているのに、

コレステロール値は標準より低い!

うーん、ステキですねェ。

僕はくいしんぼうなので、いくら卵が健康に良くても摂取カロリー自体が多いので、そのヘンをもう少し改善しないといけません。料理の塩分もですね(汗)

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの健康情報(研究など) 2020年05月8日

こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

スペインの伝統的お菓子に「サンタテレサの黄身」(yemas de Santa Teresa)なるものがあるのをご存知でしょうか。

1800年代中ごろにアビラという町で生まれ、今ではスペイン全土で親しまれているお菓子です。

砂糖を溶かしたシロップと卵の黄身を合わせ丸めたお菓子で、見た目も固ゆで玉子の黄身だけを取り出したような色とカタチをしています。

作り方はシンプルですが、とってもクリーミーで卵の風味と甘さがすごくマッチしていて美味!です。

修道院生まれのお菓子なので、スペインの修道院改革を進めたアビラ生まれの聖女・聖テレサさんにあやかってその名前がついているのだとか。

なぜ修道院でお菓子が生まれたのかというと、

むかし昔、修道院ではワインを造り販売していたのですね。

当時のやり方でワインから不純物を取り除き、澄んだお酒にするために使用するのが「卵白」です。そうすると、必然的に大量の黄身が余ってしまう…。

コレを利用しよう!

…という事で生まれたお菓子なんです。

日本の新潟や東北・関西の酒どころで、酒造りで残った酒かすを使った「粕汁」や「粕漬け」が流行ったようなものでしょうか。

ポピュラーすぎて、「イエマ(黄身)食べる?」みたいに省略しても伝わるのだとか。

たまご屋としてはテンションが上がるお菓子です。

作り方の動画です↓

割と簡単ですので、

メニューの関係でちょっと黄身が余った時にでも、ぜひ作ってみて下さいませ。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご全般コラム 2020年05月6日

こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

今回は昔のアメリカで、卵が大人気となったお話を。

19世紀中盤、ついにアメリカ開拓が西海岸に到達した後、そこで黄金が発見・発掘された事から、一攫千金を求める人々が西部に殺到しました。いわゆるゴールドラッシュです。

当時のサンフランシスコ周辺は開拓間もなくまだまだ畜産も不十分、なのに人がたくさん移住してきたわけです。

すなわち、「食べるモノが無い!」

・・・というのが困りごと。

特にタンパク質不足が深刻だったのです。

穀物なんかは大変だけども遠方からなんとか運べる、

野菜などはまぁ・・短期で生育する種類や日持ちするものもありましたのでなんとかなったのですが、問題は肉、魚、卵・・・。人口増からくる食糧不足に加え、なにせ黄金目当ての労働者であふれている町ですから屈強な男ばかりです。血肉を創るたんぱく質がめちゃくちゃ重要なのですね。

とはいえ冷蔵庫の無い時代のこと、肉類は日持ちしにくいですから遠くからの輸送はなかなか難しい・・・

研究者はズバリ、当時のサンフランシスコを「たんぱく質に飢えた町」と評しました。

たんぱく質が不足すると、筋肉の低下と共に思考力の低下が起こるそうです。

話し合いでカタのつかない「荒野の決闘」「アパッチ砦」・・・西部劇ワールドは栄養不足のせいだったのかもしれません。

ちなみにちょうど同時期、江戸の町では“脚気”が大流行していましたが、

これは白米中心の野菜不足が原因。

言うなれば江戸は「ビタミンBに飢えた町」でしょうか。

なかなか興味深いです。

 

カリフォルニア名物となった!?美味たまごとは

さて、一攫千金を目指す西海岸のあらくれ者達を救ったのが「たまご」なんです。

カリフォルニア州、サンフランシスコは海に面した町です。気候も良く、周辺の島々には海鳥が沢山やってきて巣をつくります。

ちょうど、最盛期は5月前後、いまくらいの時期ですね。egg_eggwar201706.jpg

海鳥のたまごは味も濃く風味抜群です。絶品美味しいこともあり、とにかく貴重なたんぱく源として年に50万個もの海鳥・ウミガラスのたまごが食べられていたのだそうです。逆に「米国最西端サンフランシスコじゃないと新鮮な卵が美味しく食べられないんだぜ」という名物料理になったわけです。

その後、ゴールドラッシュが落ち着くころには鶏の大量飼育方式が普及しまして、海鳥のたまごから鶏卵へ徐々にシフトしましたが、卵の食べっぷりは変わらなかったようで2007年頃までにはカリフォルニア州は全米でTOP5に入るたまご大生産地になりました。上位5州だけでなんと米国消費量の半分を生産しているのですが、飼料の主成分となるトウモロコシの大生産地でないにもかかわらずこれだけの大規模生産を行っている州はカリフォルニアだけ。

きっと開拓時代の「たまごフィーバー」が深く根付いているのに違いありません。

(※近年ではカリフォルニア州のたまご生産量が目立って減少していますが、これは住民投票によって鶏の“大量生産飼育方法”が禁止になったせい。それだけ鶏と卵に愛情が深いともいえるのかも…!?)

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

(関連:極上の卵をめぐって銃撃戦!?西部劇で起こった「卵戦争」_たまごのソムリエ面白コラム

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの歴史・文学・文化学 2020年05月4日

こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

先日、あの「新しい地図」稲垣吾郎さんと、ラジオ番組でお話をしました!

『編集長 稲垣吾郎』という番組で、稲垣さんが“架空の雑誌編集長”としていろんな人と話をしたり紹介したりする番組です。

稲垣さんも大の卵好きということで、極上の玉子料理の作り方やスーパーで売っている卵を、より一層美味しく食べる裏技などに加え、かなりマニアックなたまご話で盛り上がりまして、とっても楽しいひと時でした!

(番組URL)http://www.joqr.co.jp/goro/

カテゴリー | ソムリエ日記 , 取材・掲載・ご紹介 2020年05月1日

こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

不要不急の自粛、という事で全国のご飲食店さまが休業・もしくは短縮など何らかの自粛をおこなっていらっしゃいます。

食事のご提供を自粛し、
テイクアウトのお弁当等を
販売されていらっしゃる店舗様も少なくありません。

ただ、
付加価値の高い高級料理店ほど、
テイクアウトとなると一点問題がでてきます。

それは「体験」。

ご来店されるお客様は、
なぜいらっしゃるのでしょうか?

それはお店で
「非日常」を体験したいから。

ひと時を忘れ、
お店のステキな雰囲気やサービス、
美味しい料理を楽しみたくていらっしゃるのですよね。

ですから、たとえば
客単価平均2000円のお店で

2000円のお弁当を
テイクアウトでお出ししたとしても、

家に帰って雑然とした、
ベランダに洗濯物が見える部屋で
それを食べたお客様には・・・

お店で感じていた
2000円分の満足度は無いのです。

 

◆美味しいには3種類ある

あるご飲食店の幹部さんから教えて頂きましたが、

味には

前味(まえあじ)

中味(なかあじ)

後味(あとあじ)

の3つがあるそうです。

 

前味とは、
来店した時のお店の雰囲気、
選ぶ・待つ間のシズル感と期待

 

中味とは
料理そのものの味

 

後味とは、
食後にゆったりと
気持ちよいひと時を
すごせるかどうか。

 

特に、単価の高いお店では
料理そのもの(中味)に加え、

“前味”と“後味”
2つの「体験」の価値が
とっても高いわけです。

 

ですが、
テイクアウトだと

この2つの体験が無い…

とっても素敵な料理と
ステキなお店であればあるほど、
ギャップが大きくなってしまうのですね・・。

 

「体験」価値を高める工夫が・・・

ですので高級店ほど
もしテイクアウト販売を
されるのであれば、

 ①お店で食べる「体験」に少しでも近づける

 ②別の「体験」ができるメニューにする

の2つが求められるのではないでしょうか。

①は、あなたのお店がもし
客単価の高い飲食店ならば、

高級なこだわりのお弁当を
お届けするときに、

たとえば最初の注文に
「ステキなテーブルクロス」
をプレゼントする、

それだけでお店の非日常に
少しでも近い体験を感じてもらえるかもしれません。

いや、
お店の雰囲気が
少しでも伝わるなら、
お花でもステキなナプキンでも
なんでも良いのです。

 

あなたのお店のイメージを
ご自宅で感じて頂けるなら、

それはすごくステキな事で、
コロナ後の来店
強く結びつくんじゃないかと思います。

 

そして②別の「体験」は、
例えばうどん店だったら、
お店のステキな技と包丁機材で切ったうどんよりも、

麺棒とセットで
うどん玉を提供して
「自分で伸ばして切ってくださいね。」
というテイクアウトの方がうれしいかもしれません。

ワイワイ言いながら
親子でうどんを伸ばす、切る…、

たとえ不ぞろいの麺でも
自粛要請中に
「家族でうどんをつくる」
という「体験」
が味わえるからです。

 

ある串カツ屋さんの人気メニューに
「自分でつくるポテトサラダ」
というものがあります。

潰す前の「ふかしたじゃがいも」と
野菜・ゆでたまご・マヨネーズを
すり鉢に盛って提供し、

自分で好みの潰し具合にして楽しむ
メニューです。

テイクアウト販売でも、
面倒くさくない範疇で
楽しさ体験を味わえるものがあれば
よりファンになってくれるのではないでしょうか。

 

「乱世の英雄」という言葉がありますが、

こんな状況だからこそ大企業もやらない、
お客さんに喜んでもらえる
新たな取り組みを考える
大きなチャンスがきっとあります。

ここまでお読みくださって、
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , 飲食店さまへ 2020年04月29日

こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

10年ほど前のある日のこと

会社に一本の電話がかかってきました。

内容はクレームです。

とにかくすごい剣幕で、お怒りの様子。

すわ大ごとか!?と・・・お話を聴いてみると、

「おたくは詐欺だ!」

白たまごに赤いペンキを塗って、高く売っている。客をだますのか!」

…との事でした。

もちろんそんな??ことはしませんので、

とにかく誤解を解こうと、

どうしてそう思われたのかを尋ねました。

すると、

「家内が買った赤卵のカラを金属タワシでこすったら、赤色がハゲて白くなった!色を塗ってるからだ…!この詐欺師め!」

との事。

思いもしなかった抗議内容に言葉を失ったのですが・・・

 

卵殻の色はなぜ付いている…!?

そもそも赤卵って、なんで赤いんでしょう?

これ、「擬態」の色なんです。

自然の中で、我が子である卵を捕食する敵から守るための色です。

ですから、ワラや土の上で巣をつくるニワトリさんの卵は、もともと全て赤茶色でした。

草原に住む鳥・エミューの卵のカラは真っ青ですし、葉の生い茂る木の上で巣をつくるカラスやこまどりの卵は緑青色です。(ちなみに白いカラの鶏卵は、人間に品種改良されてから)

でも……どの鳥も、

どの卵のカラも、その内側は真っ白なんです。

卵殻の主成分は炭酸カルシウムです。チョークの粉と同じ成分ですね。すなわち白色。

そして内側まで擬態する必要は無いですから、色は付いてないんです。

たまごは実は表面だけに色が付いている、それもほんの数マイクロミリの厚さのみ色素が入っています。

ちょっと硬いものでこすってやると、削れて下の白地が現れるのです。

赤卵カラの内側は真っ白

このことを人にお話すると、

「初めて気づいた!」

という方が意外と多くいらっしゃいます。

あまりに日常過ぎて、

そして普段は卵の中身に用があるわけですから、

まじまじと卵のカラを観察することってあまり無いのかもしれません。

 

前述のクレームのお電話を頂いたお客様には、

「たまごの殻の赤色はそもそも表面にごく薄くあるだけ」

「どこで買った赤たまごも同じ。金属たわしで削ればそうなる。」

…という事を

ご訪問のうえ目の前でご覧いただき、理解して頂きました(汗)

 

誰かの「あたりまえ」と信頼の大切さ

あまり知らない世界の事って、なんだか疑心暗鬼になりやすいですよね。

ときどきネットやTVで“陰謀論”を目にするたびに、このクレームを思い出すんです。

芸能人の麻薬逮捕は目を逸らすための政府の陰謀だ!

給食のパンは小麦で世界支配をたくらむGHQの陰謀だ!……

なんて話も聞きますが、もしかすると業界の人なら「いや、それって変な事じゃないよ(汗)」って言いたくなる事なのかもしれません。

例えば卵のカラなら、

「そもそも……一個ずつ色を塗っていく方がコストも手間も大変だよな。するわけないか。」

と落ち着いて考えてもらえたなら、誤解でご立腹いただくことも無いわけです。

よく知らないからこそ、悪いイメージにつなげてしまう。

ですので、

普段から「小林さんのところなら間違いないよ。」と思ってもらえる信頼づくり、また自分が知らない業界の事は一歩立ち止まって考えてみないといけないなぁ、と感じております。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご全般コラム 2020年04月27日