小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記SOMMELIER DIALY

牛乳の歴史に見る、迷信を放っておくことの重大さ

こんにちは!

たまごのソムリエ・こばやしです。

 

 

牛乳が年末年始で5000トン余る計算となり

ヘタするとすべて廃棄になるかもしれません

 

岸田首相が「年末は牛乳を飲もう」

と呼びかける事態となっています。

ウチは冷蔵庫に常時4本牛乳パックがある

牛乳大好き家族なのですが、

もっと!料理でも

 

どんどん使っていこうと

思っています。

 

リュウジさん山本ゆりさん、

 

いろんな料理研究家さんたちが

牛乳大量消費レシピを

SNSで公開してくださっているので

どれもこれも目移りしてまして

試すのが楽しみです。

 

 

さて、

牛乳の剰余は深刻なのですが、

連日の報道をみていて

「ああ、よかったなあ。」

と思うことが一つあります。

 

 

それは、悪しき迷信がふっきれた、ということ。

かつて「牛乳は体に悪い」という

迷信が流布されたことがあり、

業界として大変な事態に

 

なったことがあります。

 

今回の騒動をみていると

体に悪い、

なんていう人はほぼいなくて

「体にいいから飲もう!」

という声にあふれています。

 

 

◆デマ本がベストセラーに…!

かつて「牛乳」は“偽科学”によって

大変な目にあっています。

 

16年ほど前に、新谷弘実さんというお医者さんが

「動物性食品を良く食べる人は大腸がんになりやすい。」

 

…とした健康法を主張し

『病気にならない生き方』(サンマーク出版)

という本を出版しました。

 

この本の中で「牛乳を飲むと有害である」

という事をセンセーショナルに伝えており、

 

 

更にこの本が

累計140万部ものベストセラーと

なった事から、

牛乳は危険だという論調が

ネットやTVでも盛んに取り上げられ、

 

以降様々な「牛乳有害説」が

出てくる事態となりました。

 

牛乳はどんどん飲むべきだ!

という考えで育った世代の僕には、

「牛乳は錆びた脂だ。」

「牛乳を飲むと逆にカルシウムが減る」

 

「飲むと骨粗鬆症になる」

「日本人のアトピーや花粉症は給食牛乳のせい」

・・・との断言は

とても衝撃的だったのを覚えています。

 

当時、その数年前から

 

「買ってはいけない」(金曜日出版)など

食品不信をあおる本が

次々と話題になっていまして、

 

牛乳についても

 

テレビで面白く取り上げやすい

雰囲気があったんじゃないかと思います。

 

タレントの松嶋尚美さんがテレビで

「牛乳は有害だから子供に飲ませない」

と話し、話題になった事もありました。

 

 

とはいえ実際のところ医学的な

裏付けデータは一切出ておらず、

研究者・関係者の方々はこぞって反論しました。

 

この本に反対意見を述べるシンポジウムを開き、

 

業界から反論となる公開質問状が出されましたが、

一度付いた悪イメージは簡単に払しょくできず、

 

「牛乳」を検索すると関連キーワード2番目に

「体に悪い」と表示され、

 

その検索先では多くの方が

「飲むべきではない」

という主張を繰り広げていました。

 

様々な要因がありますが、

結果として牛乳消費は

1996年のピーク時から比べて

3割もの減少となってしまう事態に…。

 

◆たまごの迷信も反論し続けるべき

卵でも、根拠ない迷信が出ることがあります。

一日数十キロ食べ続ける換算で

「卵を食べるとはげる」とか

「一日一個まで」とか

 

『ほっときゃいいよ。』

と言う人もいますが、

 

牛乳も、地道な反論があって

今の応援する状況があるんだと思います。

 

たまごも、

根拠ない悪しき迷信に対して

論理的に否定し続けることが

できるかどうか……

ここに10年後の鶏卵の未来がかかっているのかもしれません。

 

ここまでお読みくださって、

ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , ちょっとつぶやき2021年12月24日