小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記SOMMELIER DIALY

たまごの名シーン(映画編)「崖の上のポニョ」ゆでたまごとハムの意味

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こんにちは!たまごのソムリエ、小林ゴールドエッグのこばやしです。「風立ちぬ」、観てきました! いやー、これはオッサンキラーですね。 泣きました。 そして私は工学部出身なので、みんなでワイワイと研究した時のことも、懐かしく思い出しました。(^^)

さてさて、たまごが出てくる、映画の名シーン紹介第三弾です。今回はちょっとこじつけ混じり、ジブリ映画「風立ちぬ」観ました記念で、「崖の上のポニョ」から卵・ハム・ネギのラーメンを食べるシーンについてご紹介します。

ジブリ映画は、「食事シーンがとにかくおいしそう!」と定評があります。

ジブリ公式ブログによると、宮崎駿さんはほうれん草を乗せたラーメンが好みなんだそうですが、残念ながらアニメーションとしてうまく描けないため、仕方なくネギにしたのだとか。

同じ意味で、卵は非常にアイキャッチとして優れています。見た目で「たまごだ!」と判りやすくて、味も想像できます。さらに赤青黄の三原色がそろって見た目鮮やかに美味しそうに演出できます。 宮崎監督は「たまごが乗っかっているのはちょっとしたごちそうなんだよ。」と語っています。宮崎監督は昭和16年生まれですので、「卵イコール贅沢」という実感を特に持っていらっしゃる世代でもあります。 「ごちそう」と言ってもらえるその言葉、たまご屋の僕としてはスゴクうれしいです。

ハムが二枚ありますよね?

当初上ッ側のハムを取って食べているシーンを最初アニメーターさんが描いたのですが、「スープで温まっている下側から食べるのが自然だ。」と監督から指示がとび変更されているのだそうです。

スゴイ細やかさですねー!

ちなみにこのポニョラーメンは海外でも興味津々の様で、作り方を紹介した海外の動画まであります。

 

◆なぜジブリ映画は美味しそうなのか!?
このような細やかさの積み重ねの外に、ジブリ映画の食事シーンが美味しそうに見える大きな理由があります。

それは、「場の雰囲気」を最大限伝えていることではないでしょうか。シズル感、という言葉があります。ジュージューと焼ける音であったり、立ち上る湯気、キリッと冷えたジュースの水滴・・・、こういった「五感」を刺激する美味しそうな雰囲気の事を言います。

ジブリ映画はこの「シズル感」が抜群に豊かなんですね。 例えば「天空の城ラピュタ」の冒頭の肉団子スープ。 これも「一度食べてみたい!」という人が多いのですが、実はこのスープ、時間にしてわずか数秒しか映っていません。なのにとても魅力的に映るのは、周囲のざわめき、それまでの労働で流した汗と疲れ、そこから解放されてどことなく浮かれている雰囲気・・・、こういった「空気」が臨場感となって「美味しそう」感・「自分も食べてホッとしたいなぁ。」感をつくり出しているのではないでしょうか。

トトロの「もろきゅう」、つめたく冷やしたキュウリだってそうですよね? セミの鳴き声、深緑のざわめき、風、太陽、そして何より会話と満面の笑顔!そういった雰囲気すべてをTV画面の向こうに感じるからこそ、「あのキュウリ食べてみたい!」と感じるわけです。

他にこの「シズル感」をうまく活かしているなー、と感じるのがコカコーラ。 コーラそのもののウマさ、なんて決してPRしません。 暑い中の清涼感、そして「みんなでワイワイ飲むと美味しいよ!」という雰囲気だけを全力で伝えています。そう見えます。実際にはコンビニで買って一人暮らしのアパートに帰ってさみしく飲むかどうか、なんて関係ないんです。 「ああいうのエエなぁ。」という想いが美味しさにつながるんですね。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

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