小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記 SOMMELIER DIALY

鶏さん・鳥さんのコト 記事一覧

閑古鳥が鳴いてる・・・

なんて言うと当然
不景気でイヤ~なイメージです。

ですが実は、
この『閑古鳥』って良い世の中の象徴で

理想のニワトリのことなんです。


こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

孔子の『書経』にでてくるニワトリのお話しを。


中国伝説の名君・堯さんがあるとき、

城門の前に
でっかい太鼓をすえて

それからこんな提案をしました。

「民がもし
ワシの政に不満があって

なにか諫言をしたいなら、
この太鼓をたたくがよい。

その者の話を聴こう。」

ところが、
すばらしい政治を行っていた王様
堯王に対してだ~れも不満を持っていなかったので、

その太鼓をたたくものは
一人も現れませんでした。

この誰も叩くものがいない太鼓は、

王様を諫める太鼓
諫鼓(かんこ)と呼ばれ
太平の世の象徴になったのです。

 

この伝説が日本に伝わり、

善政のため
太鼓があまりに静かで
その上に鶏がとまる、

この太鼓の上のニワトリを、
平和な政治を表すシンボルとして
かんこどり(諫鼓鶏)」と
呼ぶようにになりました。


・・・というお話し。

ステキな伝説が日本に来て
太鼓から上に乗るにシフトしたのは
ちょっと面白いです。

 

そして
お店がヒマで人が来ない方の“閑古鳥”は
叩かれない太鼓の“諫鼓鶏”から派生した
当て字」なんですね。

ようは、ヒマはヒマでも
『何事も問題が無い
素晴らしい平和な時』
なのが
「かんこどり」ってことです。

そういえば
お店の“忙しい調理場”を
戦場』なんて例えますが、
ヒマ=『平和』の反対ですから
あながち間違ってないのかもしれません。

 

ちなみに神社のお祭りの山車の上にも
平和を祈念してこの諫鼓鶏が乗ってます。

これは
江戸幕府2代目将軍・徳川秀忠さんが
太平の世となったことを記念して
日枝神社山王祭に「諫鼓鶏を出せ」
命じたのが始まりだとか。

(東京都神社庁HPより)

木彫りの工芸品や日本画で
太鼓にニワトリが乗っている絵を
見かけますが、これが平和祈願の諫鼓鶏なんですね。

してみると、
飲食店さん洋菓子店さんにとっての
「かんこどり」とは、
お客さんが来ないヒマな状態じゃなく

いつも通り
お客さんが喜んでくれている

万事うまく商売順調な状態のこと
を言うんでしょうね。

それならば、
ぜひとも歓迎するべき状況ですね。

 

いや~、もしウチの事務所に
この太鼓置いたらどうなるだろうなぁ。

「これやってください!」

「ここがまだ足りてないです!」

なんてめっちゃならされまくるかも。

うるさくてびっくりして
ニワトリは近づきもしないかもしれませんね・・・(汗)

 

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

(参照:南方熊楠「十二支考」)

(参照:「鶏」)

カテゴリー | ソムリエ日記 , 鶏さん・鳥さんのコト 2025年01月17日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

本日は『成人の日』でしたね。

 

駅前で晴れ着の若い方を
お見掛けしまして、
あ~、いいもんだなぁ、と
僕も晴れ晴れした気持ちになりました。

同窓会なんかがあると思うんですが、
以前、ある方がSNSで

「成人式ってのは
『ひさびさに昔の友に会う日』
じゃなくて
『もう一生会わない友と
最後に会う日』だ。」

っておっしゃってましたが、
いやまったくその通りだと思いますね。

小学校の友人たちとなると
その後のコミュニティが
おおきく違ってきますから、

おお!ひさしぶり~!
なんて声かけあったその後
もう30年ちかく会ってない…!
そんなクラスメイトがたくさんいます。

元気でやってるといいなぁ。

 

◆ニワトリの“成人”っていつくらい?

さて、ニワトリは小さいころは
まさに「ひよっこ」でして、

そこからヒヨコ→ニワトリと
大きくなるわけですが、

人間の「成人」にあたるオトナは
成鶏」(せいけい)と呼ばれます。

採卵鶏では、
たまごを産むようになったタイミングが
成人の日にあたるでしょうか。

だいたいヒナとして生まれて
120日くらい。

人間の20年(18年?)とくらべると
ずいぶん早いですね~。

 

そして、若いうちは
非常に張りの強い
しっかりした食感のたまごを産みます。
そして、年を取るごとに
食感がふんわり柔らかめに
なってくるんですね。

ですので農場では、
全体の品質が大きく変わらないように
ロットごとにちがう年齢のニワトリを
年に数回に分けて導入していきます。

人間の新卒採用を
年々やっていくようなイメージでしょうか。

 

あたらしい若鶏のたまごが
生まれ始めると、ワクワクして
テンションが上がります。

新年の最初は
あまり鶏の入れ替えが無いため
難しさはありますが、

春の新入社のシーズンには
「春のフレッシュフェア」に
結び付けて

「春の若鶏フェア」

なんて企画もお店でできるんですね。

ぜひ楽しんでルーキーの卵を
メニューに取り入れてみてくださいませ~。

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

(関連:日本で絶対食べられない卵料理 | たまごのソムリエ面白コラム

カテゴリー | ソムリエ日記 , 鶏さん・鳥さんのコト 2025年01月13日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

『ニワトリが鳴いたら朝だよ』

が重要なキーになる、
世界中にある物語の紹介第5弾です。

今回は日本のお話し。


和歌山県の串本海岸に、
大島に向かってまっすぐ立った岩石が一列になって
並んでいる、

『橋杭岩』という名所があります。

 

昔々、弘法大師が布教に訪れた際
大島の住民がとても不便だったのを見かね、

「橋をかけよう。一晩で。」

と考えました。

大勢の工人を指揮して作業にかかり
順調に工事は進んでいましたが、

夜半にアマノジャクが現れたのです。

「じゃまをしてやろう。」

と、串本にある民家のニワトリの

止まり木の竹の中に、
お湯を注ぎ足しました。

ニワトリはびっくりして
いっせいに鳴き始めたので、

工事をしている人夫たちは

「朝になったぞ!」

とあわてて工事をやめてしまった。

その際の
つくりかけの橋脚が風化して
いまの橋杭岩として残っているのです。


・・・というお話し。

 

・・なんでしょうね?
弘法大師さまも、一晩じゃなくて
工期を一年くらいとっても
良かったんじゃないでしょうか・・?

 

じつは高名な仏教者って
土木工事の達人でも
ありました。

仏教者ですから
「仏教を広める」のが本業なのですが、
この当時の仏教者さんは土木工事
あちこちでやっているんですよ。

近い世代の名僧・行基さんも
20を超える温泉や橋を建ててますし。

弘法大師さんも
唐で学んだ最新の工法を駆使して
ダムや橋を各地に建て、
人民を救済していたんですね。

 

ですからもしかすると、
他の地域で相当困っている人がいて

『すぐに発たないといけない!』

なんて状況だったのかもしれません。

誰かに引き継げば良いのだけど
そんな人材がいるならばとっくに
彼らだけで建てていたわけで、

素人だけに任せると労災大ケガに
つながるかもしれず泣く泣くあきらめた…のかも。

 

あと、お湯で

ニワトリを一斉に鳴かせる方法

も興味深いですね。

ニワトリの朝鳴きは
体内時計でほぼ同じ時間に鳴くことが
分かっています。

当時の人は
疑いなく『鳴き声=定刻』として
時計代わりに活用していました。

また、

「光や音など刺激で目覚め鳴く」

「一羽が鳴くと他も次々鳴く」

という習性がありますから、
手前のニワトリだけに刺激を与えて起こし

「一斉に鳴かせる」
ことは可能

なんですね。

ちなみに、
このお話しには
別バージョンがあります。


アマノジャクは弘法大師の旅のお供

この地の不便な様子を見て、

「民を助ける橋をかけようぞ!
人に見られないよう

一晩で。2人で。」

と、橋を作り始めた

メキメキと大岩をかついで
どんどん橋脚をつくっていく大師さまに
引け目を感じ、

アマノジャクは
「このままだと立派な橋ができてしまう。
どうにかして、この計画をつぶそう。」

・・・と考え、

ニワトリの鳴きまね
したのです。

すると、
弘法大師は
「しまった!もう朝になったのか。」

と、工事をあきらめてしまいました。


・・というお話し。

こっちは和歌山県HPにもある
お話しなんですが、

さすが高野山のある地域だからか、
空海様がアマノジャクを従え
自身も岩をかつぐ
スーパー怪力マンになっています。

個人的には現場監督的な前者の
弘法大師さまの物語が
現実味があって好きですね~。

竹筒にお湯をそそぐ、というギミックも
アマノジャクの知恵と工夫が感じられて
ちょっと面白いです。

少なくともただの鳴きまね
あっさり弘法大師さまがひっかかるより
ストーリーに知性を感じますね。

 

飲食店さまでも
エピソードにちなんだメニュー、
鶏肉料理のパワーランチとか
なにかできそうな気もします。

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

 

(関連:『鶏は朝』という伝説 その①【ドイツ・悪魔城編】 | たまごのソムリエ面白コラム

(関連:『鶏は朝』という伝説 その②【中国・パワー王様編】 | たまごのソムリエ面白コラム

(関連:『鶏は朝』という伝説 その③【日本・デイダラボッチ編】 | たまごのソムリエ面白コラム

(関連:『鶏は朝』という伝説 その④【中国・石積み妖鬼編】 | たまごのソムリエ面白コラム

 

 

カテゴリー | ソムリエ日記 , 鶏さん・鳥さんのコト 2024年12月20日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

スタッフのOさんが
少し前に岡山へ行ったお土産を
持ってきてくれました。

岡山名物「桃太郎」
登場キャラのきびだんごです。

 

味も美味しいですし、
見た目が楽しいと
盛り上がりますね!

 

さて、ごぞんじ
桃太郎お供のイヌ・サル・キジの
キジ。

じつはもともと
桃太郎のお供は
キジじゃなくて
ニワトリだった

・・・と言ったら
驚くでしょうか。

いやそもそも桃太郎って
なんでお供が3匹の小動物なんでしょう?

 

◆方角の話からはじまった!

もともと「鬼」って

『鬼門』

風水で言う

良くない方角のこと

を指していたんです。

鬼門=北東、
丑寅(うしとら)の方角ですね。

 

ウシとトラ・・
なので
昔話にでる鬼さんって、
ウシの角をつけて
トラのパンツを履いているんですよ。

 

鬼門(うしとら)の方角・北東って
建築で言うと日当たりが悪くって
じめじめしやすい方角なんですね。

 

ですので古来より
「この方角はダメ。
鬼が通るところだ。
玄関なんかにしちゃいけないよ。」

と言い伝えてたんです。

そして、
その鬼門の『反対の方角』

申・酉・戌
(さる・とり・いぬ)

なんですね~。

3匹がセット=南西の方角は、

疫病や体調不良になる
じめじめ鬼門の真逆、

あったかくて
陽の気あふれる
邪気を払う方角

なんです。

 

そして酉(とり)といえば
一般的にニワトリのこと。

太陽神・天照大神さまに仕え
邪気を鳴き声でふっとばす
スゴイ霊鳥です。

 

◆世界共通で鶏は「太陽のトリ」

古来より
ニワトリは暗黒の夜を追い払い
光明の太陽を呼び出す霊鳥として
古事記にも出てきます。

ちなみに神社の鳥居は
神話の霊鳥ニワトリの止まり木です。

夜明けとともに正確に鳴くニワトリは
世界中で「太陽のトリ」でして、

中世ヨーロッパでは
雄鶏が太陽の象徴として
家の屋根や教会、戦士の兜に
ニワトリ絵が付けられていますし、

古代インドや中国では
「太陽の霊鳥」とされて
インドでは食べるのも禁止だったくらい。

 

◆『強い』イメージが無くなった…!?

そんなニワトリさんですから
まさに鬼退治にはうってつけの
スーパー動物なんですよ。

じゃあお話しは、なんで
ニワトリからキジに変わったの?
かというと、

ニワトリが庭の鳥だから。

桃太郎が広まりだした
江戸時代初期ごろはすでに
結構な数のニワトリが
農家で飼われていまして、

身近をウロウロしている
キャラでは、
ちょっと冒険ぽくない・・・

バトル話に
イメージが不向き

になっていたんですね。

 

今でいうなら
ペットのネコみたいな。

その逆に、
キジのイメージはだんだんと
「強い」にチェンジしてきたんです。

 

◆だんだんイメージアップしたキジ

まず、「日本の国鳥」になるくらい
野山にた~くさんいます。
ニワトリと違って野生のイメージです。

 

そして、室町時代より前は

「キジも鳴かずば撃たれない」
→うっかり鳴いて撃たれちゃう存在

「日本神話では伝言ミスで殺される」
→失敗屋

と、「ちょっと抜けたイメージ」でしたが、
江戸時代にはイメージが一変します

 

キジは山火事で
自分が焼け死んでも
かぶさって卵を守る

『焼野の雉(やけののきぎす)』

なんて「いわれ」ができる
勇気のイメージがつくんですね。

ニワトリと評価が逆転(?)したカンジが
ありますね~。

桃太郎の物語的には、
ニワトリ→キジの交代で
『聖なるイメージ』こそ
なくなっちゃいますが、

『勇気イメージ』がプラスオン、
同じトリのなかでは冒険譚として
悪くない配役なんですね。

 

◆イメージを料理メニューに!

このニワトリのイメージは
お店の料理にも活かせるかもしれません。

桃太郎からは無くなりましたが
「ニワトリ=聖なる」は健在でして、

たとえば
『正月の料理に鶏肉』
の風習は日本の各地でみられます。

年明けやめでたい料理に
うまく活用できるんじゃないでしょうか。

 

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , 鶏さん・鳥さんのコト 2024年12月5日

こんにちは!

たまごのソムリエ・こばやしです。

 

『ニワトリが鳴いたら朝だよ』

が重要なキーになる、
世界中にある物語の紹介第4弾です。

今回は中国のお話し。


むかしむかし、

中国・青洲の嫌城という町に
あるおばあさんが住んでいました。

夜中にふと目を覚ますと、
家のそとでヒソヒソ話す声がする。

なんだろう?

 

と聞き耳を立てると
なんと!

大勢の妖鬼があつまっています。

「この村を
石壁で取り囲んで
逃げられなくするぞ。」

「村人を一人残らず
食べてしまおう。
今夜中に。」

と話をしている。

 

なんてこと・・!

とあわてていたら、たちまち
石を運ぶ気配がしはじめます・・・。

どうしよう!!?

皆を起こして逃げる?
それとも戦う?

妖鬼たちに気づかれずに
全員で逃げるのはとてもムリそうだ。

 

老婆はめっっちゃ考えます。

そうだ・・!

朝だと思わせれば
良いんだわ。

そこでおばあさんは

ミノを手で打ってバサバサと
羽の音を出し、

ニワトリの鳴き声をマネした

のです。

すると、

寝ていたニワトリたちが
朝だとかんちがいして
一斉に鳴き始めたため、

 

「なに!?

もう夜明けか。

しまったァ!」

と妖鬼たちは
我先に逃げ出したのです。

町の人はおばあさんに感謝し、
その知恵を徳として
石婆の廟を建てたのだそうな。

 

◆鶏=朝のイメージな伝承

以前にご紹介したドイツの悪魔城、
日本のデイダラボッチと同じく、

鶏が鳴く イコール 朝

というイメージを活用した伝説ですね。

雄鶏は夜明けとともに鳴く
『時間に正確な本能』のおかげで、

もっと肉がおいしい鳥や

より従順で飼いやすい鳥を退けて

世界一飼育される家畜になりました。

 

いま世界にニワトリは230億羽!もいます。

これは他のトリの10倍以上
すずめの40倍もいる計算になります。

結果的には
世界で最も増えている種、
と言えるんです。

それくらい、
『時間を知る』ことが
重用だったということですね。

 

ちょうど稲や小麦が、
『人に栄養あって美味しい』
を強みとして益をもたらすことで
繁栄種となったのとよく似ています。

 

ちなみに中国独自のイメージでは
『鶏』と『吉』の発音が似てるため
吉兆のイメージがありまして、

また

『雄鶏は妖怪を喰ってしまうので
悪鬼妖怪はニワトリを恐れている』

なんて民間伝承もあります。

 

そのためか、中国のお話しでは
祀りごとや縁起の良いエピソードでは
ニワトリが良くでてきますね。

今年、中国からの来日客は
コロナ前の過去最高を更新するそうで
インバウンド消費も
過去最高の2019年の5.3兆円を
たった9か月で超えています。

ニワトリの縁起良いイメージを
うまく取り込んで

飲食店さんの日本料理で
演出することもできるかもしれません。

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

 

(関連:『鶏は朝』という伝説【ドイツ・悪魔城編】 | たまごのソムリエ面白コラム)

(関連:『鶏は朝』という伝説 その②【中国・パワー王様編】 | たまごのソムリエ面白コラム

(関連:『鶏は朝』という伝説 その③【日本・デイダラボッチ編】 | たまごのソムリエ面白コラム)

(参照:大清一統志)

カテゴリー | ソムリエ日記 , 鶏さん・鳥さんのコト 2024年11月21日

本日はニワトリに絡んだ故事を。


こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

アメリカ大統領選挙、終わりましたね。

民意たる結果も興味深いですが、
それ以上に

「真のリーダーはどっちか。」

を長い期間かけてじっくりと
全国民が考えて判断できる、

そんな米国大統領選挙システム
とても面白いです。

パッと見た印象がさいしょ良くても
何度も何度も公開討論したり
スピーチすることで、

「あれ!?
見た目の印象とちがうな。」

なんて分かってくるわけですね。

 

そういえば、
鎌倉期の仏教説話集『沙石集』
こんなニワトリのお話しが出てきます。


天竺(インド)に
質多居士さんという在俗の聖者が
住んでいました。

そこに、善法比丘という
しょっちゅうやってきては供養を受ける
あつかましい僧がいたんですね。

あるとき、
居士さんが
遠方から来た僧侶たちを
手厚くもてなしました。

それを見た善法比丘、

「ずるい!
なんであいつらだけ!!」

・・と、
おおいにねたみ
さんざん悪口を言ったのです。

居士さんはそれを聞いて、

 

「ワシは昔、諸国を旅していた。

ある国で、

見た目はニワトリなのに
鳴き声だけがカラスそっくり

に鳴く鳥を見たんじゃ。

鶏と烏(カラス)の間に
生まれたトリだから

「烏鶏(うけい)」

と呼ばれておった。

 

いま、
仏門にいるのに無頼の徒
そっくりの言葉を吐く
お前さんを見て、

ワシはこの『烏鶏』を
思い出したわい。

こう言って諭したところ、
それ以来二度と善法比丘は
姿を見せなくなったそうな。


・・・というお話し。

 

『言動』と『本質』を
一緒に高めなさい、
ということですね。

職業的「プロ意識」に
通じるものがあります。

 

教師や警察官は僧侶と同じく
相応の「言葉づかい」を
求められるでしょうし、

料理人さん、パティシエさんは
食や衛生面に関しては
人よりも厳しい倫理観と行動が
求められるでしょう。

ぼくたち卵屋であれば、
生命や食材に関する敬意は
誰よりも高く持った言動を
しなくてはいけないはずです。

あと余談ですが、
ニワトリはキジ目でカラスはスズメ目
かなり離れた種。

交雑することはあり得ないみたいですね~。

つまり烏鶏(うけい)は存在しないんです。

 

◆烏骨鶏という実在のトリ

でも、
烏骨鶏(うこっけい)なるニワトリならいます。
マルコポーロの東方見聞録にも出てくる
昔からいる伝説の鶏。

これは皮ふや内臓が真っ黒

「骨まで黒い」
と言われたほどなので

「まるでカラスみたいだ。」

という意味で

「烏(からす)骨(ほね)鶏(ニワトリ)」

となったもの。

カラスとのハーフではありません。

 

烏骨鶏のたまごは
ちょっと小ぶりですが
弾力性も強く黄身も割合多くて
しっかり楽しめるおいしい卵。

一週間に一度しか産まないため、
だいたい普通のたまごの7倍以上高い!
のがネックですが、

上記の「烏鶏(うけい)」の教えに
思いをはせながら一度食べてみるのも
面白いんじゃないかと思います。

 

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

(関連:【納涼】たまご・にわとりの怖い伝説 その2 | たまごのソムリエ面白コラム

カテゴリー | ソムリエ日記 , 鶏さん・鳥さんのコト 2024年11月9日