小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記SOMMELIER DIALY

史上最大の卵の化石発見されるも何かわからず10年間放置→判明

こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

少し前ですが、南極で史上最大の卵の化石が発見されました。推定6800万年前のもの。

いや、正確に言いますと11年前に発見され、

「なんじゃこれ?」

と放置&議論され続けて、ようやく昨年「これは卵だろう。」と結論づける論文が発表された、というわけです。

なんで10年間も判らなかったのかというと、

何もかも常識外れだったから。

まず、

大きさが規格外

卵は細長くて、長い方で直径28㎝、短い方で18㎝もあります。

サッカーボールが直径22㎝ですからそれよりちょっと大きいくらい。

スゴイ!

それまでの研究では、こんな大きなサイズの卵は見つかったことが無かったんです。

 

カラがふにゃふにゃ

この化石、写真を見るとわかりますが、『ふにゃふにゃにつぶれた形状』なんです。

え!?これって卵なの…!?

って思いますよね。 10年間も放置&議論されたのもうなづけます。

つまり、「世界一でっかくてゴムボールのように柔らかい卵」という事になります。

この化石のあった頃の「デッカイ卵を産む生き物」というと恐竜ですが、

恐竜のたまごで「柔らかいカラ」のものはほとんど見つかった事がありません。

現代の大きな爬虫類、ワニやカメの卵と同じく硬いカラでした。

とはいえ、小さい爬虫類や両生類、ヘビやカエルの卵は柔らかいですし、魚の卵だってフニフニです。

まぁあり得ない話ではないかもしれません。

でも……それが巨大な卵、サッカーボール大となると話は別です。

でっかい水風船みたいなものですから、ちょっと転がったり、枝なんかが突き刺さると破れちゃうでしょうし、卵が大きく柔らかくても生存競争に何のメリットもないわけです。

何の卵かサッパリわからない

そもそも、この卵から何が生まれたのか…?それが分らないんです。

その頃の南極には小さい恐竜しかおらず、いずれも小さい卵で生まれる種ばかり。

この時代のビッグサイズ卵といえば……たとえばブロントサウルスなんかのデッカイ竜脚類の卵ならあり得るのですが、その種の恐竜の卵はカラが硬くてカタチも真ん丸でした。しかも南極にはいなかった…。

カタチも場所も合わないんですね。

この論文では、水に棲むモササウルスなんかの「巨大水棲爬虫類の卵」じゃないかと推測していますが、大型水棲動物は基本的に胎生なので「それは無いだろう」との反論も大きいようです。

水中では、大きな生き物はお腹である程度育てとかないと、卵だと食べられちゃうんです。巨大なごちそうが出現するのと同じですから。

うーん、ちょっとしたミステリーですねェ。

おそらく卵の起源

この卵は「たまご進化の過程」じゃないか。

そんな説も唱えられているようです。

もともと生命は海から生まれ、進化して陸上へ上がってきました。

その過程で、重力にも耐えられるように卵のカラも硬くしっかりしたものに進化したのです。

陸上の「カラの固い卵」になる前の、

『進化前の卵』だからカラがまだ柔らかいんじゃないだろうか。

という考えですね。

つまり、今の我々が食べている卵のご先祖様、というわけです。

なるほど…。

巨大なのも柔らかいのも、

いわば試行錯誤段階

それなら不自然なのもうなずけます。

いったい、どんな生き物がそこから生まれたのか…?

いや~、ロマンですねェ。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

(参照:Biggest soft-shelled egg ever seen found in Antarctica-Business Insider)

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カテゴリー | ソムリエ日記 , 面白たまご話2021年03月13日