小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記 SOMMELIER DIALY

面白たまご話 記事一覧

英語で

「昨日うっかり
『ガチョウの卵』をゲット
しちゃったよ。」

・・・と言われたら
どう答えますか?

 

正解は

「大丈夫?痛くなかったですか?」

です。


こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

先日車から荷物を出していて、
うっかり頭をぶつけてしまいました。

「いてて・・・あ~、こりゃ

ガチョウのたまごだな。」

と一人考えちゃいました。

 

じつは英語で、

『ガチョウのたまご』
(goose egg)は
「たんこぶ」のこと
を指します。

あたまを打ったらできるのが
たんこぶですから、表現としては

「アタマに乗ってるガチョウたまご」
(goose egg on the head)

です。

なかなか面白い言い回しですね~。

米国の子育てニュースサイト
なんかにも、

“Goose Egg on the Head? Here’s What To Do”
(頭にガチョウ卵?対処方法は)

みたいな記事が載ってます。

 

そういえば
ハワイ生まれの絵本作家
リズ・ウォンさんが描く

「ぞうのヘンリエッタ」

という大人気絵本がありますが
このストーリーの始まりが
ガチョウたまごなんです。

————–

ゾウのヘンリエッタ
水浴び中に

ガチョウのたまごを
頭にのせてしまい、

たんこぶと勘違いして
包帯を巻いていたら

そこからヒナがかえってびっくり!
子育てに奮闘する・・

————–

というお話し。

 

これも日本人的には
卵がアタマに乗るかなぁ?
ちょっとヘンな感じですが、

英語圏の方からすると
言葉通りというか

「そのままやないかい!」

・・とクスッと笑える
ダジャレ構図なんですね~。

 

◆なにかと不名誉な?「ガチョウたまご」

ガチョウのたまご、って
他にも意味がありまして、

「0点をもらう」

という時につかいます。

テストとかスポーツで負けたときとか、
ですね。

 

たんこぶと同じで、
まるっこい0のカタチが
卵と似ているから付いた表現です。

大谷翔平選手が
ピッチングで活躍しまくっていたとき、

『今期の大谷翔平は
ガチョウ卵を配りまくっている』

みたいな表現を
見かけたことがあります。

「0点をいっぱい与える」という意味ですね。

たんこぶにしても0点にしても、

比喩としてもらっちゃう分には
うれしくないのがガチョウ卵ですね~。

 

◆じっさいは美味しい!ガチョウ卵

何度か書いてますが、
ガチョウのたまごはニワトリより大きく
黄身の割合も多いため
スクランブルエッグや
キッシュなんかで美味しいんです。

ガチョウたまごは
ドイツにも「ぜいたく品」としての
ことわざがありますが、

じっさいには珍重されている
良いたまごです。

機会があれば、
ぜひ食べ見てほしいですね~。

 

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

(関連:ガチョウのたまごはお得!?【たまごのことわざ その79】 | たまごのソムリエ面白コラム

カテゴリー | ソムリエ日記 , 面白たまご話 2025年01月10日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

いつも年初に干支とたまごの話を書くんですが、
今年は巳(へび)とたまごについて。

 

日本人は世界トップクラスに卵好きですが
実はヘビも卵が大好き。

かなりの種が卵を常食しています。

ペットで人気のアオダイショウも
たまごを食べますし

小さいヘビさんも
小鳥などのたまごを捕食します。

 

たまごを丸のみして
器用にカラを後から出すんですよ。

 

アニメ「ガールズバンドクライ」でも
登場人物トモさんが飼うヘビ『若様』に
うずらたまごをあげるシーンが
ありますね。

◆たまごしか食べないヘビも!?

「タマゴヘビ」っていいまして

生涯たまごだけを食べるヘビ

がいます。

卵以外食べませんから、

歯もありません。

いらないんです。
ひっかかりますし。

 

とんでもないサイズまで
食べることができまして、

自分の太さの数倍もおおきい卵を
まるっと飲み込みます。

飲み込んだあとなんて
まるで「ツチノコ」です。

 

たまご好きニンゲンとしては
シンパシー感じますね~。

 

◆目玉焼き=ヘビの〇って?

アメリカ南部では
目玉焼きを古い呼びかたで

「スネークアイ」って
呼びます。

これは
2つ玉の目玉焼きのこと。

2つ黄身が蛇の目みたい、
ってことですね。

でもヘビの目って
虹彩がタテ長ですから、
あまり黄身っぽいくないんですよね~。

どういう由来でそう呼ばれるのか
ちょっと興味ありますね。

そういえば
ダイスの目が「1」「1」とそろう
いわゆるピンゾロのことも英語で
スネークアイ」って言います。

「〇」「〇」まん丸ふたつですし、
もしかすると上記の『目玉焼き』から
派生したのかもしれません。

なんにせよ、
今年のヘビさんは『年神様』です。

たまごとも大いに絡む話題で
盛り上がったらいいなぁ、
縁起よいなぁ、と感じますね。

 

あなたのお店のたまごメニューでも
たとえばシンプルな目玉焼きでも、

「知ってますか?
目玉焼きの“目玉”って
『ヘビの目』なんです♪」

なんて風に伝えられれば

なにがしかのワクワクな
フックになりそうです。

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , 面白たまご話 2025年01月8日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

去年の夏ごろに、
ちょっと面白いたまごクイズがツイッターでバズってました。

 

『6個の卵がある。

2つ割っちゃった

2つは焼いた

2つは食べた

いまいくつ残っている?

99%がまちがえる問題』

“I have 6 eggs
I broke 2. I fried 2.
I ate 2.
How many are left?
99% get it wrong.”

 

これが、
4800万回も閲覧されて
大盛り上がりの議論に。

「残り4つだろう。
2個を割って→それを焼いて、
→それを食べたんだ。」

「2個は(不幸にも)割れてしまって
次の2個を焼いて食べたんだから
のこり2つだろ?」

6つだ。
なぜなら最初のhaveだけ現在形だ。
それ以降は“過去の話”。つまり
もともと8つあって6個になった、
その経緯を“過去形で”説明しているだけだ。」

なるほど・・!
面白いですね。

 

「過去-現在」のトリックと、
もうひとつ、

たまごにまつわる
「用語」のトリックでもありますね。

『(卵を)割る』は英語で
“break(ブレイク)”エッグと言いますが、

この単語、
一般的なニュアンスでは「壊す」の意味。

機械をバキバキに壊すとか
『使えなくする』みたいなイメージですね。

 

ですので、なぞなぞで

「2つ割った」→とは

①(調理のため割った)
➁(使えなくしちゃった)

両方のとらえ方
ができるわけです。

(失敗して)2つ使えなくなり
別の2つを焼いて
その2つとも食べた

なら、

6-2-2=2

ですし、

2個(ボウルに)割って
その2個を焼いて
2個とも食べた

なら

6-2=4

という事です。

 

◆定義が無いとこうなる

こういう、

「解釈でどっちともとれる」

って、「仕事」の中でもありますよね~。

たとえば
飲食店さんで「どんぶり」と言った場合、

「容器としてのドンブリ」と
「料理としての丼」の両方が
考えられます。

「ドンブリお出しして。」
と言った場合に
アルバイトさんがまちがえることも
あるかもしれません。

ウチでも打ち合わせで
「お客さま」と言った場合に、

「最終の食べるお客様」なのか
「その料理をつくる取引先さま」なのかを
ハッキリ意識して分けないと、

『お客さまによろこんでもらおう。』

という同じテーマなのに
みんな考えている対象が
違っている

なんてことが起こります。

 

クイズみたいな大議論にならないように

ウチの『お客様』とはこう

ウチの『おいしさ』とはこう

『正確な仕事』とはこういうこと

みたいに
仲間で『言葉合わせ』をすることが
大事になりますよね~。

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , 面白たまご話 2024年12月13日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

ちょっと前に海外SNSで
ある“たまご調理機器”が話題になっていました。

それは

「エッグサラダマシン」

 

この投稿をInstagramで見る

 

MeatSoHorny(@meatsohorny)がシェアした投稿

 

かなり時代を感じさせる写真ですね。
アメリカ製っぽいデザインです。

「なんだこの機械は!?」

ということで
すごく話題になりました。

「これは1977年米国製らしい。」

「菌的に大丈夫なのか?」

「機械に冷凍システムがあったに違いない。
ドラムの右下に温度計があるように見える。」

 

など、いろ~んな考察がでまして、

「この機械を48州まわって探し
最高のエッグサラダ作るぜ!」

なんて人まで現れました。

 

 

◆結論から言うとAIフェイク

ですがこれ、よくよく見てみると

AI写真

の可能性が高いんですね。

機械に書いてある
エッグサラダの文字が
「EGGG」と誤字になっていたり
後ろカベの板木の幅が
まちまちだったりして、

また、
米国の過去特許を調べたところ
該当する機械は存在しなかったとのこと。

 

なーんだ。
ということで盛り上がりも一件落着に。

 

◆めっちゃ人気だったエッグサラダ

多くの方がこのヘンテコ機械画像に熱狂したのは、

「食べてみたい!」

というエッグサラダの魅力と

「めっちゃありそう。」

というエッグサラダの一般性じゃない
かと思うんですね。

マヨネーズとゆで卵を合わせたサラダ、

エッグサラダの発祥
定かではありませんが、
普及し始めたのは130年ほど前。

 

そのあたりから米国と英国で
めっちゃポピュラーになっています。

フランスで「マヨネーズ」普及→
その後サンドイッチ普及で英国
マヨネーズ大普及した米国

と伝わっていったと考えられています。

 

つまり、

めっちゃマヨ好きなエッグサラダが
しょっちゅう食べられていた米国なら
こんな機械あってもおかしくない。

そう感じる下地があるわけですね~。

 

◆エッグサラダの飲食店メリットは大きい

このエッグサラダ、
ビタミン吸収が非常に良くなることが
最近の研究で分かっていまして、

また低糖質高たんぱくメリットから
近年再評価されつつあるたまごメニューです。

 

今風の面白いアレンジのお店も
出てきています、

しかも和洋問わず相性良いですから、

飲食店さんでもぜひ
差別化こだわりの一品として
入れてみても良いのではないでしょうか。

 

エッグサラダマシンは無いので
手作業にはなりますが・・・!

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , 面白たまご話 2024年12月7日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

『目玉焼きクラゲ』
という生き物がいます。

その名の通り、
すご~く目玉焼きに似てます。

おお・・・!

すごいでしょう!?
めっちゃ目玉焼きです。

海のブルーが
フライパンに見えるレベルです。

 

このかわいらしいクラゲ
地中海に生息しているんですが、

実は近年、
漁師さんの悩みの種
だったりします。

気候変動で
夏-秋にかけて毎年
すんごく増殖しまして、
漁の網に大漁にひっかかって
困っているんだそう。

 

こんな一匹2匹じゃなくて
数千匹がまとまって海に浮かんでるんですよ。

 

◆目玉焼きクラゲ利用プロジェクトが発足

そこで、
バレンシア・カトリック大学の
環境海洋科学研究所(IMEDMAR-UCV)と
海洋科学研究所(ICM-CSIC)が主導して
対策プロジェクト「COLMED」が
発足しまして、

漁師さんと協力して
ひっかかった目玉焼きクラゲの
再利用を研究したところ・・・

良質なコラーゲンが
めっちゃ採れる!

ということが分かったのです。

コラーゲンって、
すごく大事でして、

ぼくたちのカラダでいうと
骨、筋肉、関節を強化するために
不可欠な素材。

 

いまは薬物送達素材や、
皮ふ修復医療用スキンケア、
化粧品などバイオマテリアルとして
活用されまくっている
高機能素材でもあります。

 

プロジェクト研究者の
アイナラ・バレステロスさんは、

「循環経済と廃棄物ゼロの枠組みで、
こんな貴重な資源を無駄にする余裕なんて
ありません!」

なんて語っています。

うまくやれば漁師さんの副収入にもなって
資源としても環境負荷を減らす方向で
期待されているのだそう。

 

◆コラーゲンはニワトリにもたっぷり

余談ですが、不要になっている
たっぷりコラーゲン素材でいうと、

ニワトリの足

があります。

東南アジアや中国では
けっこう食べられてますが、

日本ではまだまだ
浸透していません。

とはいえ本格中華料理の流行で
以前よりはずいぶん町でも
食べやすくはなってきています。

とても美味しいんですよ!

 

あと、

たまごの薄皮、
卵殻膜にも
コラーゲンがたっぷり。

卵殻膜は
かなり面白いバイオ素材でして、
大きく活用例が増えてます。

でも、まだまだ全体量に対して
活用量はわずか。

 

目玉焼きクラゲのように
さらなるプラス素材として活用
が増えてくれば良いなあ、
と思います。

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

(参照:The surprising skincare potential of Mediterranean “fried egg” jellyfish – AS USA)

カテゴリー | ソムリエ日記 , 面白たまご話 2024年11月18日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

 

パンを焼いた時のパチパチという音って
「天使の拍手」って言うんだそうです。

 

 

ステキな表現ですね~。

 

『天使の』
っていう表現って
良いですよね。

フワッとして白っぽくて
なんか高級感もありますし。

たまご料理、
たとえばメレンゲ料理や
菓子のネーミングとしては
活用できるんじゃ
ないでしょうか。

 

ところで
「天使の」と付く言葉は
他にもありまして、

たとえば

「天使の分け前」

なんてのがあります。

これはウィスキー醸造で
言われる言葉。

ウィスキーって蒸留後に
タルで静置して醸成するんですが、
だんだんと色が琥珀色になるとともに
中身が蒸発して少なくなっていくんです。

これを「天使の分け前」と言います。

 

だいたい一年で2~3%。

「それくらいならまあぁ・・。」

と思うかもしれませんが、
たとえば10年熟成するなら
中身は73%、四分の一も減ってしまいます。

天使、なかなかの強欲ですね!

 

そして実は

たまごにも、この
「天使の分け前」が
あるんです。

たまごのカラには
気孔という一万個の微細な穴が
空いていまして、
そこから呼吸をしています。

産卵の直後に
炭酸ガスなんかが抜けていくんですが、
それと共に
水分が徐々に抜けていくんですね。

最大で7%くらい抜けることも

古い卵を茹でると
おしりを切り飛ばした
弾丸型になっていることがありますが、
これは水分が蒸発して減ったため
なんですね~。

 

そしてこの蒸発は、
ウチみたいな『たまご屋』に
ちょっとした影響があります。

たとえば
10トンのたまごを夕方に集卵して
一晩経って計量するとします

仮に0.01%減、
1000分の一の水分が飛んだけでも
なんと10㎏減、約160個分のたまごが
無くなった計算になります。

考えるとバカになりません。
天使さん、やっぱり強欲かも(笑)

 

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , 面白たまご話 2024年04月20日