小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記SOMMELIER DIALY

たまごのおいしさとは?(その1)

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この卵はおいしいよ!と言われたとき、皆様はどんな卵を想像するでしょうか?「盛り上がりが良い。」「臭みが無い。」「殻が固い。」「黄身が濃厚。」・・・。いろんな観点があると思います。

我が社の定義する「卵の美味しさ」とは、「料理になったときのおいしさ」の事を言います。例えば、「黄身の盛り上がりが良くて箸でつまめる」という事は、弊社では「新鮮さの指標」にしていますが、だからと言って「おいしい料理になるか?」は別問題だと考えています。
ちょっと質問です。「黄身が濃厚な卵を使うと、どんな料理になっても美味しいでしょうか?」皆さんどう思われますか?
答えはNOです。正確に言うなら、「料理の中には黄身が濃厚な卵の方が、おいしくできる場合もある。」が正解です。
ケーキを一例に挙げてみましょう。ある洋菓子店の社長さんのご要望あり、弊社のこだわり卵を用いてチーズケーキをご試作いただきました。一つは黄身の旨味が濃厚で、黄身もメチャクチャしっかり、卵かけ御飯でも最高、我が社トップ売上の卵。
cake.jpg後者は植物飼料中心で放し飼い、とってもあっさり風味の卵。この2つ、どっちがおいしいチーズケーキになると思いますか?

結果は、ダントツで後者でした。まずケーキになったときの「チーズの香り」が全く違いました。濃厚で旨味たっぷりのこだわり卵は、生で食べるには最高の評価でしたが、ケーキにする事で卵の風味がチーズの香りを殺してしまったのです。反対に、生で食べるにはちょっと物足りないくらいの「あっさり風味」の卵を用いると、驚くほどチーズのふくよかな香り豊かな、おいしいケーキになる事がわかりました。この場合「他の食材の香りを引き立てる」というファクターが重要だったんです。もし、卵かけ御飯で評価をするなら、全く逆の結果になります。つまり、「どっちがうまい卵か?」じゃなくて「料理との相性」なんですね。ネギだって、「京ネギとわけぎのどっちが美味しいか?」なんて、少しナンセンスですよね?

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「箸でつまめる卵は、おいしいオムレツになるか?」
「殻が固い卵は、美味しい玉子焼きになるか?」これらの質問も、同様です。これらは「良い卵」の一つの指標にはなりますが、「おいしさ」を追求するならもっと深い観点が必要になってきます。繰り返しますが、ものすごく単純に考えても、「生で食べる場合」と「加熱したときの食感や風味を楽しむ場合」では既に「おいしさ」の基準が大きく違います。

1400件を超える料理店・洋菓子店さんからの聴き取りと弊社の研究、生産者さんとの取り組みから分かってきた、本当の「卵のおいしさ」について、今後少しずつお話できればと思います。(続きます)

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご全般コラム2009年02月23日